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J/53  作者: 池金啓太
十話「壁と屋上と晩夏のある日」

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成長と変化

「学校に行くのはいいけど、あいつらに会うのも久しぶりだな・・・ちゃんと訓練やってんのかな?」


「鏡花さんが付いてるからサボることはないと思うよ?」


静希と一緒にストレッチしながら明利もクールダウンしていく


汗のせいで身体にまとわりつく服をうっとおしそうに脱ぎ捨てて静希は軽く身体を拭き始める


それを見た明利が静希の体を触りながらむむむとなにやら唸っている


「どうした?」


「静希君・・・背伸びた?」


明利の言葉に何とはなしに自分と目の前の小さな幼馴染の背を比べてみる


ほぼ毎日会っているせいであまり変化があるようには思えないが、なるほどそう言われてみれば確かに微妙に夏休み前より明利の頭の位置が低いところにあるような気がする


「そうか?測ってみないと分かんないな」


「伸びてるよ、それに筋肉も結構ついてる」


毎日のように走り回り軍の基礎訓練を行っていれば筋肉もつくだろう


そして明利はそれほどでもないが静希はほどよく日焼けもしている


一日のほとんどを炎天下で過ごしていればそうもなるというものだろう


毎日のように自分の身体を見ているせいでそれほど実感はわかないがこの訓練も多少は実りをつけているのだろうか


どれほど変わったのかは明日陽太と鏡花に会えばわかるだろうと思いながらシャワーを浴びるついでに医務室においてある身長計で身長を測ってみると確かに伸びていた


この春に測った時173センチだったのが今は176センチになっている


数か月で三センチ、まだ静希の成長期は終わっていないということだろうか


一方明利の身長は変わらず146センチ、どうやら彼女の成長期は本当に終わりを迎えたらしい


ついに身長差が三十センチになったことで明利はその事実を受け入れがたいかのように震えていた


何せ大きな定規一つ分身長差が出てしまっている、頭一つどころの話ではない


毎日牛乳を飲み、ジャンプをし、訓練をこなし、背が伸びるために必要な栄養分を研究したうえで適切な量を摂取しているというのに身長の女神は明利にはほほ笑まない


それこそミリ単位で変化がないようにも思える、以前二ミリ伸びていたと言っていたが、今回の測定ではむしろ低くなっている、恐らく誤差だったのだろう


三十センチという厚い壁に阻まれた事実は明利にとって余程の衝撃だったのだろうか、シャワーの後も随分と憔悴していた


健全な高校生としては背が伸びないことはかなりのコンプレックスだろう、静希自身陽太に身長を抜かれて随分と悔しい思いをした記憶がある


同じように雪奈も静希に身長を抜かれた時悔しそうにしていた


何と声をかけたものだろうかと悩みながら帰りの電車で特に意味がある訳ではないが明利の頭を撫でてみた


これがまたちょうどいい位置に頭があるものだから非常に撫でやすい


しかも明利の髪はさらさらだ、以前に比べ少し伸びたが手入れは完璧に行き届いており毛の一本一本に至るまで艶やかさを保っている


これほど撫でやすい頭もそうないだろうと確信していると明利の頬が緩んでいるのに気づく


だが数秒間撫でられたままでいるとハッとなって静希を軽く叩いて撫でるのを中断させた


どうやら撫でられるのは嫌いではないが子供扱いされていると思ったのだろう、体裁かそれとも羞恥か、どちらにせよ公共の場で明利の頭を撫でるのはやめておこうと静希は思った


「もう、何でそんなに撫でるの?」


「んん・・・すごいやりやすかったから」


表も裏も虚偽もなく本当にそれだけなのだ


軽く手を頭の上にのせてみたらこれがいい位置にあるものだからそのまま撫で続けてしまった


他意は無い


「雪奈さんと鏡花さんもそうだけど、私ってそんなにいじりやすいの?」


雪奈や鏡花のスキンシップは静希達とは一線を画すほどに強力で凶悪だ


最悪抱き枕のまま一夜を共にされかねない程に


明利の小ささとその性格もあるのだろうが確かにいじりやすいかと言われれば否定はできない


「なんていうか・・・いじりやすいっていうより触っていたいって言うのがあるかな、明利って柔らかいし」


「やわ・・・」


女性の身体は男性よりも全体的に柔らかい


静希は物理的な意味で言った訳ではない、どちらかというと性格というかいじった後の反応的な意味で言ったつもりだった


だが明利はどうやら身体が柔らかいと捉えたのだろう


そして自分が静希に触られていた個所を思い出して軽く手で触れた後顔を真っ赤にし始める


残念ながら静希はその表情の変化に気がつかなかったがとりあえず明利を必要以上にいじると後々面倒になりそうだなとだけは思っていた


特に身長の事に関して触れると本当にへそを曲げかねない


十分注意が必要だなと思いながらその日静希はゆっくりと身体を休めた


タイトルが読みにくいという指摘をいただいたのでタイトルにルビ振ろうとしたら


タイトルとサブタイにはルビは振れないという事を知りました


どうしよう・・・


今更タイトル変えるのもなぁ・・・


ま、そのうち考えます



これからもお楽しみいただければ幸いです

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