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J/53  作者: 池金啓太
九話「悪魔と踊る異国のワルツ」

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電話を通じて

『それで、一体何の用だ?お前が電話をかけてくるなどなかなかないぞ』


「あぁ、んじゃ本題に入ろう、ちょっと面倒事に巻き込まれてな、召喚について聞きたいんだけど」


静希の言葉に石動は軽くため息をつく、どうやら呆れているようだ


『お前はどうにもその手の面倒事に巻き込まれやすいのか?私の村の時といい、なんとも不憫だな』


「そう言うなよ、こっちもいい加減嫌気がさしてるところなんだから」


メフィと会ったのは完全な偶然だったがその後邪薙に会ったのは半ば強制的な必然だ、そして今回のことは自分の不始末が招いたことでもある


ここまできたら普通の能力者としての人生は歩めないかもなとため息をつきたくなるところだ


『それで?何を聞きたい?』


「詳しくは話せないんだけど、一応聞きたいことだけ聞く、召喚をするにあたって予定していた日よりも早く術式・・・ていうか召喚陣を使用することは可能か?」


静希の問いに石動は何やら悩んでいるのか声を伸ばしながら思考に明け暮れる


『んん・・・時間短縮自体は不可能ではない、どれくらい早く行うんだ?』


「三日だ」


『三日!?その召喚はエルフが行っているのか?』


「いや、人間が二十人くらいで」


今回実験を行っていたのは教授を含め十八人、どのように召喚陣を用意したのかなどは分からないがとにかく今は知りたいことが先だ


『バカを言うな!洗練されたエルフの術師が何人もかかって数時間早められるかどうかだぞ、人間が何十人いたところで三日など無理の一言だ』


「仮に予定の三日前に発動しようとしたらどうなる?」


『そもそも発動自体しない、前にも説明したかもしれないが召喚陣に必要な時間はその土地の龍脈と力をリンクさせることに費やされる、完全にリンクが繋がっていなければ術が発動する訳がないだろう』


石動のいい方を少し変えれば召喚陣は電化製品でそこから龍脈と呼ばれるコンセントに向けてコードを伸ばしていく作業だ


完全にコードがコンセントに刺さっていなければ電化製品などは動かない


「でも予定の三日前に術が実際に発動してたんだ、それはどう思う?」


『だとしたら元よりその日を予定して術を作っていたのだろう?でなければ発動自体するはずがない』


「少し早めに用意しておいて放置するのって大丈夫なのか?」


『いや、召喚陣は準備してすぐに使うのがベストだ、でないとせっかく作ったリンクが上手く働かない可能性があるからな』


石動の言葉に静希は眉間にしわを寄せながら思考を巡らせる


どうやらさらに根本から見直さなければならないようだった


考えることがどんどん増えてきてまったく嫌になってくる


「ありがとう石動、礼は今度するよ」


『あぁ、役に立てたなら幸いだ、それではな』


そのまま通話を切り静希は思考を続ける


予定よりも三日早く行われた召喚、なのに発動した召喚陣


ただ単純に犯人を捕まえるだけの任務かと思ったのにそれ以上の事をしなくてはならないとはまったくもって嫌気がさす


静希が大きくため息をついて携帯を大野に返すと近くに先ほどまで負傷していた部隊の人間が何人か駐屯地へとやってくる


どうやらテッドへの報告に来ているようだった


そしてその中にはニコラスもいる


「あ、ようやく見つけた!まったく心配したぞ」


「あー、あまり野次馬に見られるの好きではないもんで」


苦笑いしながら軽く謝罪をしているが、ニコラスが心配したのは静希ではなく監視していなくてはならないという自分の立場だ


そう考えるとこの言葉全てが薄っぺらく聞こえるのはある種いたしかたないことだろう


先ほどまで監視はあまり好ましくなかったがこの場では逆に好都合だ


「ニコラス、一つ聞きたいんだけど今回の事件の主要の資料はここか警察にあるんだよな?」


「そうだよ、何か見たいものでもあるのかい?」


「あぁ、今回の実験その物の計画書がみたいんだ」


静希の言葉にニコラスは眉をひそめる


一体自分が何を言っているのか静希自身わかっている、それこそ国家プロジェクトの内容を見せろと言っているようなものだ


はっきり言って見せてもらえるはずがない


「すまないが君にはその情報の開示権は無い、協力には感謝しているがどうしても無理だ」


「そんな、見るだけでもダメなのか?」


大野が食い下がるがニコラスは首を横に振る


確かに今回の件に静希達は関わることにはなったが元はといえば無関係な部外者である


そんな人間に重要書類を見せる訳にもいかないだろう


「ちなみにそれって書類だけかい?」


「いやデータも全てだ、警察の方で完全に管理している、アクセス権を持っているのはこの部隊の人間にはいないだろうね」


「そうか、わかったよ」


わかったよとは言うがこのまま引き下がるわけではない


いやこの場では引き下がろう、だが計画書を見る事を諦めたわけではない


静希としても使いたい手ではない


正直かなり迷惑をかけることになる、下手をすれば陽太が大変な目に合うだろう


軽く合掌をした後静希は小岩に指示してニコラスの気を逸らしてもらうようにし、大野からまた携帯を借りる


この番号は押したくないんだけどなぁと思いながら静希は目的の相手への直通回線を開く


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