表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
J/53  作者: 池金啓太
九話「悪魔と踊る異国のワルツ」

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

311/1032

市街探索

「それで?これからどうするつもりなんですか?このままじゃいいように動き回られるだけですよ?」


各地点に印をつけられた地図を見ながら静希は僅かにため息をつく


現状この部隊はエドモンドに対して完全に後手に回っている


いつどこに現れるかもわからない相手、しかも何をしているのかも何をしたいのかもわからない


これほど不気味なことは無い上に相手は悪魔を連れている


いつ包囲網を抜けて外へと旅立っていくか


「警戒はしている、日中も欠かさずにだ・・・だが、いかんせん何がしたいのか・・・」


「正直この部隊じゃ包囲網なんてすぐに突破されますよ?包囲網の中にいるのには何か意味があると思うんです」


これは昨日の戦闘を見ての素直な反応だった


いくら部隊が二十四時間体制で検問を敷き、辺り一帯を包囲したところで悪魔の力でゴリ押しすれば人の壁など容易にぶち抜ける


だがそんなことは部隊を率いるテッドとしても理解しているようだった


「いま奴が何をしようとしているのかを探っているところだ、目撃情報があったところから重点的に捜査を開始している・・・だが・・・」


「未だ手掛かりなし・・・ですか」


そもそも何故エドモンドが悪魔を強奪したのかその理由さえ掴めていないのだ


無理もない、何せ事件が起こってからまだ二日しか経っていないのだ


「彼の自宅などは調べたんですか?」


「もちろん、彼に関わる全ての物は警察の方で管理している・・・研究資料やデータ・・・その中に今回の事件に関わるものは無かった」


エドモンドに関わることで何かわかることがあるかと思ったのだがそれさえも意味がないとするとこの包囲網の中にいる目的は一体何か、そもそも目的自体があるのかすらあやしくなってくる


とにかく今は情報が欲しい


相手の動きを先読みできれば言うことなしなのだが


目撃情報のあった箇所は地図上に表記してある、どこかの通りだったり建物の屋上だったり、路地裏だったりと場所も時間もバラバラで法則性は無いように見える


今自分にできることは特には無い、ならば動くしかない


とりあえずエドモンドの目撃情報のあった場所に行ってみる事にする


静希が部屋を出ると大野と小岩が駆け寄る


「これからどうするんだい?聞き込み?」


「いえ、目撃情報のあった場所を回ってみようかと、何か手掛かりとかあるかもですし」


「たしかそのうちの一か所は戦闘もあったのよね」


地図を眺めながら行動を開始する三人に案内役のニコラスが車を回してくれる


まずは先日静希が発見した建物の屋上、何をしていたのか分からないがエドモンドはここから街を眺めていた


何かを探していたのか、それとも誰かを待っていたのか


双眼鏡で辺りを探索しても特にこれと言って変わったものは無い、ただの異国の街が目に入るだけである


次に向かったのは悪魔と部隊の初めての戦闘が行われた場所である


メインストリートから少し離れた小道、綺麗に舗装されてはいるもののこれらは能力者によって修繕された後


現場の写真を見せてもらったのだがそれはもうひどいものだった


地面は大きくえぐれ近くの建物の壁は崩壊しこれでよく死者が出なかったと思えるほどの凄惨っぷり


負傷者は七名、内一名は一時期意識不明にまで陥ったそうだがすでに意識を回復し現場復帰しているらしい


他六名の怪我は先日の症状とほぼ同じ、皮膚が爛れたり骨が折れたりと被弾してから効果が変わっていた


死にかけた一人は運が悪かったのか打ちどころが悪かったのか、どちらにしろあの悪魔の攻撃に人を殺すほどの威力は無いのだろうか


そしてもう一か所、路地裏の建物と建物の間の小さな道


人一人通れるかどうかも怪しいこの場所にいたとされるがこんな場所に一体何があるというのか


近くにあるものはゴミ箱や空き缶など、どこにでもありそうなもの


ただ見つかりにくい動きをしていただけなのか、それとも意味があるのか


辺りを散策していると近くの地面に何かを引きずった跡がある


何か固いものでも動かしたのかアスファルトの地面は僅かに白い跡が付いている


跡をたどるとそこには町にもよくある通気孔の格子、風が吹き上げているところを見るとどこか地下に繋がっているようだった


「ニコラス、この下って何がある?」


「えっと・・・この下は地下鉄が通ってる、この街全土にいきわたるくらいの規模だ」


「地下鉄にも包囲網は敷いてるんだろ?」


「もちろん、通過する電車には索敵系の能力者が常に目を光らせてるよ」


「路線内への調査は?」


「一応やってはいる、けど日中は電車も走るからやるのは夜間だね」


地下に目を向けていて能力者による索敵までかけているのであればここを調べる意味はないようにも思える


通過するものに目を光らせていたとしても地下鉄から逃げるのではなく、地下に潜伏しているだけだとしたら話は別だ、恐らく感知能力者は電車の中にしか注意を向けていない


電車ではなく線路のどこかに隠れているとしたら


「行ってみよう、どうせ他にできることは無いし」


「え!?地下にいくの?だったらわざわざここから行かなくても・・・」


地下鉄に入るならわざわざここを通らなくても駅から許可をもらって侵入することだってできる


だがこの場所に妙な痕跡が残っている以上そこから調べるのは至極当然のことだった


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ