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J/53  作者: 池金啓太
二話「任務と村とスペードのクイーン」

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接触

この村周囲の地図を取り出し空いているところに開いて全員お椀を持ちながらテーブルに向き合う


日も落ちている今では現行して行っている食事以外にやることなどない、できうる限りの可能性を考え最高以上の結果を出せれば、それこそ最高だ


「ここ一週間より前の天気はそれほど荒れてるわけでもない、去年までさかのぼってもそこまで異常気象が続いてるわけでもないし、森や山の果物やらは尽きないと思うんだけど」


「なら、別・・・ほかの動物がやってきたとか、群れを追われたとか?」


「あり得なくはないけど、その場合奇形種を追いたてることができるだけの生き物がいるってことになるな、想像したくない」


「群れから追い出されたとか?」


「奇形種の群れ?あるのか?」


「もし奇形種の群れなんかあったら世界的なニュースになるぞ、現時点では数えられるくらいしか発見されていない」


全員が食事を口に放り込みながら考察を練っているところを夫妻はほほえましく眺めていた

村のことに対して一生懸命になっているだけではなく、他のことまで気に掛けようとするその姿勢、若者の頑張る姿はいつ見ても大人にとっては嬉しいものだった


考察を重ねている最中、明利の箸が止まる


全員が話をしている中、静希と雪奈だけがその変化に気付いた


「何か来た・・・」


そのつぶやきに反応したのは雪奈、続いて静希が箸をテーブルに置き立ち上がる


「全員戦闘準備!明利場所は!?」


「こ、壊れたフェンスの方、すごい速さで向かってる」


「よっしゃ!待ってました!」


それ以上のことは聞かずに雪奈はナイフのついたベルトを片手に飛び出した


「雪姉待て!ああもう!陽太は後から続いて能力で照らしてやれ、俺らもすぐ追いつく!」


「わかった!さっさと来いよ?」


どたばたと出て行った生徒達をよそに、教師は落ち着いたものだ


「はあ、すごい速度でしたね」


「まだ残っているのに」


「あとで食べるでしょう、出来立てが美味いというのに、馬鹿者どもめ」


呑気に天ぷらを口に運びながら城島も立ち上がる


「まあ少しだけ待っていてください、運が良ければ今日中にカタがつく」


長い前髪からのぞく目は標的を見つけた飢えた獣のようだった


静希たちが暗闇の中を走っていると、前方に陽太の出す炎の光が見える


雪奈を追いこさないように速度を落としているためか、かなり離れているものの視認できる


「明利、目標は今どこにいる?」


「もうすぐ、フェンスのところ、雪奈さんたちなら、ぎりぎり・・・」


「侵入されるとやっかいだ、雪姉が仕留めてくれることを祈るよ」


携帯を片手に全力で走っていると、眼前に迫りかけていた陽太の炎が揺らぐ


と、次の瞬間、炸裂音とともに炎に包まれた陽太が静希達の方に吹き飛んでくる


「あああああああ!何してるんだお前は!」


危うく消し炭になるところを寸でのところで回避し陽太に檄を飛ばすと、視界の隅に黒い影が現れる

反応が遅れた


完全に視界にとらえる前に影の爪が襲いかかる


「静希!伏せなさい!」


何も考えずに静希が伏せるとその頭上を土でできた拳が通過する


拳は攻撃を仕掛けようとしていた影を打ちつけ、数m殴りとばす


「あっぶね、当たったらどうするんだよ」


「伏せなさいって言ったでしょ?」


「言ってから能力発動一秒となかったけどな」


悪態をつきながら静希は黒い影を見張る


「いっつつ、ちくしょう油断した」


「陽太、火力あげて明かりにしろ、目標がよく見えない」


「お、OK」


陽太の火力が上がっていき、周囲が一気に照らされていく


静希は、いやその場にいた全員が目を疑った


毛の少ない白い肌、華奢な腕、伸びて鋭くなった爪、そして鋭く伸びた牙


「おいおい・・・どういうことだよこれは・・・!」


目の前にいるのは獣などではない


いや、獣などではあり得ない


ところどころ人間離れしているところがあるがその姿は


人間の少女以外の何者でもなかった


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