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J/53  作者: 池金啓太
七話「有無にこだわる自尊心」

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船上の憂鬱

「でもようやく終わりか・・・長い一日だったなぁ・・・」


離れて行く島を眺めながら静希は大きくため息をつく


本当に長い一日だった


それほど時間は経過していないはずなのに過ごした内容が濃密すぎる


「静希がキレたりテロリストが来たり、散々だったわね」


ちなみにやってきたテロリストたちは島に拘束されたまま何人かの職員とともに警察の到着を待って事情聴取を終えた後に連行されるのだという


現場でどのようなことが起こったか、どのように決着がついたかなども詳しく調べるそうだ


もちろん悪魔のことは極秘とされるらしい


そこは城島の同期、町崎が何とか手をまわしてくれるらしかった


ただ交流会に来ただけかと思ったらとんだ面倒事に巻き込まれた


いや、今回の場合静希達が面倒事を引きこんだというべきかもしれない


全ては静希のトランプの中にいる悪魔が原因なのだから


「静がこれからどうなるかが一番のネックだよね」


「そうだよね・・・大変な目に遭わないといいけど」


きっと大変な目にあうんだろうなと、全員が思いながらため息をつく


そもそもこの事件自体が静希がメフィと半ば無理やりではあるが契約した結果起こったのだ


これからもきっと面倒事厄介事が静希の元に訪れることは間違いないだろう


「だがすでに一部とはいえ関係者に五十嵐の存在は露呈した・・・重大案件を持ちかけられるのは時間の問題だろうな」


「せめてその案件がたいしたものじゃないといいですね・・・悪魔とかの関わってないのならまだ・・・」


「暗殺とかあるかもよ?」


「誠心誠意もってお断りするわ・・・この歳で人殺しなんてしたくねえよ・・・いやどの歳になっても人なんて殺したくないっての・・・」


人を殺せば当然重罪だ、仮に政府だの委員会からの命令だとしてもそれは変わらない


上からの命令の可能性があれば事前に任務内容を書き換えて知らん顔することだってあり得る


体のいいトカゲのしっぽにされるのは真っ平ごめんだ


「そう言えば海外の専門学校の人も来てたのよね、今回」


「あー・・・そういや先生がそんなこと言ってたな・・・結局やらかしちゃったけど」


「問題になるかな?」


「なるんじゃないか?いろんな意味で」


国際的な力関係というのは非常にデリケートだ、ちょっとした事件一つでその均衡は崩れあっという間にその状況ごと変化していく


しかもその事件の内容が悪魔に関わることであればなおさらだ


「あっちの人も口外しないでくれると助かるんだけどなぁ」


「海外ともなると難しいかもね・・・でも学生のうちは・・・まぁそう無茶はさせないんじゃない?城島先生が何とかしてくれるわよ」


「・・・あの先生が?」


「・・・ごめん、確証はないけど」


今回の事件のことで城島の評価は多少上がっているものの自分の手に負えない面倒事まで引き受けるとは思えない



まったくもって嫌気がさしながら静希達は大きくため息をつくと、その中で陽太があることに気付く


「なぁ、俺らが捕まえた奴を尋問した時さ、この船に侵入して島にやってきたみたいなこと言ってたよな?」


「あぁ、そういやそんなこと言ってたな、それがどうかしたのか?」


陽太はしきりに船の様子を見ている


何かを探しているようなのだがその何かは見つからない


「いや・・・もし作戦が失敗した時ように何か船に仕掛けとかしてないのかと思って」


「仕掛けって・・・例えば?」


「・・・爆破とか?」


ぱっと思いつく内容があまりにも暴力的だ


せめてもう少し穏便な工作はなかったものか


「自分達も乗るかもしれない船に爆弾しかける奴はいないと思うわよ?いたとしたら相当のバカよそれ」


「ま、それもそうか」


先ほどから何を探しているのかと思えばどうやら陽太は船に仕掛けられた爆弾を探していたようだった


「大体爆弾探すなら外部じゃなくて内部探しなさいよ、船外に取り付ける爆弾ならすぐ見つかってるわよ」


「んん、それもそっか・・・だって映画とかだと最後は何かが必ず爆発するじゃん?今回もあるかなと思ってさ」


確かに映画などでは事件の起こった洋館またはそこに向かうために船やらは確実に潰される


そう考えると陽太の予想、爆破というのもあながちおかしな話ではない


「ま、現実はそうはいかないってことじゃない?そんなのはフィクションだけのお約束ってことでしょ?」


「だよなー、ちょっと神経質になり過ぎてたかも」


全員が空笑いしていると爆音と衝撃が船内を包み、大きく船体を揺らす


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