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J/53  作者: 池金啓太
七話「有無にこだわる自尊心」

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邪笑の切札

「悪いな、恨みはないけど、しばらく寝ててくれや」


静希はそう言って尾道に背を向けると、金属音とともに静希の首が掴まれる


「悪いな・・・こっちも恨みはないけどな」


「な・・・?!」


先ほど確かにスタンバトンで電流を流したはず


大の大人でも一撃で失神するほどの電力を流したのになぜ動けるのか


「スタンガンとか怖いことするなよな、中が空洞になってなきゃやられてたぞ」


「空・・・洞・・・?・・・そうか、それただの鉄板の鎧じゃないってことか・・・!」


静希が思いついた通り、尾道の鎧はただ鉱物を固めてできているわけではない


技巧を駆使し、鎧の外面と内面の間に何層もの鉱物を敷き詰めた上で、鉱物と鉱物の間を空洞としている


何故最初、陽太と組みあった時その炎の熱で中の本人が焼かれなかったのか不思議だったが、何重にも空気の層があるためにその層の奥の本体まで熱が届かなかったのが原因だろう


金属などと違い空気の熱伝導率は非常に悪い、それを何層にも重ねれば擬似的に耐熱機構を作れるということだ


そして電流を流してもその電気は一番外部の装甲にしか流れていない、内部までは流れず本体は無傷というわけだ


鎧が単調なものだと疑わなかった静希の失態だった


「気絶はしないだろうけど、時間は稼がせてもらうぞ!」


首を掴んだまま振り回しそのまま投げつける


するとちょうど淀川と距離をとっていた陽太めがけ静希の身体が飛翔する


「陽太どけえええええ!」


「へ?おああああぁぁ!?」


とっさに能力を解除し静希を受け止めるが人間一人はさすがに受け止められず転がるように衝突する


「ってーな!気をつけろよ!なにちんたらやってんだ!」


「空中でどうやって気をつけろってんだよ!ちんたらやってんのはそっちも同じ・・・」


陽太を追ってか、それとも静希がいるのを見てか、高速で射出された光の刃が二人に襲いかかる


陽太が反応するよりも早く静希は左腕を前に突きだした


それは無意識だった


左手の中にはトランプが握られており、光の刃がトランプに触れた瞬間静希は能力を発動した


二人に襲いかかっていた光の刃は眼前から消え去り、静希も陽太も、淀川も唖然としている


静希は理解した


そして笑う


「ははは・・・なんで今まで試さなかったのか・・・あぁほんとに、俺はバカだな・・・」


「お、おい静希、大丈夫かよ」


陽太が突然笑い出した静希を心配して声をかけるが、彼の表情を見てその心配が杞憂であることを知る


その顔は今まで見たどの顔よりも邪で、楽しそうな笑みを浮かべている


新しいおもちゃを買ってもらった子供のように、獲物を見つけた殺人鬼のように


とびきりの邪笑を浮かべていた


「陽太、作戦変更、お前はあの鎧を先に潰せ、鎧に熱対策がしてある、身体能力強化はなしだ」


「おい、あいつの相手すんのかよ!?お前じゃ無理・・・」


無理だといいかけて陽太は止まる


静希は既にどうやって勝つかという思考を止めている


思考の全てをどうやって相手をいたぶるかということに切り替えてしまっている


勝敗以前の問題、すでに静希の中では勝負は決したのだ


「わかったよ・・・終わったら加勢に行けばいいか?」


「あぁ、期待してるぞ」


陽太は立ち上がり、炎を滾らせる


静希は歩きだし、トランプを飛翔させる


「何だよお前が相手か?さっきの奴の方がいいんだけど」


「あいつは相手しやすかっただろ?」


「あぁ、正面から突っ込んで来てくれるからな、速いのがむかついたけど」


「だろうな、あの速さは俺も相手にしたくないよ」


「お前はその分遅そうだな」


「あぁ、あいつに比べりゃ相当遅い、けどお前は、もう俺に攻撃を当てられない」


静希の挑発とも取れる言葉に淀川は額に青筋を立てる


「いい加減にしろよ?さっきのをどうやって防いだかしらねえけどな、んな紙きれでなにができるってんだ?あぁ!?」


数本の光の刃と光弾が静希めがけ一斉に襲いかかる


「落ちこぼれがエリート様に逆らってんじゃねえよ!」


渾身の力で放たれた刃と弾丸は静希めがけてまっすぐ飛んでいく


光が静希を包む瞬間、トランプが全ての光を吸いこんでいく


「んな・・・」


傷一つない静希の姿に驚いたのか、それとも自分の作り出した光が収納されたことに驚いたのか、淀川は眼を見開いて唖然としている


「なんで、何で光を・・・質量なんてないのに、なんで!?」


本来、質量のないものは入れることができない収納系統の能力者がほとんど


光に質量はなく、重さもまったくない


だから収納系統も入れることはできず、自分の攻撃を防げるのは同等以上の能力者と決まっていた


「我ながらアホみたいだよな、わけわかんない奴ら入れてるくせに、身近なもので実験するのすっかり忘れてたよ」


重さのない、質量のない、存在だけの存在を収納し続けてきた静希にとっては一番に試さなくてはいけないことだったかもわからない


だからこそ、今この事実を気付かせてくれた淀川に感謝の念をほんの少しだけ持ち合わせていた


「さぁエリートさん、無様に負ける準備はいいか?」


誤字報告をいただいたので複数投稿


今日だけで一体何回目だろうか・・・


誤字報告を受けて投稿して、その投降したのにも誤字があって、ある種の無限ループか・・・


投稿の仕方を考えた方がいいのかもわからんね・・・


これからもお楽しみいただければ幸いです

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