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J/53  作者: 池金啓太
七話「有無にこだわる自尊心」

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剣と拳

「おらおらおらおらぁぁぁ!」


一方陽太は淀川相手に拳と蹴りを放ち続けていた


最初壁を作って涼しい顔をしていた淀川も陽太の速度に追いつけなくなっている


拳を防ぐために壁を出しても一撃殴ったらすぐに別の場所に移動、床だけでなく壁、天井まで足場として自分に向かってくる


陽太の速度はすでに淀川の動体視力では処理しきれなくなっていた


光弾を何度も陽太に向けて放つがこの速度にはほとんど当たらず、仮に偶然で何発かあたっても陽太はまったくダメージを受けず突っ込んでくる


そしてその時は訪れた


一瞬のすきをついて壁が作られる前に懐に潜り込む


「もらったぁぁぁあぁ!」


陽太の拳が振るわれる瞬間、淀川の身体が光に包まれる


「おいおい、あんま調子こいてんじゃねえぞ!あぁぁ!?」


全身に光を纏う、まるで鎧


壁で防ぐことは諦めたのか、至近距離での殴り合いを選んだのか、淀川の笑みがさらに歪む


「弾丸が効かねえなら串刺しと行こうか!」


掌を指揮棒のように振ると空中に光の刃が具現化する


「やっべ!」


陽太は襲い来る刃を高速での移動で避け続ける


「おいどうした?さっきまでの威勢がないぜ?」


「余裕かましやがって・・・見てろよ!」


刃を避け、急停止すると陽太は腰を落として右腕を前に突きだす


「おおおおぉぉおぉぉぉぉぉぉぉおぉおお!」


陽太が声を張り上げる


陽太の身体から炎が噴きあがり辺りの温度を急激に上げていく


不敵な笑みと共に陽太は右腕に力を込め声を張り上げていく


「陽太ぁぁぁぁ!」


突然響いた大声に陽太の声と炎はかき消される


声の主は鏡花だった


「それはまだ使用禁止のはずよね?」


「で、でもよ」


「禁止よ、次破ったら埋める」


親指を下に突き立て死刑の執行猶予を告げる鏡花に隣にいた雪奈と浅野は驚いている


まさかこんな表情を見せるとは思っていなかったんだろう、意外な一面に雪奈は少しだけ鏡花にやさしくしようと思った


陽太は気を取り直して炎を高める


「なんだ?面白いものは見せてくれないのか?」


「あぁ、残念ながら女王様の命令じゃ逆らえないんでな!」


陽太は突進する


向かってくる刃を紙一重でかわしながら拳を振りかざす


拳は間違いなく淀川の身体に命中する


その体が少し後方に弾かれるも、彼自身にダメージは通らない


あの鎧を何とかしなければならないようだった


「ったく、あのデカブツといい、お前といい、鎧の中に引きこもんのが大好きか?」


「冗談言うな、あいつのは鈍重な兵士、俺のは騎士だ、優雅さが全く違うんだよ」


騎士という言葉に陽太は静希の剣オルビアを思い出して笑う


「騎士?お前みたいな腐った騎士なんているかよ、精々落ち武者か浮浪者がお似合いだぜ?淀んだドブ川くん?」


「・・・あぁ?殺すぞ?」


「やってみろ、ど三流が」


鬼と騎士、見ようによっては騎士は正義の証とも言える


だがこの時、鬼は少なくとも悪ではなかった


陽太と淀川の戦いが激しくなる中、静希は攻めきれずにいた


突進を繰り返す中何度も関節部めがけナイフを射出するのだが、常時動いている相手に的確にナイフを当てるなどできるはずもない


結局すべてのナイフを射出し成果は一本


すれ違いざまほぼ零距離で放った物だけ


しかもそれは足ではなく肩、鎧の隙間から打ちこんだためにそれほど深く刺さっているわけでもない


尾道は突進では静希の速度に対応できないと察したのか、地面を変換し鎧の腕部を巨大化し槌のように作り変え攻撃してきていた


両腕による打撃強化状態での接近戦


高速で繰り出される両腕の連撃を静希は体捌きと剣を用いての受け流しで捌き続けていた


静希のオルビアを用いた防御は的確、そのうえ早いが重量がこもる攻撃に対してはどうしても受け流す以外に対処法がない


なぜならオルビアの剣には重さがない


物理的に重さが少なければ簡単に動かすことができ、速く動かしやすい、だが逆に一撃に対しての威力は無く、防御に関しては盾となるが踏ん張りがあまり効かないことを示す


そしてオルビアの剣の形状は西洋剣の両片手兼用の剣


本来はその重さと長さで相手に叩きつけるように使うのだが、その重さがなくなったことでオルビアの攻撃法は刀のような引いて切るといった技術を必要とするものに変わっている


対人戦は嫌という程やってきた、だがここまで静希と相性が悪い能力者も珍しい


周囲の物質を鉄や鋼などの鉱物に変換、それを纏うことで鎧を作る


静希の動きを見失うような仕草があるところを見ると陽太のように感覚器官の能力が強化されているわけでもなさそうだった


本来前衛の壁役となるであろう能力者だ


圧倒的な防御、先ほど尾道を吹き飛ばした陽太の一撃でもその鎧には傷一つ入っていない


恐らくは鏡花と同じ変換系統、構造変換を可能とする程に優秀なのは見ての通りだがその範囲に制限があると睨んでいた


攻撃を受ける度に痺れる両腕から察するにこの鎧の重量は凄まじい、なのにもかかわらずあれだけの攻撃速度を維持できる


だが攻撃の威力を考慮に入れると筋力の強化もかかっていない


「お前ゴーレム使いか?」


「良くわかったな・・・打ち合っているだけで分かるものか?」


「うちにも優秀な変換能力者がいるんでね」


ゴーレム


物質の形状を変換し続けることで鉱石などで出来た人型の人形を動かし戦わせる能力だ


本来なら使用者とゴーレムは離れた位置にあるものだが、この場合尾道はゴーレムとなる鎧を身に纏って、身体ではなく鎧を動かしている


「わざわざそんな戦いするとこみると、変換可能範囲が狭いのか?」


「それも正解だ・・・お前の能力も教えてくれると助かるが」


「ただのしがない収納系だよ」


振るわれる大きな拳を剣で受け流しながら静希は隙を見て鎧姿の尾道に斬りかかる


金属と金属がぶつかり合うことで金属音と火花が飛び散るがそんなことは静希も尾道も気には留めていなかった


高速で攻撃を繰り返す半面、体はずっと地面にある尾道に対し静希の動きは非常に軽やかだ


時に転がり、時に飛びあがりながら攻撃を剣で作ったレールで尾道の拳を受け流していく


そして僅かにできた隙で斬りかかる


「お前も苦労してんのな、あんなバカに付き合ってんだから」


「わかっているなら放っておいてくれ・・・こんな面倒なことさっさと終わらせたいんだ」


恐らく今回一番の被害者を明利とするなら二番目の被害者はこの尾道だろう


だが淀川の味方をしている以上、静希にとっては敵であることに変わりはない


大きく振りかぶり渾身の一撃を仕掛けてきた尾道に、静希は身を低く、スタンスを広く、踏ん張って剣を片手で構えもう片方の手でトランプの中からあるものを取り出す


拳を避けながら剣を鎧の足の隙間に差し込み、そのままてこの原理を利用し転ばせると同時に取り出したスタンバトンを鎧めがけ叩きつける


高圧電流が鎧中を駆け巡りそのまま煙をあげて尾道は地面に横たわる


誤字報告を受けたので複数投稿


誤字が多いせいで物語が加速していく!


やっぱノリノリで書いた場所はかなり誤字が多いですね


追いつくことは無いにせよ昨日今日だけで一気に進んだな・・・


これからもお楽しみいだたければ幸いです

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