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J/53  作者: 池金啓太
七話「有無にこだわる自尊心」

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切裂き魔の断言

「おい鈍、あの子らいったい何やってんだ?」


静希達を観戦している雪奈の元に浅野青葉がやってくる


状況を見ながら辺りを見回して僅かに小声になる


「止めた方がいいぞ、あの淀川とかいうやつ、結構やばい」


「問題ないね、あの子らは勝つよ」


「お前がどう考えてるのか知らないがそのない頭絞って良く考えろ!あいつは学年首位の能力を持ってるんだぞ!?あの子がどんな能力を持ってるか知らんが止めるべきだ」


それは先輩がするべき行為だろう


後輩が勝てないような相手とぶつかった際、導くなり守るなりするのが先輩の役目だ


だが雪奈はそれをしていない


浅野はそこが許せなかった


「お前が止めないなら私が止めるぞ?わざわざ晒しものになることは」


「いい加減にしろ乱射狂、静は勝つよ」


「何を根拠に?」


「・・・」


雪奈は黙る


そしてため息をついた


「静が本気になったら、私は勝てない」


「・・・なんだと?」


浅野は耳を疑った


以前合同実習で雪奈を見て、互いに実力を認めあっている


だからこそいがみ合うのだが、その雪奈が本気になった静希に勝てないと


後輩で、あんな礼儀正しい挨拶をする少年に勝てないと


「雪奈さん、それどういうことです?」


話を途中から聞いていた鏡花も気になったのか疑問を投げかける


「私達の能力ってさ、基本的に加減が利くでしょ?私のナイフにしろ、鏡花ちゃんの変換にしろ、あんたの引き金にしろ」


雪奈の言葉に二人は頷く


そもそもコントロールできなければ自分で能力を制御しているとは言えない


能力をコントロールし、加減の術を見つけ、制御するのが能力の正しい運用だと言える


「でもさ、静の攻撃って基本的に加減のできないものばかりなんだよね、武器を投げたり爆発させたり、道具や物の力そのものを使ってるから」


確かに静希の攻撃はナイフの投擲や水素の爆発など能力を直接使うものではなく、能力を使って武器や道具で攻撃しているという印象が強い


だからこそ静希の能力は弱いという印象を強めるのだ


「普段静は攻撃する上でかなり気を使って攻撃してる、急所に当たらないようにとか、目とかの大事な器官に傷がつかないようにとか」


確かに投擲用の攻撃は一歩間違えれば一撃で人を殺せる


水素爆発の火傷も場所を間違えれば目を潰すことだってできる


だからこそ静希は攻撃の際、一番気を使っているのである


「だから静が本気になった時って、基本的に攻撃の手段を選ばないんだよ」


「本気って・・・どのレベルで?」


「相手を殺してもいいっていうレベル」


その返答に鏡花は戦慄する


確かに相手を殺すと決めた時、鏡花が見たことがあるのは能力が使用不可になったあの無人島で奇形種に何のためらいもなくナイフを大量に浴びせた静希の行動がまさにそれだ


静希が全力を出す時、相手の生死を問わない


それはザリガニの討伐時の実習もそうだった


相手を完全に殺しきるために静希は明利の力まで借りてザリガニを戦闘不能にした


本気になった時静希は相手を倒す為の手段を選ばない


静希から言わせれば自分は弱いから手段を選んでいられないと言うだろうが、なりふり構わないというのは実際恐ろしいものである


「静が本気で怒って攻撃してる時点で、あの淀川ってやつに与えられた選択肢は二つだね」


「二つって・・・もしかして」


「生き延びるか殺されるか、そのどちらか」


雪奈はそう言いながら腰に付けたナイフに手をかけている


もしもの時は自分が止めに入る気だろう


今雪奈が心配しているのは静希が負けることではない


静希が人を殺してしまうことだ


生物を殺すことは静希は何度もやっている


だが人を殺したことなどない


それは絶対にやってはいけない一線である


故に雪奈は静希の一挙一動を見守っていた


静希が決してその一線を越えないように


「ちなみに陽太に関して何か心配は?」


「ないね、あいつほどしぶとい奴はいない、殺したって死なないよ」


それは実践したうえでの発言か、今実際に淀川と対峙している陽太はまったく心配されていない


ある意味信頼の証なのだろうが、本人からすれば不名誉極まりない、そしてなんともおこがましい評価である


まるで黒の三連星のごとくジェットストリーム誤字報告をいただいたので複数投稿


まさか同じ誤字に三人もの方が報告しに来てくれるとは、嬉しくもあり情けなくもあり


俺を踏み台にした!?などという暇もなく毎日コツコツ投稿していきます


これからもお楽しみいただければ幸いです

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