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J/53  作者: 池金啓太
七話「有無にこだわる自尊心」

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集合する優秀班

静希達は喜吉学園の校門付近に集まっていた


そこにはすでに何人かの生徒がいる、彼らも最優秀班の人間のようだった


「まだみんな来てないのかな?」


「そろそろ時間的に来るころだと思うけど・・・あ、噂をすれば」


静希達の目に入ったのは班の良心こと明利、そして班長清水鏡花だった


「なんだ私たちが一番じゃなかったんだ」


「二人とも早いね」


鏡花は静希と雪奈の荷物の多さに若干引いている


何せ静希はカバンの中にナイフを、雪奈はすでに肩に刀二本背負い、カバンにはおそらく何本ものナイフと装備用のベルトなどが入れられている


鏡花はその状況をおおよそ正しく把握していた


「こうして改めてみると物々しいですね、能力者じゃなかったら一発通報ものですよ」


「はっはっは、子供のころから通報なんて慣れっこだよ」


「それにこの近辺の人なら雪姉がこんな恰好してても通報する人はもういないよ」


「すごく印象的だからね」


その印象がいいものか悪いものかはさておき、刀や大剣、ナイフなどを外出時に常備している女子といえばこの辺りでは一人しか該当はないだろう


通報され警察の御厄介になったのも数えられない程、その度に能力者であることを証明したり学生証を持ち歩いたりと雪奈も雪奈で苦労している


「通報って聞くといい印象はない気がするわね」


「そうでもないよ?おかげで警察署の人たちとほぼ顔見知りだしね、たまにだけど顔出してるし」


「雪奈さん、今度は何したんですか?」


「いやいや私は何もしてないって、たまに意見を聞きたいって呼ばれるの」


刃物に関しては最高の技術を有する雪奈は刃物の関わった殺傷事件などに関しては専門家だ、彼女にかかればその傷がどのような刃物によって与えられた物なのか見ただけで分かってしまう


「何だお前達、早いな」


「ふい~、なんとか間に合ったか」


遅れてやってきたのは熊田、そしてさらに遅れて陽太だ、この組み合わせはなかなか珍しい


「遅いわよ、集合時間ぎりぎりじゃない」


「いやいや、遅れてないじゃんか、そう目くじらたてんなよ」


「次回からは気をつけよう、まさか年下から注意を受けるとはな」


「たるんでる証拠だ、もっと言ってやりなさい鏡花ちゃん」


雪奈の許可が下りたがそこは年上で先輩、鏡花自身あまり強くものは言いたくないようでため息をついてその場は収めた


「お前たちもそろっていたようだな」


突然声をかけられ静希達が振り返るとそこには見たことのある顔ならぬ仮面があった


「石動、やっぱお前目立つな」


「そう言ってくれるな、こちらとしても衆目に晒されるのは好きではないのだ」


石動は目立つのが好きではないのか落胆しながら辺りの目を気にしているようだったが、この様相では嫌でも目立つ


なにせこの学年たった一人のエルフなのだ、注目しない方がおかしい


「他の班員は?」


「先生の元に行っている、お前達の姿を見つけたので声だけでもと思ってな」


なんとも律儀なことだが、実際のところ石動は少々戸惑っているようだった


事前の説明会で静希達の姿を見つけた時、静希と陽太の評判を班員から聞いていた石動はその評価の低さに驚いた


静希は能力の低い落ちこぼれ


陽太は能力を制御できない落ちこぼれ


二人は落ちこぼれコンビなのだという周囲の意見にとても驚いた


だからこそ彼の班が最優秀班として説明会にいた時さらに驚いたのだ


そして何より驚いているのは自分の村で起こった事件を彼らの手でほぼ解決へと導いたこと


神格の関わっていた事件を解決へと導いたとなればそれは単なる能力者の域を超える


なのに周囲からの評価は低い、周囲の評価は低いのに優秀


なんとも矛盾した状況に、石動は動揺していた


「お前達の評価をメンバーに聞いた時は、優秀班に選ばれることはないと思っていたんだが・・・」


「まぁそうだろうけどな、選ばれたのはこの班長のおかげさ」


「我らが女王!清水鏡花様なるぞ!頭が高い!控えおろう!」


「バカなことしないの!」


落ちこぼれコンビが仰々しく鏡花を持ち上げるが鏡花は持っていたカバンで二人の頭を叩く


「女王様かぁ、似合ってるかもね」


「ちょっと明利まで!変なこと言わないでよ」


「はっはっは、お前達はきっと個々の能力より連携で評価を得たのだろう、それは誇らしいことだ」


石動が笑っていると遠くから彼女を呼ぶ声が聞こえる


「すまない、呼ばれているようだ、それではまたあとでな」


石動は人の合間を縫って仲間の元へと帰って行った


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