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J/53  作者: 池金啓太
七話「有無にこだわる自尊心」

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終業、夏休みの

「時に静、さっき言ってた新技、お姉さんだけにこっそり教えてくれんかね?」


ねだるように身体をすりよせながらニヤニヤ笑い静希に迫る雪奈を見て静希は眉間にしわを寄せながらため息をつく


「知ってどうすんだよ、雪姉にも教えないぞ」


「そうケチケチしなさんな、教えたって減るもんじゃないっしょ?誰にも言わないから」


「まぁいいけどさ、聞いたところでたいしたことないぞ?」


静希が自分の手札の新しい攻撃方法を告げると雪奈は顎に手を当てて何度もうなずいている


「なるほど、静らしいって言えばらしいかな、用意も簡単だろうし」


「だろ?結構いいと思うんだよ、まだほとんど実戦してないけどな」


何度かテストはしたが実戦で使ってみないことにはなんとも言えない


有効ならばこれからも使用していくことになるが試験段階のままではどのくらい有用性がありどれほど欠点があるのかもわからない


雪奈相手に試してみることも考えたのだが万が一死なれては困る上に怪我をさせるのも憚られる


校外実習が行われるまで少しばかり待つしかないようだ


雪奈が帰宅し、翌日の終業式


長かった一学期も今日で終わりを迎えここから一カ月超過の夏休みが始まる


「夏休みだぁ~!今年はどうすっかなぁ」


「このバカの特訓の合間に海でも行かない?班で行動すれば許可も下りるでしょ」


「海かぁ、プールとかキャンプとかもしてみたいよね」


「裏を返せば遊び以外は特訓っすか、そうっすか」


夏の日差しが一層強くなっていく中生徒はようやく解放された学業に一区切りを打とうとしていたのだが、教師陣はそんなことは許さなかった


一学期最後のHR、城島は喜々として教室内に入ってくる


「はっはっは、お前達一学期は死人も大きな怪我人も出ずなかなか順調なようだが、ここでお前達にプレゼントだ、受け取れ」


前から配られてくる紙を見てクラスメートが悲鳴を上げ始める


そこには各教科の宿題、そして夏季長期休暇中に行う校外実習についてが書かれていた


全員が悲鳴をあげている中それを見て城島は嬉しそうに笑っている


各教科の宿題はそう辛いものではない、だが校外実習に関しては少々面倒な諸注意があった


担当教官の都合に合わせて班ごとに夏季休暇中どこかに必ず一回校外実習を行うこと


静希達の場合城島の暇な日程に合わせて班員の予定を合わせなくてはならないことになる


雪奈や熊田にも了承をとっておかなくてはならないと思いながら静希は紙にいくつかのメモを書き込んでいく


「さてお前達は高校初めての夏休みだ、一学期で自分に足りないものを理解した奴、こういうふうになりたいと思った奴、それぞれ時間を無駄にせず有意義に過ごすことを期待する、怪我風邪に気を付けて遊べよ、以上解散」


起立礼をした後全員がざわめきだす


「うえ、やっぱ高校になると教科数多いから宿題も多いわね」


「うん、一つ一つは簡単だけど、こんなにあると・・・目が回りそうだね」


「しかも校外実習付きだぜ、今のうちに予定聞いとくか」


「そうだな、せんせー!」


職員室に戻ろうとした城島を呼びとめ静希達一班が駆け寄る


「なんだもう予定確認か?」


「だってそうじゃないと夏休み連絡すんの面倒じゃないっすか、で、いつヒマなんです?」


城島は面倒そうに手帳を取り出して日程を確認しているようだった


夏休みといえば教師も休みではないのだろうかという疑問を持ったが、実はそうではないらしい


「そうだな、八月の二十日以降なら問題ない、そのあたりにしてくれると非常に助かるな」


「それ以外って何してるんですか?」


「面倒な書類整理や学会、あといくつか出張が入っている、これでも忙しいんだ」


思い出すと城島は実習中はだらけているか書類を書いているかのどちらかしかしていない


めりはりの激しい人なのだということはわかるのだが、やはり社会人ともなると忙しいのだろう


「じゃああとで雪姉と合流した時にそのこと伝えなきゃな、三日か四日くらい時間空けてもらわないと」


「そうね、それまでは自由に遊べそうね、陽太で」


「俺をおもちゃにするのはいけません、動物保護法に違反します」


「え?人権無視じゃなくて?」


すでに静希達は夏休みどのように過ごすかという予定作りに入ってしまっている


その様子を見て若干苦笑しながらも城島は口を開く


「お前らじゃれるのはいいが集合時間に遅れるなよ?」


「はーい、んじゃとりあえず帰ってまた集合か」


全員一度帰宅し荷物を置いて自分の持てる最高の道具を取り出す


事前にまとめておいた最高装備


ちょうど静希が家を出た途端に雪奈も出発するようだった


「お、ナイスタイミングだったかな?」


「あんまりナイスじゃないけど・・・てか雪姉それなに?」


静希が気になったのは雪奈が両腕に付けている篭手のようなもの


手首から肘のあたりまであり、妙なふくらみがある


「ふふん、あとで教えてあげよう、これは私の新兵器なのさ」


「へえ、んじゃ行こうか」


「ちょっ!もっと質問とかしてよ!」


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