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J/53  作者: 池金啓太
七話「有無にこだわる自尊心」

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事前連絡

次の日、終業式を翌日に控えた通常授業の最終日


テストも終わり成績発表も終わり、緊張の糸が緩みまくった状態で静希達は翌日の交流会の為の事前連絡会に呼び出されていた


「え?引き出し!?何でお前が?」


「あれ?何でお前いるの?」


「ちょっとどういうこと?あれ?集合場所間違った?」


などと昔馴染みの一年生仲間からは驚かれたものである、半ばわかりきった反応だがなかなか腹立たしいものがある


「えー以上が明日の交流会の注意事項です、何か質問は?」


決まり文句とも言うべき教師の発言にその場に集められた生徒達は沈黙をもって答える


「では以上、解散とする」


教師の合図とともにその場にいた生徒たちが一気にざわめき始める


「あぁぁぁ!終わったぁ!」


一年生は全部で六組、今年のこの地方の能力者は平均をやや下回る数だと言われており数的には少ない方だ


集められた二年生を含めた三十六人が一斉に動き出す為、辺りは一気に騒がしくなっている


「にしてもあの注意事項って何か意味あったのかしら?」


今回言い渡された注意事項は数点


他の学校の生徒に迷惑をかけないこと


武器を所有する生徒は自らの最大戦力を用意すること


欠席しないこと


節度ある行動をすること


他の連絡事項といえば服装や荷物、集合時間と場所程度


「最高戦力って面倒なんだけど・・・やぶっちゃだめかな」


この班の中で唯一武器を主体とした攻撃手段を用いる雪奈は微妙に浮かない顔をしている


雪奈の最大装備というとザリガニ実習の時のあの大剣も含まれるのだろうか


だとしたら移動が非常に面倒なことになる


「刀とナイフだけでいいんじゃないか?わざわざ物理的な強さだけを求めるわけでもあるまい」


「だよね、よしあとで静の家にナイフ取りに行くから」


「そろそろ自分で用意することも覚えろ」


とはいいつつも拒否することはしない静希、なんだかんだで甘いと言わざるを得ない


「そういや静希はいいのか?最大戦力って切札も含まれるだろ?」


「あー・・・あと少しなんだけど、間に合いそうにないよな・・・」


切札たる硫化水素、めでたく材料は手に入ったのだが未だ生成に時間がかかってしまっている


何せ劇物なので反応を見ながら漏れないように厳重に注意しながらの作成だ、水素や酸素とは緊張の度合いが全く違う


一歩間違えればすぐにあの世に行きかねない


「なんなら私が作ってあげてもいいけど?」


「お前が?変換能力の悪用に当てはまるぞ」


「今回の場合はダメかしら?学校側の命令的な」


「ダメに決まってる、今回も切札なしだな」


変換能力の悪用


鏡花の持つ構造変換の威力は超が二つ付くくらい強力だ


ただの石を金に変えることさえできる力だ、その気になれば経済を破綻させかねない


そして簡単に毒物や劇物を作れてしまうために変換能力者、特に構造変換を使える能力者は能力使用に制限が多い


貴金属などの希少価値の高い鉱石や、毒性が高く被害を振りまくような物質の製造の制限


制限というだけあって認められない訳ではないが、非常に面倒な証明書や許可書を申請しなくてはならない


ばれなければ犯罪ではないなどと言っていられるのも僅かな時間の間だけ、この国の委員会は優秀だ、その気になれば鏡花がなにを変換製造したのかなどあっという間に調べ上げられてしまう


「でもそうするとお前の攻撃手段一つ少ないじゃんか、どうすんだ?」


「それに関してはもう考えついてある、安心しろ」


「なに?新技?」


思わせぶりな発言に鏡花が食いつくが静希はバツが悪そうに手を振る


「そんなたいしたもんじゃない、どっちかって言うと牽制だな、前みたいなデカブツには通じないし、今までより少し攻撃に幅を利かせる程度だよ」


「ふぅん、気になるわね」


「たぶんお前が思ってるようなものじゃないぞ?」


攻撃は自分の本来の仕事ではないと言いつつ静希は攻撃手段を多く所有している


その攻撃力は一つ一つ見れば誰にでもでき、代用できるようなものばかりだ


だからこそ手数を求めるのが静希の思惑でもある


一撃で陽太や雪奈に勝る威力は出せない、ならば手数で補うまで


「ほう、そういわれると挑戦を受けている気分だわ、当てて見せましょうか?」


「どうぞ、あたるとは思わないが」


挑発的な笑みを浮かべながら静希は鏡花に回答を促す


「新しい気体」


「外れ」


「トラップ」


「外れ」


「新しいナイフ」


「外れ」


「睡眠薬!」


「もう持ってるっての」


次々と道具をあげていくがどんどん不正解が付けられていく


ついには鏡花が先に折れ、回答を放棄した


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