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J/53  作者: 池金啓太
二話「任務と村とスペードのクイーン」

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イメージ

紙に描かれた獣の姿に静希はため息をつく


「にしてもこれ、確実に奇形種っぽいな、雪姉、こんな感じの姿ってあり得るのか?」


目が二対、普通の哺乳動物ならばあり得ない形だ、視神経や脳の構造がどうなっているのかも見当がつかない


「さあな、昔私がやったことあるのは腕に目があったり、脚が五本あったり、あれはそういう生き物だとばかり思ってたんだけどなぁ」


もうこの際雪奈は戦闘以外では意見は聞かないことにしよう、話が進まない、と静希は心に決める


「熊田先輩はどうですか?こういう種類、経験ありますか?」


すでに笑っていた時の面影はなく、静かに状況を捉えられる顔になっている


雪奈と同じくスイッチの切り替えが絶妙だ


「あぁ、目が何個もあるっていうのは奇形種の中ではよく見られる特徴だ、むしろ四本足であることに感謝するべきだな」


四本足である方が珍しいのかと静希は額に手を当てる


いや自分達は運がいいのだ、こういった相手を一番最初の任務で受け持てるのだから


「こっちの報告は以上よ、次にフェンスのところに行った三人から」


「あぁ、現状を見てきた結果、あとさっきの話を聞いて大体の目標の能力を推測した、まずフェンスの写真、これを見てくれ」


デジタルカメラで撮影したものを画面に映し出して全員に見えるようにする


「この切断面、雪姉にも見てもらったけど物理的切断、爪や牙での切断痕ではないと判断した、恐らく能力だろう、次にこのクレーター、周囲に焼け焦げた痕跡などがない点と、さっきの発光がないっていう証言からまず熱、炎系統の能力はないだろう」


その二つの能力だったらどれだけ対応が楽だろうか


炎と熱が相手の能力だったなら陽太の独壇場だ、陽太の能力はあらゆる炎を自分の力に変える、炎によるダメージはほぼ無効だからこそ、相手の能力が炎であってほしかった


「能力系統は発現か付与、発現の場合応用能力として切断と爆発または衝撃波などの使用、付与の場合付与する物によって効果が変わるような特殊なものか、または付与する物は同じだが場合によって能力を変えられるような力か、ってところだろうと思う、何か質問は?」


見回すととりあえず質問はなさそうだった


「じゃあ次、明利が見つけたマーキングらしき痕跡についてだ、これがそうだ」


今度は全員に木の高い部分につけられた傷を見せる、四本の爪か何かの痕が並行して木の幹を傷つけている


「これってどのくらいの場所にあったの?」


「破壊されたフェンスからそう離れていない場所の木だ、高さは二m弱ってところか」


「ずいぶん高いところにあったのね」


「目撃されてる獣の大きさが・・・犬より少し大きめだったっけか?よじ登ったのか?」


全員で考察を続けているが、その考察はまた後でだ、さっさと報告事項を終えなければならない


「あと、村全体をぐるっと回って他にフェンスの破損部位などがないか、侵入経路がないか調べてきたけど、侵入できそうな場所はこのフェンスのみ、大きな道路のところには獣避けの匂いやら道具やらがたくさん配置してあって普通は近付かないそうだ」


静希たちが乗ってきたバスが通るほど大きな道にはしっかりと獣対策がされているらしく近年動物を轢いたなどの事故はほとんど起きていないそうだ


「明利のマーキングをこのフェンスの周囲三十m弱に施してある、あと万が一のために等間隔で村の周囲をぐるっと囲んであるからだいたいどこから来ても反応できると思う、以上でフェンス捜査班の報告を終える」


全員の報告を終えたうえで、静希は大きく息をつく


現状においての問題は三つ


いつどこに目標が現れるか不明


目標の具体的な形状が不明


目標の詳細な能力が不明


主に上げるのならこんなところだろう


これ以上のことはわかりようがない、あくまで予想の範疇でしかない


後はぶっつけ本番のアドリブ


「そうだ、鏡花、頼んでおいた歯の模型、できるか?」


「えぇ、ここじゃなんだから庭に作るわ」


窓を開けて縁側の地面に手をつくと、地面の一部が変形していき鏡花の想像する目標の姿が投影されていく


四本足で駆動し、顔は猿のようで額の部分にもう一対の目がある、身体の大きさは四本足の状態で犬より少し大きい


「これはあくまでイメージよ、歯だけの模型はこんな感じ」


短い集中の後に鏡花の手の上には入れ歯のような歯の模型ができる


どの歯も鋭く尖っており、攻撃力は高そうだ、何よりこれほどとがっているのに肉ではなく野菜を食べているというのが気にかかる


だが妙に前足が細いように見える、これも特徴の一つか


「先輩、どうです?」


「形状的に猿の奇形種かな、変化部位は顔、ここからは現物を見ないことには何とも言えないね」


「でも大方のイメージはできた、こいつを倒せばいいんだな?」


雪奈はこれを見て戦いのイメージを高めているのだろう、どんどんと好戦的な顔つきになっている


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