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J/53  作者: 池金啓太
七話「有無にこだわる自尊心」

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優秀班

「全員大体評価は見終わったようだから発表するぞ、今期の最優秀班は問題への解決速度、および依頼人への貢献度、そして依頼の難易度、あと今配った班評価を加味して決定した、このクラスの最優秀班は」


城島が一旦言葉を切って全員の反応を見る


「清水率いる一班だ」


城島の言葉とともに全員が静希達を注目する


拍手とうらやましいぞという声が聞こえながら静希達は苦笑いする


「よって一班は全員この後残ること、今度の終業式の後行われる交流会への軽い打ち合わせをするから帰宅しないように、成績に関しては以上、各自解散」


号令とともに全員が立ち上がり大きく伸びをする


今までの緊張感がどこへやら、学業から解放され学生ならではの会話が繰り出される


やれゲーセンに行こうだの、カラオケに行こうだの


その中で静希達は苦笑いしながら顔を見合わせていた


「どうすんのよ、優秀班になっちゃったわよ?」


「面倒事の匂いがするぜ?主に静希の方から」


「完全同意だよ、何で先生も止めないんだ、俺達選んだら面倒なことになるのわかってんのに」


「他の班の成績があまり良くなかったのかな、それでしかたなく・・・とか?」


こんな会話をするのも無理ない話である、何せ城島がとてもいい笑顔でこちらを眺めているのだ


その笑みがいったいどんな意味を持っているのか静希達にはまったくもって理解できない


途中同級生達からの賛辞を受け取りながら最後まで残っていると、城島は教室の鍵を閉めて大きくため息をつく


「面倒なことになったぞお前ら」


城島の開口一番の台詞がこれである


もはや面倒事には慣れ始めている静希達からすればあぁやっぱりなという感じだ


「今度は一体どんな面倒事です?お偉いさんが俺を引っ張りだそうとしたんですか?」


「いや、お前たちが優秀班になったのはお前達の実力だ、それは誇っていい、良くやったと褒めてやりたいくらいだ」


城島がやたらと静希達を持ち上げる


これ程城島がこの班を評価するのは珍しい、他の班がひどかったのかそれとも静希達が優秀だったのか、どちらにせよここから先を聞くのが怖くなってくる


「でも先生、こいつが抱えてるもの考えると優秀班からは外した方がよかったんじゃないですか?明らかに面倒事の匂いが濃厚ですよ」


「わかっているが、クラスの優秀班は私だけが決めるんじゃないんだ、他の教員とも決めるから私だけが反対しても意味ない・・・というか面倒事はそこじゃないんだ」


そういって城島が取り出したのは件の国内交流会


四つの能力専門学校の一年の優秀班が集って互いに親睦を深めるという内容だ


参加資格は優秀班に所属している一年生、そして同じ活動をした補助二年生、そしてその引率教師と監査教員


今回の場合静希、明利、鏡花、陽太、雪奈、熊田、城島、そして監査の先生が当てはまる


「これだけですか?別に面倒なことは」


「裏を見ろ、現状だけで参加が決まっているお偉いさんの名前の欄だ」


眉をひそめて裏を見てみるとそこには見たことのない名前や階級がびっしりと埋め尽くされている


日本の軍事、政治、学会、委員会


これを見ただけで嫌気がさすのだが問題はそこだけではなかった


そこにはイギリスの専門学校の連合委員会の会長や各幹部の名前まである


「ちょ、先生、この交流会って日本だけが参加するんじゃないんですか?」


「無論日本しか優秀班の選出はない、だがどういう気まぐれか向こうのお偉いさんが今年の一年に興味を持っちまったらしくてな・・・日本だけならまだばれても問題はそう起きないと思って気が楽だったんだが・・・これで心労が十倍くらい増したよ」


以前海外交流でもとにかく悪魔と神格の存在が外部に漏れないように細心の注意を払っていたのだが、今回もそれが続く


しかも今回はお偉いさん直々のご登場ときたもんだ


もしそんな場でメフィと邪薙の存在がばれた日には外交のカードにされかねない


一介の学生としては最も避けたい事柄である


十五の身空でそんな面倒事を背負い込むのは真っ平御免である


「何か都合をつけてお休みするとかだめですかね?」


「その場合正当な理由がなくてはな、風邪とかだと能力者が駆けつけて強制的に治療されて連行されるぞ」


家族の誰かが亡くなったとか法事とか、公欠に当たるような理由がなくては難しい


仮病も医療チームが駆けつけることを考えるとすぐに看破される


「お前達はとにかく悪魔が外部に露見することだけは避けろ、万が一のことがあれば私もフォローする」


「了解です、じゃ雪奈さん達にもこのこと伝えなきゃね」


「そうだな、一応向こうの担任から通告はあるだろうが、お前達の口からも伝えてやれ、その方が喜ぶだろう」


「よっしゃ、今日は打ち上げでもするか静希んちで」


「はいはい、ピザでも取るか?それとも寿司か?」


「ケーキも食べたいね、買ってこなきゃ」


面倒事の話は一時忘れ、今はクラスで最も優秀な班と認められた事を喜ぶ


面倒事の話は打ち上げの後でもいいだろう


全員でまずは二年生のクラスへと向かった


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