成績表 能力
鏡花が恐る恐る手に取り早足で静希達の元に戻ってくる
「おいどうだった?!」
「まだ見てないわよ」
「早く、早く!」
「さっさと開けろよ」
二つ折りにされた成績表を開く
そこには六段階に分かれたグラフが記されていた
能力使用適正、対応力、思考力、意外性、精神安定性、連携・協力性の六つの科目で分かれチームの評価と個人の評価に分かれている
評価は能力規定と同じS~Eまでの評価
これは単なる能力の優劣ではなく、実習時どのように動いたか、どのように行動していたかを見るもののようだ
校外実習の評価をもらうのが初めての為良くわからない評価がいくつかある
悩んでいる中全ての班に配り終えた城島が口を開く
「今配ったのがお前達の実習でのチーム評価と個人評価だ、良く見ておけよ」
「先生!この項目って何が言いたいんですか?」
生徒の質問に城島は正確に六角形を描いていく
「能力使用適性は、正しい場面で正しい能力を選択し使用できたかどうか、対応力は文字通り問題に対し正確に瞬時に対応できたかどうか、思考力も同じく文字通りどれだけ考え、解決に導けたかどうか、意外性はこちらが予想もしないような行動、解決策ができたかどうか、精神安定性はどのような状況でも冷静に物事を捉えられ、行動できたかどうか、連携協力性はそのままだ、どれだけ協力できたかだ」
その評価は大体でしかないから気をつけるようにと城島の発言の後生徒全員がその評価を注視する
静希達のチーム評価は以下の通り
『能力使用適正』A『対応力』A『思考力』S『意外性』S『精神安定性』A『連携・協力性』S
「・・・これってかなり高いんじゃないか?」
「うん・・・SとAが半分半分だもんね・・・」
「分かんないわよ?他のはみんなSばっかかも」
「個人評価も見てみようぜ」
次は各班員の個人評価
五十嵐静希
『能力使用適正』B『対応力』A『思考力』S『意外性』S『精神安定性』S『連携・協力性』S
響陽太
『能力使用適正』C『対応力』B『思考力』E『意外性』C『精神安定性』S『連携・協力性』S
清水鏡花
『能力使用適正』S『対応力』A『思考力』A『意外性』A『精神安定性』C『連携・協力性』S
幹原明利
『能力使用適正』S『対応力』C『思考力』B『意外性』B『精神安定性』A『連携・協力性』S
全員の評価を見比べて全員が顔を見比べる
「こうしてみると俺と鏡花の評価が高めかな?」
「それは当然だけど、鏡花の精神安定酷いな一番低いぞ」
「あんたの思考力なんて最低評価じゃない、なんにも考えてないってどうなのよ」
「でもみんな連携と協力性はSだね」
よくよく見てみれば確かにばらつきはあれど連携自体は上手くいっているようだった
そして個人評価の横に教師からの一言だろうか、備考欄に何やら書いてある
【五十嵐静希】『緊急時での思考力と意外性は随一、常に冷静な判断を下す班の司令塔といっていい存在、能力が弱いせいか何をするか分からないがもう少しまともな手段を講じることを切に願う』
「なにこれ!もっとまともな手段使えだって」
「笑うなよ、いい評価じゃねえか常に冷静な司令塔」
「次俺見てみよ」
【響陽太】『前衛としての能力は高いのだが考えなしに突っ込むためフォローが必要、安定した精神力を持っているのだが能力が安定しない、今後に期待する』
「あっはっはっは!やっぱ考えなしはだめよ陽太、ちょっとは考えないと」
「うっせえ!前衛として役に立ってんだからいいだろうが!」
「次は、私だね」
【幹原明利】『班の中でも戦闘向きではないが能力を利用した班への貢献度は非常に高い、身体能力がやや低く、発言をあまりしないのが惜しい、もっと自己主張を多くすることを期待する』
「やっぱり明利はこういう評価になるか、まぁ仕方ないかね」
「うぅ、これでも頑張ってるんだけど」
「でもいい評価じゃねえか、これからも頼りにしてんだぜ?」
「最後は私ね、いいこと書いておいてよ?」
【清水鏡花】『攻防、フォローともに能力は非常に高く思考力も高いのだが若干不測の事態に弱い、また班長という割に班をコントロールできていないのが欠点、今後の班員との接し方に注意が必要』
「あっはっはっはっはっは!置物班長ってか!?実質班動かしてんの静希だもんなぁ?」
「うっさいうっさい!あんたも一度やってみなさいよ!この班制御すんのなんてこいつ以外にできるか!」
「まぁまぁ、能力的には高い評価受けてんじゃねえか」
「そうだよ、鏡花さんがいなかったら大変だったことたくさんあるし」
笑われフォローされ互いに互いの評価を見終わったところで城島が手を叩く
どうやらいよいよ最優秀班の発表らしい




