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J/53  作者: 池金啓太
六話「水に混ざる命の香り」

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戦闘後の探索

「終わったぁぁぁぁ!あぁもう、こんなの二度とごめんだよ」


剣を軽々と引き抜きながら雪奈は大きく伸びをする


「ていうか雪奈さんそれ一体なんですか?」


「ん?私の愛剣」


「それもう剣って大きさじゃない気がするんですけど・・・」


その剣を構造理解しながら鏡花は驚愕の表情を崩さない


明らかに女子高生が持つような代物ではない、隻腕の黒い剣士が持っていそうな程に巨大だ


「よし記念写真撮ろうぜ、おれ上ってポーズ取るわ」


「はしゃぐのはいいけど亡骸に上るのはやめろ、さすがにかわいそうだ」


そういいながらも静希達は足元でVサインした集合写真をカメラに収める


カメラマンはメフィだ


勝利のムードにもかかわらず明利の表情は明るいとは言えない


「大丈夫か?」


「あ・・・うん・・・平気だよ」


静希が気を使って声をかけたが弱く笑い気丈に振る舞うばかり、平気とはお世辞にも言えない


「あんまり気にしすぎるなよ?これからこういうことあるかもしれないんだ」


「うん・・・わかってる」


明利も頭の中では理解しているのだろう


だがどうしてもその理解に心が追い付かない


静希は生き物を殺すことに躊躇はない、それが自分が生きるためなら仕方がないとも思っている


だが明利は自分の手で生き物を死に追いやったことは限りなく少ない


しかも同調という能力を持っているが故に明利は生き物に対して非情になりきれない


それは明利の長所でもあり、欠点でもある


「おっしゃ静希、報告行こうぜ!さすがに疲れた」


「いや待て、まだちょっと気になることがあるんだ」


静希の発言に陽太と鏡花は露骨に嫌そうな顔をする


「なに静希、こんだけ働かせておいてまだなんかするの?ザリガニの巣でもあさりに行くつもり?」


「よくわかったな、正解だ」


「ええ!?嫌よそんなの、なんかの生き物の死骸とかあったらどうするのよ!」


そんなもの今更怖がってどうすると静希は全員を見る


どうやら静希の気になることとやらがあることに興味がわいたのか全員で先ほど爆破したザリガニの巣まで戻ってきた


そして静希は足元に落ちているそれを拾い上げる


「何それ?」


「さっきお前が爆破した時に一緒に吹っ飛んできたもんだよ、何かの部品みたいなんだ」


静希が鏡花に見せたのはあの時一瞬拾い上げた鉄片


土の壁と一緒に吹き飛ばされてきたそれは確実に洞窟の内部からやってきたものである


「何でこんなものが?ていうかなにこれ?」


俺が知るかよと言いながら静希はトランプの中から懐中電灯を取りだす


滝を越えて洞窟内部を見る限りただの洞窟だ、岩によって構成され、辺りにはコケが大量に生えている、明らかに天然の洞窟であることは確かだ


「天然の洞窟だって言うのにこんな文明の欠片が出てくるんだ、ちょい妙じゃないか?」


「なるほど・・・確かに・・・」


「でも待ってよ、また面倒事に繋がってるかもよ?」


鏡花の言うことはもっともだ、これがさらなる面倒事への一本道かもしれない


だがそれでも調べずにはいられなかった


「熊田先輩、一度洞窟の内部構造を索敵してもらっていいですか?」


「任されよう」


熊田が能力を発動し洞窟内を調査する


すると怪訝な顔をして首をかしげた


「妙だな、岩とは思えない空洞、というより道がある」


「案内してください、陽太、明かり頼む、鏡花は酸素供給だ」


「えぇ・・・ほんとに行くの?」


「諦めなって、こうなった静は止まらないんだから」


熊田を先頭に洞窟の内部へと歩を進めていくと奥の方から風が流れてくるのを感じる


どうやらどこかに通じているようだった


「この辺りだな、照らしてくれ」


陽太が前に出るとそこには岩の間に大きく変形した下水管のようなものがある


本来は円形だったのだろうがところどころ無理矢理強い力で広げて行ったのだろう、かなり歪な形をしている


「なんだこりゃ、山の中に何でこんなもの」


「てか洞窟内に繋がってるって・・・あぁ面倒事の匂いがぷんぷんするわ」


鏡花の言う通り面倒事の匂いが濃厚になってきている


「でももしかしたらさ、あのザリガニを捨てた奴の家がこの先にあるかもしれないぞ?」


「えぇ?そんなことありえる?」


「もしあのザリガニが急成長して捨てられた元ペットだったなら、あり得る話だな」


懐中電灯で先を照らしてみるものの、通路はかなり奥まで続いているらしくその先を知ることはできない


「よし、どうせここまで来たんだ、行ってみようぜ」


「あぁもう、嫌な予感しかしない」


「いいじゃん、あのザリガニの飼い主にグーパンするチャンスだよ?」


「そんなチャンスいらないですって」


明らかにげんなりしている鏡花をよそに静希達はどんどん先に進んでいく


こういうところは男の子だ、妙な空間があったら調べたがる、まさに男の子の典型だ


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