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J/53  作者: 池金啓太
六話「水に混ざる命の香り」

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再度上流へ

「朝っぱらからお前達はなにをしているんだ?」


見張りから帰ってきた熊田の朝の第一声がこれである


城島の部屋で朝食を取りながら疑問しか持てない熊田は全員の顔を見渡す


陽太の顔は若干マジックでの落書きの跡が残っており明利は雪奈から距離を置いて静希の影に隠れてしまっている


雪奈は雪奈で静希と顔を合わせようとしていなかった


「まぁいろいろと、見張りの方はどうでした?」


「問題なしだ、残り時間までは幹原の探知に任せるしかないな」


「ま、任せてください」


粛々と朝食を終え全員が行動開始まで精神統一や装備の確認を行っていた


天気はやはり雨


昨日もあまり強い雨ではなかったが今日もそれほど豪雨というわけではない、霧雨交じりの弱い雨だ


時間は刻々と過ぎていくのに雪奈の武器は届かない


「こりゃ鏡花に武器を作っておいてもらう必要があるかもな・・・」


「構わないけど、どんなの?」


こればかりは雪奈の意見に左右される


実際使用するのは雪奈なのだ


「とにかく大きいのがいいね、斬るって言うより重さで砕くみたいなイメージがあると、なおいいかも」


「また曖昧な・・・でも肉厚の方がいいっていうのは分かったわ」


鏡花は頭の中で武器の構想を練り始める


オルビアの剣の構造を理解したりナイフの構造を理解したりと予習には余念がない


だがそれだけではだめなのだ


刀や剣は大きさと強度によって作り方も技法もまったく異なる


一見簡単に作られているような剣やナイフ一振りにも静希達のわからない技法が詰まっている


構造を再現するだけでその全てを再現できるかは分からない


しかも今回は鏡花の完全なるオリジナル


どれほどの威力を持つのか鏡花も雪奈もまったくわからないのだ


「タイムアップね、行きましょう」


鏡花の言葉で全員が動き出す


雨合羽を着こみ、再び雨の中外へと向かう


「それじゃ先生、よろしくお願いします」


「あぁ、気をつけていってこい、武器はちゃんと届けてやる」


見送りに来た城島に声をかけて静希達はまた川の上流へと足を進める


昨日から雨が降り続いている影響か、水深は僅かにあがっている


もしかしたら昨日よりも動きにくくなっているかもわからない


「明利、目標の位置は?」


「昨日からずっとこの位置から動かないよ、眠ってるのかな」


「ザリガニが寝るのかどうかは置いといて、好都合だな、相手が行動開始する前に先手を打とう」


全員が移動速度を早め先日よりもずっと早く川が分かれている部分にたどり着く


警戒を密にしていないだけでこうまで早く動けるのはなんとも奇妙な感じだった


先日目標と遭遇した地点まで登ってきた時点で静希達は小休憩を行い、鏡花による武器製造を行った


近くにあった岩を利用して形状変換、そして構造変換を用いて石を鋼鉄へと変換していく


出来上がったのは雪奈の身の丈ほどはある大剣


厚さ五センチ、長さは百七十cmにも届きそうな両手剣


能力を発動しなければ雪奈では持つことすらできない程の重量


「んん、やっぱ少し弱くなるかもなぁ」


「何度か試しましたけど、私がそれ以上手を加えると柄と刀身の部分の強度を維持できませんよ、それで今は我慢してください」


「しかたないか」


細い身体をした女が大剣を肩で担いだその姿はファンタジーそのものだ


はっきり言って女子高生がするような格好ではない


だが妙に似合っている、それもまた事実だった


静希達が再度移動を始め、ようやく目標のいるであろう場所までたどり着く


目の前には滝、そして滝の向こう側にはどうやら洞窟があるらしく、水の音が空洞に反響して荘厳な音を奏でていた


「いるな、洞窟の中に目標を確認した」


熊田の音による探知により目標の有無を確認し静希達は身構える


「どう攻める?ファーストアクションは大事よ?」


「洞窟の中で攻撃すれば出てくるんじゃねえか?」


「もういっそこっそり行って攻撃する?」


「相手は野生動物だぞ?気付かれるにきまってる、それに逃げ場の少ない洞窟内では万が一の時に犠牲が出る」


「でも、じゃあどうすれば・・・」


全員で悩む中静希がにやりと笑う


「そうだな、昨日と同じようなことをしようか」


「同じ?」


「あぁ、熟睡中だって言うならちょっとしたサプライズで起床してもらおう」


誤字報告をいただいたので追加投稿


誰か誤字修正ソフトを開発してください!


これからもお楽しみいただければ幸いです

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