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J/53  作者: 池金啓太
六話「水に混ざる命の香り」

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寝起き

静希の見張りの時間を終え軽く風呂で体を温めた後、少しクールダウンさせてから就寝


次に静希が起きたのは起床時刻の七時


どうやら叩き起こされなかったことから判断するに目標は町には降りてこなかったようだ


大きく欠伸しながら周囲を見回す


男子部屋には陽太と静希しかいなかった


この時間は熊田が外で見張りをしている時間帯だったのを思い出し大きく欠伸しながら布団から抜け出して着替え出す


「おい陽太、起きろ」


「んん・・・もちょっと寝かせろよ」


「時間だ、さっさと起きろ」


「あと五分・・・」


せっかく声をかけているのに布団を深くかぶってしまう陽太を見て静希はにやりと笑う


静希は着替えた後、女子の部屋をノックする


「三人とも起きてるか?」


「あ、静希、雪奈さんがまだ寝てるわ」


「わかった、入るぞ」


「へ!?ちょっと待って!」


前回も同じことをして怒られているのでさすがに今回は侵入することなく扉の前で待っていると入っていいわよと鏡花の声が聞こえてくる


中に入るとすでに着替え終えた鏡花と布団から身体だけ起こして頭を揺らしている明利と布団を深くかぶっている雪奈がいる


前衛型の人間は朝に弱いという共通点でもあるのだろうか


「で?どうしたわけ?」


「陽太がちっとも起きないから鏡花に出動してほしい、起こし方は自由だ」


「自由なのね?了解したわ、ついでに雪奈さん起こしといて」


「了解」


鏡花は意気揚々とマジックを持って陽太の元へ向かっていく


すでに何をするかわかってしまったがこちらも仕事をするとしよう


静希はまずまだ微妙に起きていない明利の前に立って両手で頭を掴む


「めーいーりー!起きろ―」


持った頭を上下左右に揺らすと「ああぁあぁぁ」と妙なうめき声を上げる明利だったが、ようやく脳が覚醒しだしたのか静希の顔を捉えて徐々に思考が始まりだしているのがわかる


そして完全に起動したのか目をぱっと見開いて静希の拘束から逃れ高速で後ろへと飛びのく


「しし、静希君!?何でここに!?えとあの」


「おはよう明利、起床時間だから起こしに来た、今陽太を鏡花が起こしに行ってる」


「あ・・・そ、そうなんだ、・・・その・・・おはよう」


明利は少し残念そうにしながらも朝のあいさつを終えて乱れた衣服を正す


さて問題はここからだ


「雪姉、起きろもう朝だ」


「なんだよ静・・・今日はお休みだぞ?まったくうっかりさんめ・・・」


曜日的に考えれば今日が休みであるということにはなにも間違いはないのだが今は実習中、静希達は休みではない


「とっとと起きんかいこのバカ姉!」


布団を無理やりはいで強制的に身体を外気に晒すと雪奈はダンゴムシのように身体を丸めて温かさを得ようとする


「さぁぁむぅいぃぃ・・・静なにするんだよぉ・・・」


「ほら起きろ、朝飯も待ってるぞ」


「うぅぅぅぅぅぅ」


寒い寒いと呻きながら雪奈は何か温かいものはないかと探し回る


だが近くある布団は既に静希が取り上げ雪奈がいつも抱きついている明利も今は部屋の隅に移動している


すでに暖を取る方法はない


しばらくすると男子部屋から陽太の悲鳴が響き渡る


どうやら陽太も起きたようだ


「もう皆起きてるぞ、あとは雪姉だけなんだって」


「ああぁ・・・・あったかい・・・」


身体を揺らすとそこに人がいるというのがわかったのか暖を求めて静希の身体にすがりついてくる


その様子を明利はハラハラしながら見ているが静希は眉間にしわを寄せている


「ったくこの人はいつまでたっても・・・」


何とかして起こそうとしていると雪奈も徐々に頭が覚醒してきたのか辺りを確認しながら現状を把握しようと努めているようだった


そして自分が抱きついているものが静希だとわかるや否や眼が見開く


「おはよう・・・静」


「おはよう、目は覚めたか?」


「・・・あれ?私間違えて男子部屋で寝ちゃった感じ?」


「いや、俺が起こしに来た感じだ」


「そ、そうか、なんだ、よかった」


雪奈は顔を若干赤くしながらバツが悪そうに、少し名残惜しそうに静希から離れる


「でもやっぱ寒い!」


「ひゃああぁあ!」


そして一秒後には明利を捕獲していた


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