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J/53  作者: 池金啓太
六話「水に混ざる命の香り」

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214/1032

人外作戦会議

食事を終え、各自再度入浴も済ませ就寝時刻となり、先ほど決めた見張りの順に皆橋まで出て川の上流を警戒していた


時刻は静希の担当時間


辺りは部分的に街灯に照らされているものの川とその上流は暗闇に包まれている


橋の上にいると暗闇の中自分だけしかこの世界にはいないのではないかという錯覚さえ覚える


牧崎村での偵察とはまた別の空気があった


しかも小ぶりながら雨は降り続き、低い気温の中体感温度をさらに下げていく


六月なのに息が白くなるのではないかという程に寒く感じた


『まったくあんな甲殻類私だったら一撃なのに、人間は大変ね』


さすがに誰もいない空間では暇になったのかメフィが欠伸を混ぜたような声を頭の中に響かせた


『なんなら私がやってあげようか?すぐ終わるわよ?』


『お前が出てきたら俺達がここまでくる意味がなくなっちゃうだろうが、俺らがやるから意味があるんだよ』


今回に限らず実習は静希達の技術と経験を上げることを根本においている


そこに他者からの介入があっては静希達の為にならないのだ


『ならば私も防壁を解いた方がいいのか?戦闘時は展開したままだったのだが』


『なに?お前トランプの中にいても障壁出せんの?』


意外な事実に驚きながら静希は自分の周りを確認する


ぱっと見る限り障壁のようなものは作られていない、雨だって防げていない


『外にいるよりだいぶ強度は落ちるがな、緊急時だけ出すようにしていた、それも解くか?』


『・・・いや、防御の面でお前がいてくれると心強い、防壁は解かんといてくれ』


『承知した』


今回のようなでかい相手には一発でも直撃したら骨ごと粉砕されかねない、今日だって陽太がかばってくれなければ邪薙の障壁ごと吹き飛ばされていたかもしれないのだ


『なぁ、お前達なら今回の相手どうやって攻略する?』


『なによ突然、私なら一撃よ』


『私なら障壁に閉じ込めて圧殺するな』


意見を聞いておきながら呆れることしかできない


そうだった、あまりにも普通に静希の日常に溶け込んでいるせいで忘れかけていたがこの二人は人外なのだ、どんな回答が出てくるかなど半ばわかり切っていただろうに


『オルビアはどうだ?ちゃんとした人間としての役に立つ意見が聞きたい』


静希の言葉にメフィと邪薙が我々の意見は役に立たないというのかと若干ブーイングを出しているが完全に無視する


『そうですね、現状戦力であの甲殻を破壊、なおかつ内部に修復不可能なレベルのダメージを与えるにはマスターの策が最善であると考えます』


聞きたかった言葉ではあるが、今求めているのは新しい考えだ、今ある策を評価されても嬉しさはあれど感嘆はない


『じゃあ聞く項目を変えよう、どうすれば俺の策を完全にこなせると思う?または確実に甲殻をピンポイントで破壊できると思う?』


『私ならばあの厄介なハサミ、そして足を潰します、彼奴の再生能力は強力ですが瞬時に治るというものではありません、再生には多少なりとも時間がかかる、足を破壊したと同時に再生部分を凍らせるか、何かでせき止めるかしてしまえば回復はある程度防ぐことができるかと』


その考えはなかったなと静希は思案する


人間の治療で言うところの詰めもののようなものだ、本来は血がそれ以上でないようにするための物だが治癒力の高い相手には治療の阻害としても有効だろう


『実行は雪奈様による脚部切断、鏡花様による切断封鎖、時間はかかるでしょうがそれで確実に脚部の動きは封じられるかと、ハサミは高さの関係上この策は使えませんが熊田様のワイヤーを用いた足止めで僅かながら時間は稼げると思います』


要するに一本一本足を切って再生できないように傷口をふさいでしまうという考えだ


本体ならまだしも脚部であればそこら辺の地面を使って傷口をふさぐことなど鏡花には容易だろう


『なるほどな、今できる事の中でかなり効果的だ、さすがオルビアだ、頼りになる』


『恐縮です』


『なによー、私達の意見が役に立たなかったって言う訳?』


『そう言ってるんだよ悪魔君、悔しかったら俺の役に立てるような案をだしたまえ』


静希の言葉にメフィは悔しそうに呻きながら何かを考え始める


対抗意識を燃やして何かいい案を出してくれれば儲けもの、はっきり言って期待はしていない


なぜならメフィや邪薙はそもそも行動のスケールが違いすぎるのだ


全速力で走るとき、速く走るにはどうすればいいかと聞いたときにこの人外二人はマッハで走ればいいじゃないという案を出してくる


できるわけないだろと突っ込みたくなるような案を平気で出すのがこの悪魔と神格だ


『じゃあ・・・あれよ、ヨータをザリガニの体内に入れて中から焼き払えばいいのよ!』


『・・・お前にしてはまだ現実的な案だな』


『へへへ、でしょー?』


恐らくトランプの中で胸を張ってドヤ顔をしていることだろう


メフィも人間基準で物を考えられるんだなと感心したが同時に呆れもした


『まぁそんな案はもちろん却下だが』


『なんでよー!ヨータなら食べられても多分生きてるって!』


『多分じゃダメだっつーの、仮に死んだらどうするんだよ、そんな策は許可できません』


『なによ、ケチ!』


ケチとかそういう次元の話ではないのだが、いや最早言うまい


誤字報告を受けましたので複数投稿


最近毎日複数投稿してる気が・・・いや気のせいですね



これからもお楽しみいただければ幸いです

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