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J/53  作者: 池金啓太
六話「水に混ざる命の香り」

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時間割

「明利、お前が攻撃が苦手なのもわかってる、けど今回はそういうこと言ってられる状況じゃないのはわかるな?」


「・・・うん、わかってる」


明利も半ばあきらめ覚悟を決めているようだった


「雪姉は甲殻の破壊、熊田先輩と鏡花はそこまでの露払い兼ザリガニの動きを止めること、んでもって陽太は破壊された甲殻を焼いて再生を遅らせろ、そしたら俺が直接仕込みをする」


静希が紙に書いてそれぞれの行動を記していくが陽太だけ神妙な顔をしていた


「なぁ俺必要か?雪さんの後すぐにお前が突っ込んだ方がいいんじゃねえの?」


「ふざけんなあいつの再生速度見ただろ、最悪俺の腕が甲殻の再生に巻き込まれる、ちゃんと火傷させて傷口を焼いてふさげ」


人間の自己治癒能力においても切り傷と火傷では治りの早さは違う


一般的に切り傷はくっつけておけばあとは安静にしていれば治る


だが火傷の場合はそれだけでは治らない


特に肉がえぐられた状態から火傷を負った場合元通りになる可能性は限りなく低く、必ずどこかしらに痕が残ってしまう


無論今回のザリガニの再生能力ならば何の問題もなく跡形もなく治癒できるのだろう


だが少し準備する時間が稼げればそれで問題ないのだ


「連携が大事になるから各々イメージトレーニングを忘れんなよ、やるだけでずいぶん違うんだから」


「でもその切札で倒せるわけ?」


「倒せる、十中八九じゃなく確実に倒せる、問題は切札を使う前提条件、甲殻を破壊して手早く仕込みを終えられるかどうかだ、それさえ成功すれば問題ない」


「じゃあなんで今日はやらなかったの?関節だけど雪奈さんは足を切り落としてたじゃない」


「身体の中心にやらないと効果が薄い上にすぐ回復されかねないからな、胴体ど真ん中の甲殻を破壊したいけど、刀一本じゃ無理だろ?」


今日の雪奈が行った刀による脚部切断は関節部の甲殻がない部分をピンポイントで狙った攻撃だ、甲殻を直接切れば雪奈の実力なら傷をつけることはできる


ザリガニの能力が再生でさえなければ今日中に解決できただろう


だがあの強力な再生能力のせいで小さな傷は即座に再生、元通りになってしまう


それでは準備もなにもできたものではない


「一番の問題は、私の武器がいつ届くかってことなんだよね、明日早くって言ってもどれくらいかかるやら」


「そこはもうどうしようもないな、午後になってあいつが活動するのは厄介だ、明日の午前中、そうだな十時まではここで待とう、それ以上待っても来ないようなら鏡花の作る急ごしらえの武器で強行する」


雨が降り続けているとはいえ日の出からは多少水温も上がる


活動的になる水温に達する前に強襲し一気に敵を叩くことができれば作戦の成功率は格段に上昇する


「それじゃ今日はどんな時間割で見張りする?」


瞬間的に全員の目が鋭くなる


この決定で自分がどれくらい寝られるのかが決定するのだ


一時的に全員が敵になるこの状況


まずは状況整理


ザリガニには明利の種が取り付けられていてどこにいるのかはすぐにわかる


だが明利だけ徹夜させては明日の行動に支障が生じる


ザリガニが降りるのなら川から、川の見張りをすることになる


「まずは明日一番大事な仕事をする人から多く睡眠時間を取るべきだよね、というわけで一番多く寝たいです!」


確かに雪奈は今回の作戦で一番動いてもらうことになる


何せ甲殻を的確な場所とタイミングで破壊してもらわなくてはいけないのだから


「その理屈なら切札の幹原も早めに就寝だな、優先度は深山の方が上だろうが」


「起床は何時にする?」


「行動開始を十時に設定して、一時間前にはもう動けるくらいにしておきたいな・・・起床七時で、就寝を二十二時くらいにして、一人一時間半の見張りで済むな」


一時間半


六月に入ったとはいえ雨の夜はまだまだ寒い


しかも延々と闇に染まっている川を見なくてはいけない


身体は冷えるし眠気は強いし最悪な時間になることは間違いない


「じゃ、明利と雪姉は早めに設定して、他四人で時間を割り当てるか」


「二人一組で三時間ずつッていうのもありじゃない?」


「三時間も外で見張りしていたいのか?」


「ごめん冗談」


結局議論の結果見張りの時間割はこのように決定した


二十二時~二十三時三十分 深山雪奈


二十三時三十分~深夜一時 幹原明利


深夜一時~深夜二時三十分 響陽太


深夜二時三十分~早朝四時 五十嵐静希


早朝四時~五時三十分 清水鏡花


五時三十分~起床時刻七時 熊田春臣


明日比較的に動く陽太と静希は半ばに、あまり動かず能力を使用する鏡花と熊田は早めに起床する形となる


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