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J/53  作者: 池金啓太
六話「水に混ざる命の香り」

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切札の為に

「で?その考えてくれる静希としては何か策はあるんでしょ?帰る時言ってた切札っての、きかせてよ」


鏡花の言葉に静希はバツが悪そうに頭を掻く


「んと、あるにはある、まず前提として雪姉、預けてあるでかい武器送ってもらうことってできる?」


「ん?そりゃ頼めばいけると思うけど」


「明日ここに送ってもらうようにできない?できる限り早く」


「んん、一応電話してみるよ、どのくらいのがいい?」


「一番でかいので」


「わかった」


雪奈は携帯を取り出してどこかに連絡し始める


「でかい武器って・・・ひょっとして部屋にあったやつ?」


一度雪奈の部屋に行ったことがある鏡花は記憶の中にある武器を思い出す


まるで武器屋でも開くのではないかと思えるほどに大量に保管された武器の数々、あれが女子の部屋かと疑ったのはいうまでもない


「部屋じゃなくて別のところに保管してるのがあるんだよ、正確には作ってくれた人がそのまま保管してくれてるんだけどな」


「・・・ていうかそれだけ大きな武器なら私が作っちゃだめなの?簡単な剣なら作れるわよ?」


鏡花の能力を使えば剣の複製や作製くらい容易だろう、構造を理解しそれを真似て物質を変換すればいいだけなのだから


「それがそうもいかないんだよ、雪姉の能力は前にも説明したけど大まかに言うと八センチ以上の刃物を自由に操る技術と身体能力を得るってことなんだけど、この得られる技術と身体能力は刃物の性能に依存するんだよ」


「どういうこと?どんな刃物でも同じじゃないの?」


どう説明したものかと静希が頭を悩ませていると明利が紙に何かを書き始める


そこには包丁と刀が書かれていた


「例えばね、包丁に雪奈さんの能力を使ったら、雪奈さんは攻撃する技術じゃなくて食材を切る技術を得て、それに必要な身体能力を得るの、また刀に能力を使えば攻撃の技術と身体能力を得られる、その刃物の用途と特性によって手に入る力が変わっちゃうの」


明利の説明に鏡花はなるほどとあごに手を当てている


「それと同じようにたとえ同じ用途で作られていても、名匠が作った刀と鉄を押し固めただけの物じゃ剣自体の性能も違う、だから得られる技術も、身体能力も全く違うものになる、高い技術と能力を得ようとするならそれだけしっかりとした物を使わなくちゃいけないの」


「なるほどね、確かに大きな武器の構造なんて知らないからなぁ」


これで鏡花が巨大武器の構造理解していたのであれば同じ武器を複製できそれなりに高い能力を期待できたのだが、武器製造に関して素人である鏡花では作ったとしても出来上がるのはただの鉄の塊だろう


「しかも雪奈さんって能力の重ねがけもできるんでしょ?」


「数に限りはあるけどな、能力を使った物を身に着けてれば自動的に強化される形になる、っていってもあれだけナイフをジャラジャラ持ってるのもかなり物騒だけどな」


「聞こえてるぞ静」


静希を軽くチョップしながら雪奈は電話を終え部屋に戻ってくる


「終わったのか、どうだった?」


「送ってくれるそうだけど、どれくらいになるかは分からないって、できる限り急ぐって言ってくれてたけど」


「間に合えばいいけどな」


雪奈は携帯を置いて腰を下ろす


今回の作戦は雪奈がいないと始まらない


あの甲殻を破壊できるのは雪奈しかいないのだ


「で?そろそろ教えてよ、その切札っての」


「はいはい、さっきも言ったけどこの切札は俺のじゃなく明利のだ」


「それが分かんないのよ、どういうことなわけ?」


「端的に言えば、明利の攻撃手段を使う」


「は?明利の?」


鏡花は驚きと疑いの表情を作って静希と明利を見比べていた


静希の顔は諦めにも似たもので、明利の表情はお世辞にも良いものとは言えない


切札扱いされているのにこの表情はなんなのだろうと鏡花は疑問に思っていた


「ちょっと待ちなさいよ、明利の攻撃って、明利に攻撃なんてできるわけないじゃない、同調の回復とか成長とかよ?どうやって攻撃するのよ」


「お前は知らないだろうけどな、対生物においてこの班で一番えげつない攻撃をするのは他でもなく明利なんだよ」


「でも、明利は攻撃は苦手なんじゃ」


「あぁ苦手だよ、多分一番苦手だ、でも一番強力な攻撃手段を持ってる、成功するとほぼ確実に相手は死ぬ、運良く生き残っても動くことはまず無理だからな」


明利は本来誰かを傷つけることを良しとしない性格だ


その明利が使えば相手を殺してしまう攻撃などできるはずがない


身体的な意味でもそうだが精神的な意味でも明利は攻撃を苦手としていた


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