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J/53  作者: 池金啓太
六話「水に混ざる命の香り」

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201/1032

交戦 苦戦

最初に動いたのは陽太と雪奈の前衛組


正面から陽太が突っ込み、雪奈は側面にある足に向けて刀を振るう


陽太の拳はザリガニの甲殻に直撃する


鈍い音があたりに響き、炎の熱でザリガニの甲殻が赤に染まっていくがそれ以上の変化がない


ハサミを振り上げて陽太に叩きつけようとした瞬間、雪奈の刀が一閃、ザリガニの足の一つに走る


「っくう!硬すぎでしょこいつ!」


雪奈の刀は甲殻を少し斬り裂いただけ、内部の肉にまで到達していなかった


そのまま振り下ろされようとしているハサミに向けてワイヤーが何重にも巻き付きその動きを鈍らせる

切削音があたりに響き渡り熊田が能力を発動していることがうかがえる


「響!そこは危険だ早く退け!」


熊田の言葉に陽太は後方に向けて跳躍、危険区域を脱した瞬間、熊田のワイヤーは無残にも引きちぎられ地面に向けて巨大なハサミが振り下ろされる


水をあたりに撒き散らしながら川底にあった岩を砕きあたりに岩片が飛び散る


「おいおい、どうしろってのさこのデカブツ」


少し離れた場所から様子をうかがう静希が呆れかえっているとその中で一つ最悪な事柄に気付く


先ほど陽太の拳を受け熱により変色した甲殻と、雪奈の刀によって切り傷を与えられた甲殻が音を立てて元に戻っていく


「最悪だ・・・こいつの能力ひょっとして自己再生・・・!?」


自己再生、それは明利の扱う治療のカテゴリーと同じ強化系統に属する能力で自身の自然治癒能力を強化することにより通常の数倍の速度で傷を癒す


およそ想定する上で最悪の能力の組み合わせだった


これがただの発現系統や変換系統であればどれほどよかっただろうか


硬い甲殻に覆われた生き物にとって自己再生とは自らを守る鎧をほぼ無限に直すことのできる能力


静希達がいかなる手段で鎧である甲殻を破壊しようと内部にある本体に致命傷を与えなければすぐさま回復してしまう


しかも相手は奇形種、能力の出力は普通の動物などとは比べ物にならない


絶望が一つ一つ形になっていく、自分達に不利な条件が次々と揃っていくだけに性質が悪い


「なら再生追いつかないくらいに滅多打ちにしてやるわよ!」


鏡花が地面を強く踏みつけた瞬間ザリガニの直下から大量の鋭利な柱がその体めがけ形成されていく


無数の柱はその巨体を一瞬持ち上げる


だが、石でできた柱は巨体の重量に耐えかね、砕け、散り散りバラバラになっていく


甲殻には傷一つ入ってないらしくザリガニはしきりに足元を確認していた


「おーい天才さん、効いてないみたいですよ?」


「ううぅうぅぅぅ!ならこうよ!」


再度鏡花の能力が発動し今度はザリガニの足元の地面が緩やかに沈んでいく、いやザリガニの足が少しずつ地面に飲み込まれている


陽太にも行った地面へ引きずり込む系種の形状変換、巨体ゆえに少しずつしか飲み込めていないがそれでも確かにザリガニは地面に吸い寄せられている


だが、それも数秒の間だけ


ザリガニは尾を大きく地面にたたきつけるとその反動を利用して吸い込まれていた足を簡単に解放しハサミを鳴らしながら足を何度も地面に叩きつけるような動作をしている


「ぁぁぁああ!もう!でかすぎるのよあのザリガニ!」


陽太の打撃、雪奈の斬撃、熊田の切削、鏡花の変換


この班における攻撃手段のほとんどを使い尽くしてほとんど無傷


「こんなことになるならでかい得物持ってくればよかったなぁ」


「ない物ねだりは感心しないな、ある物でどうにかするしかないだろう」


二年生のぼやきに静希は内心焦っていた


ザリガニのハサミによる破壊は続いている


あまり視力は良くないのか辺りを跳躍し続ける陽太を狙っているようなのだが全く当たらない


逆に岩を破壊しつくして辺りの地形が変わりそうな勢いだ


「熊田先輩!音で甲殻無視して攻撃してくださいよ!」


「任せろ!」


音は物質を伝導して内部まで伝わる


熊田が能力を発動すると同時にザリガニの内部に音を媒介とした衝撃波が走る


ザリガニは一瞬動きを止めたが二秒くらいしたらすぐに動き出してしまう


「止められるけど決定打にはならないか!」


しかたないと意気込んで静希はスペードのトランプを用意する


「陽太!キャンドルサービスだ!一番効きそうなところを教えろ!」


「え・・・えと・・・顔面!」


「よし!鏡花!雪姉!熊田先輩!援護よろしく!」


全員が能力を発動しザリガニに向けて攻撃を始める


熊田が片方のハサミをワイヤーで雁字搦めにし周囲の木々に巻きつけることで僅かに動きを鈍らせる


鏡花がザリガニの足元の地面を変換して動きにくくするが、ザリガニはそれでも動こうとするのをやめない


「硬いところがご自慢なら、ここら辺はどうかな!?」


雪奈の刀が足のある部分を通過する


次の瞬間、足のうちの一本が関節部分から切断される


甲殻のつなぎ目、関節部分


いかに硬い鎧を纏っていても動かすのは中身である以上必ず隙間が存在する


そのわずかな隙間に的確に刀を通すその技術、さすがの切裂き魔の面目躍如といったところだろうか


一瞬バランスを崩したのを見逃さず陽太はザリガニの顔面めがけ跳躍、触角を掴みその頭にとりつく


「キャンドルサービス行くぞ!」


「点火いたしますは響陽太でございまァす!」


陽太の絶叫とともにザリガニの頭部を中心に爆発が発生する轟音と衝撃波が発生する


誤字報告を受けたので複数投稿


どうやら静希の名前が静気になっていたところがあるそうで


探しているのですがいかんせん数が多くまだ修正できていません・・・


見つかり次第修正します


これからもお楽しみいただければ幸いです

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