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J/53  作者: 池金啓太
六話「水に混ざる命の香り」

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目標への対策会議

全員がポカンとしていた


そしてもう一度ぼやけた写真をよく見て全員が顔を見合わせる


「ザリガニ?」


「ザリガニ」


静希と陽太は顔を見合わせる


雪奈は怪訝な顔をして熊田は意味がわからないといった状態で放心している


明利は対象がたいした相手ではなくほっとしているようだった


「えと・・・何か質問は?」


あたりが静寂に包まれたことで若干やりずらいのか鏡花は全員を見回すが静希達もどうしたらいいのかわからない、というより何を聞いていいのか分からない


だが何か聞かなくてはこうして集まった意味がない


静希は頭をフル回転させて考える


「じゃあ、この対象がザリガニであるという根拠は?この写真か?」


「いえ、この写真を撮影した人よ、少し形は違うけどザリガニのようだったって」


「被害は出てるのか?」


「人的被害は今のところないわ、ただ小舟が一艘ダメにされてるらしいわ、これがその写真」


鏡花が取り出したのは真っ二つになった木製のボート、川の辺で撮影されたようで、近くには木の破片なども散らばっているのが確認できた


「この破損から見て、切断系ではないな、強い力がかかったようだが」


「どういう能力かはまだ分からないね・・・実物を見るまで判断はできなさそう・・・」


ようやく回りもまともな思考を取り戻し始めたのか破壊された小舟を見て思考を重ねている


「でもザリガニっていったって、どうやって見つけるんだ?住処とかわかってるのか?」


「一応発見場所が多い場所から特定できそうよ、この地図を見て」


鏡花が一番上に出した地図には印がつけられている


印は町の中心に一つ、川の上流、山に続く方角に二つ、山の中に流れる川に五つ付けられている


「この印が町の人が捜索した際、ザリガニのいた場所とされてるわ、これから山に巣があるとみて間違いないと思う」


「また山かよ、しかも今回は川を散策か、確かに明利と熊田先輩の出番だな」


体長十五センチほどしかないザリガニを広範囲において捜索するにはどうしたって索敵ができる人員が必要不可欠である


前回の山への捜索でも思ったが探索時は索敵があるかないかで効率が全く違う


今回もおおいに二人には活躍してもらうことになるだろう


「てかさ、こんだけ印があるってことはそんだけ目標を見つけたんだろ?何とかできなかったのかよ、ザリガニだろ?」


確かにザリガニと言えば子供でも捕獲できるお手軽な甲殻類だ、静希や陽太も昔よく川に釣りに行ったものだ


「報告では普通のザリガニより大きい上に獰猛、網なんかじゃ捕まえられないらしいわ」


「しかも能力持ち、無能力者には手に負えんか」


ただのザリガニと侮ることなかれ、能力を保持しているということはそれだけで近代兵器一機分に勝る、しかもザリガニの動きはああ見えて結構素早い


命の危機に瀕している状態でしか能力を発動しないのが動物の特徴だが、とっさに発動するということも十分あり得る


「今回のこのザリガニの一番の被害は近辺の魚や生き物達、ザリガニは強い雑食性を持っているため生態系にも被害が出ているらしいわ」


「あー、あいつら状況によっては共食いもするからなぁ」


「あら、詳しいのね」


「昔ザリガニは釣ったり食ったりしてたからな、ザリガニ博士と呼んでくれたまえ」


ふふんと鼻を高くしている陽太を放置して静希は資料に目を通す


「一応ザリガニの資料も出しておくか?」


「いや、出さなくていいわ、さすがにザリガニの習性一つ一つ頭に入れてたらきりがないもの」


「てかさ鏡花ちゃん、今回の内容、まさかザリガニに得体のしれないものが取り憑いてなんてことないよね?悪魔とか神格とか」


雪奈の一番の懸念はそこだ


今までの静希達の実習には良くも悪くも不可思議な存在が関わっている


何故そんなことになったのかといえば偶然の一言なのだが、ここまで偶然が連鎖してはもはや必然と言えるのではないかとさえ思える


「それ城島先生に言ったんですよ、ちゃんと普通の任務なのかって、前回の事もあって委員会が特に注意して下調べしてくれたらしいです、周囲百キロに悪魔及び神格の気配なし、そしてこの件にそれらが関わっている可能性も限りなく零であるということです」


さすがに連続してそんなものに遭遇した日には静希達の胃が捻じ切れること間違いなしだ


事前確認は大事だと何度もうなずきながら静希は写真を手に取る


真上から撮影されたであろう写真はよほどあわてていたのだろうかぶれまくりだ


だがぶれているその写真でもこれがザリガニであるとしっかりと理解できる


「となると装備どうしようかな・・・ザリガニ相手とかなんか燃えないよ」


「一応日本刀は持っておいてくれよ?万が一の時雪姉の力は頼りにしてるんだから」


「そうか?んふふ、それじゃあお姉ちゃんちょっとはりきっちゃおうかな」


「おい静希、俺だって頼りになるぜ?」


「お前今回の行動場所は川だぞ、明らかにお前の能力は減衰する上に天気は雨、コンディションは最悪だ、だからこそ雪姉に何とかしてもらわなきゃ」


ザリガニを探すのなら確実に川に入ることになるだろう、そうなれば陽太の能力は確実に弱まる


万全を期すのであれば確実に力を発揮できる状況を作るべきだ


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