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J/53  作者: 池金啓太
二話「任務と村とスペードのクイーン」

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出発

「彼女達ってどんな任務するんですか?」


「お前達より二つほどランクが上だ、事情もあって、彼女達は行方不明者の捜索だ」


「行方不明者?それって本格的に俺たちの出番じゃないんじゃ・・・」


行方不明者ならば確実にそれは警察の役目だ、静希たちのような学生が出てくる幕ではない


「事情があると言っただろう、まぁそこら辺は暇があれば話してやる、時間だな」


そういってなにやら周囲を見回すとスピーカーからハウリングが発生し全生徒が一時的に耳をふさぐ


『これより、一年生の校外実習を行う、各自全力で任務にあたり、実力をさらに高めることを切に願う、それでは行動開始!』


その言葉と同時に全生徒が勢いよく校門から出ていく


もちろん静希たちもその流れに乗っていた


「まずは現地に向かわなきゃね、三つ先の駅で乗り換えて、鈍行で終点まで、そこからさらにバスよ」


「先は長いな、気張らずに行くか」


「よ、酔い止めの薬も持ってきたよ」


「よし、行きますか」


初めての校外実習に期待を募らせながら出かけること一時間後


早くも班員はだれ始めていた


「さすがに三時間は長いなぁ」


まだ鈍行に乗って三十分と経っていない、あと一時間ほど乗ったのちにバスで移動、先は長いのだ


「トランプでも持ってくればよかったぜ」


「俺の能力のやつでよければ使うか?」


「いやよ、イカサマするでしょ?」


ばれたかと静希は悪態をつくが、そんな中でも上級生二人は落ち着いていた


「そういえば熊田先輩、先輩の能力って何なんですか?」


「ん?気になるか?」


「一応頭数に入れていいみたいなんで、期待しておこうかと」


今回は山岳地帯の捜索も視野に入れている、できるのであれば応用のきく能力であってくれると非常に助かる


「俺の能力は音だ、発現系統に属していて、音を発したり、音を利用して振動を起こしたり、色々できる」


「ひょっとして、ソナーや蝙蝠みたいに超音波で周囲の地形を把握できたりしないですか?」


「よくわかったな、半径一キロ程度なら把握できる」


「よっしゃ、これで探知が二人に増えた、これで少しはやりやすくなる」


急いで上方に修正をかけていると、その会話が気になったのか、班の全員が熊田に目を向けている


「そういえば君達の能力をまだ聞いてないな、名前と一緒に教えてくれないか?」


自己紹介もまだだったと思いだして全員がしまったという顔をする


「五十嵐静希、収納系統、能力名『歪む切札』、五百グラム以下の物を自由に出し入れする能力です」


「響陽太、発現系統、能力名『藍炎鬼炎』、炎を出せば出すほど身体能力を強化できるっす」


「清水鏡花、変換系統、能力名『万華鏡』、形状、状態、構造、どんなものでも変換できます」


「み、幹原明利、同調系統、能力名『慈愛の種』、生き物と同調して傷をいやしたり、周囲の状況を知ることが、できます」


全員の自己紹介が終わったのち、二年生も紹介を始める、すでに知ってはいるが、様式美のようなものだ


「私は深山雪奈、付与系統、能力名『切裂き魔の懐刀』、まぁおいおい見せてやるから楽しみにな」


「俺は熊田春臣、発現系統、能力名『音夜叉』、先の説明通りだ」


「せっかく暇なんだし、今回の実習について話しておくか、今度こそちゃんとした先輩の意見が聞きたいし」


その言葉に雪奈がムッとするが、他の班員が苦笑してるのを見てさらに頬を膨らませた


先日のメモをさらに見やすくしたものを熊田に見せ、自分たちの考えを述べると、熊田は顔を曇らせた


「一年ながらよく考えているな、見事の一言だ、確かに俺の考えもお前達と同じく人の犯行の線はないと考えている、そしてただの動物でもない、十中八九能力を所持した動物だろう」


そこまでは一班のメンバーもたどり着いた、だがどんな動物でどんな能力を有しているかまではたどり着けなかった


「能力に関しては考えても無駄だ、どんな能力を持っているにせよ、使われるまでは分からない、実際に見てみなければ確証は得られない、どんなものが来てもいいようにしておくのが一番だ」


私の言った通りだろう?と雪奈が得意げにしているが、静希の一睨みでしょぼくれてしまった


「次に、どんな動物であるかだが・・・資料にもあるように、データベースにはこの歯形に類似する動物はいないとのことだったな」


「はい、私の方でも確認してみたんですが、この歯形はどの動物にも見られない形状でした」


実際に資料を見て自分で調べたのだろう、班長清水が補完するが、回答には至らなかったようだ


「だとしたら、奇形種である可能性が高いな」


「奇形種?」


班員全員が聞いたことのない言葉に互いを確認するが、誰も知り得る者はいなかったようだ


「知らなくても無理はない、これは一年の三学期で習った授業内容だからな」


「・・・・・・雪姉?」


「・・・知ってたぞ、知ってたともさ」


「・・・・」


「・・・ほんとだぞ?」


どうやら知らなかったようだ


幼馴染ながらかなしくなってくる


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