表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
J/53  作者: 池金啓太
六話「水に混ざる命の香り」

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

187/1032

ずぶ濡れの反省会

状況が終了した時点で静希達は演習場中心から撤収し、演習場の隅に在る屋根付きのベンチまで雨宿りの為避難してきていた


それと同時に次に演習を行う班が演習場中心へと走っていく


今日の授業では一クラス十班それぞれで行われる演習で演習場を三つに分け交代で演習を行っている


約十五分程の戦闘演習ではあるが体操服はずぶ濡れ、身体も冷えて風邪をひきそうになっていた


「陽太、火、火おこしてくれ」


「あいよ、おら!」


濡れた体操服を即座に乾かすべく陽太が能力を発動しあたり一帯の温度を急速に上昇させていく


「にしてもむかつくな・・・全然相手になんなかったじゃんかよ、四対一であの様か」


「実質三対一でしょ、明利は戦闘要員じゃないんだから」


「本来俺も戦闘要員とはいい難いんだけどな」


陽太に手をかざしながら暖を取る静希は身体を震わせながらついでに服も乾かし始めていた


「せめて明利ももう少し攻撃とかできればいいんだけどね」


「ご、ごめんね、役に立てなくて」


「そういうなよ、明利の本分は治療と索敵なんだ、戦闘は門外漢なんだよ」


「ま、明利の能力には助けられてるけどね、せめてあと一手なにか欲しいじゃない」


もちろん鏡花の言うことももっともだ


この一班には前衛である陽太、中衛として静希と鏡花、後衛支援として明利が控える


戦闘は前衛と中衛がこなすのだが、攻撃のどれもが物理攻撃系、発現系統による攻撃が極端に少ないのだ


先ほどのように速度の速い敵にはどうしても後手に回ってしまう


「それより、城島先生の能力わかった?今日初めて見たけど」


「あー・・・見当はついてる、けど確証はないな」


城島の先ほどの動き、高速駆動と水を操った能力


「あれって、重力操作か念動力じゃないかな」


「お、明利もそう思うか」


最も城島の能力を見ていただろう明利の意見に静希は大いに同意した


「重力操作・・・念動力って、確かにそれっぽかったけど、どうやったらあんなに早く動けるのよ」


「そんなの簡単だ、指向性のある力を進行方向に向ければそれだけで加速装置に早変わり、俺のナイフもそれで軌道をそらされてたんだろうな」


「あー・・・だから俺あんなに吹っ飛ばされたのか」


陽太の体重は六十キロ中盤、それほどの体重をただの蹴りであれほど天高く打ち上げるには相当の力がいる


女性の細い足でそれができるとは思えない


最初は肉体強化系かとも思ったのだが、重力か念動力なら説明はつく


なにせ吹っ飛ぶ方向に向けて能力を発動すればいいだけなのだから


「じゃあ最後の陽太にかけた水は?」


「雨を集めたものじゃないかな、上空で雨を力で集めて、最後に能力を解除して落とす」


明利の観察力は目を見張るものがある、戦闘に加わることができない分相手を観察し考察する力は静希に勝るとも劣らない


「なるほどね・・・ああいう手合いに遭遇したら即時撤退を上申するわ」


「そんなふ抜けた撤退が認められるわけないだろうが」


先ほどまで対峙していた城島が濡れた髪をそのままに休憩所までやってきていた


どうやら静希達と同じように暖を求めて陽太の元にやってきたらしい


彼女の着ていたジャージもすっかり濡れてしまっている


「先生、俺らが先生みたいなのと戦うにはどうしたらいいんですか?」


陽太の質問に城島は悩み始める


「お前達はあれだな、基本的に物理攻撃しかできない輩ばかりだから突き詰めていくしかないだろうな、響なら体術、清水なら発動速度や同時展開力、五十嵐は他の攻撃方法の模索、できることはその程度だろう」


「陽太の炎での攻撃とかできないですかね?」


「無理だろうな、こいつは炎を飛ばすことは苦手らしい、今更そこを伸ばしても大した戦力にはならん」


城島の評価は辛口だがおおむね正しいものばかりだ


基本的に静希達は物理攻撃しかできない


発現系統が一人でもいれば風や水、雷や炎といった現象系の攻撃で対処できるのだが、この班にいる発現系統(?)の陽太はその身にまとわせる炎をほとんど活用できていない


殴った時に炎の追加攻撃がある程度しか効果を発揮していないのだ


「ちなみに今回一番評価が低かったのは誰っすか?」


「戦闘に加わっていない幹原を除外して、一番酷かったのは響、お前だ」


「え!?俺!?なんで!?」


「お前はまっすぐ行ってぶん殴ることしかできないのか?せっかくの身体能力が全く活かせていない、少しは五十嵐を見習え、こと戦術戦略に関してはこの班で随一だぞ」


「お前この前の中間も評価ひどかったんだから、何とかしないとまずいんじゃないか?」


五月半ばに行われた中間試験


座学の筆記だけ行われた試験なのだが陽太は予想通りの低評価


不等号で表すなら鏡花>静希=明利>>陽太のような感じである


「せめて静希くらい幅を利かせなさいよ、せっかくの能力がもったいないわ」


静希は自分の手持ちのカードの中の道具を使うことでしか戦えない


霊装としてオルビアを入手し剣がその手札に入り接近戦が選択肢に入ったことで戦略的に幅が広がったのは確かだ


もっともその接近戦においても静希は一般人の域を出ない


だからこそオルビアに師事し剣術を学んでいるのだ


オルビアの剣術は彼女自身が鍛錬して得たもの、才能の有無を除くのであれば静希もいずれは到達できる域にあると感じていたからである


誤字報告をいただいたので複数投稿


少しは誤字もなくなったかなとか思っていたらこれだよ!



ということでこれからもお楽しみいただければ幸いです

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ