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J/53  作者: 池金啓太
五話「五月半ばの家族の一日」
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千客万来

そんな話をどれくらい続けただろうか、食材を抱えた静希達が帰宅してきた


すぐさま明利と二人で料理を始め昼食となったのだが、ここで静希は情報共有を怠らない


「どうだった?何か話したか?」


「・・・父君のお仕事の関係について少し、興味深い話も聞くことができました、お話しますか?」


「いや、問題ないならそれでいい」


とにかく面倒なことになりそうもなく、静希はほっとしながら両親へ料理を振る舞った


久しぶりの我が子の料理に二人は大いに喜んでいた


かなり遅めの昼食を終え後片付けを終え久しぶりの親子の会話に華を咲かせていた


「いやぁ、うちのがようやくしっかりしてきてくれてうれしいよ、明利ちゃんなんて昔から料理美味かったから文句ないけど、静希は微妙だったからなぁ」


「そうね、そうだ明利ちゃん、久しぶりにご両親にご挨拶したいんだけど今日の夜時間空いてるかしら?」


「えと、電話してみますね」


「あぁそりゃいい、久しぶりに食事会でもしようじゃないか」


なんだか話が進んでしまっている


静希の両親と明利の両親は面識があり、時間が会う時には夕食をともにすることもある


そろっての食事は半年振りだろうか


そんなことを考えていると邪薙が顔を上げ静希に視線を向ける


そして数秒後にチャイムの音が響き来客を知らせていた


「客か?今日は多いな・・・」


静希がインターフォンで確認する前に母麻衣がさっさと玄関に向かってしまう


行動力があるのは良いことなのだろうがこの場合慎重さとかはいらないのだろうか


「和仁さん、お客さんよ」


「む?あぁもうそんな時間か」


和仁が時計を確認しながら腰を上げると麻衣とともに一人の女性が現れる


静希、明利、雪奈はその人物を知っていた


「久しぶりだな、静希君、明利、雪奈ちゃん、見知らぬ顔も何人かいるようだな」


「実月さん!?何でこんなところに!?」


実月は陽太を探してどこかに陣取っているとばかり思っていた、そしてその想像は明利も雪奈も同じだったようで二人とも驚きを隠せなかった


「明利、能力は少しは上手く使えるようになったか?」


「あ、はい、少しずつですけど使いこなせてる・・・はずです」


「そうか、ならいい、これからも精進しなさい」


「は、はい!」


事実上明利の師匠にあたる実月は明利だけは呼び捨てで、他の年下には男には君付け、女にはちゃんを付けて接している、これは昔から変わらないようだった


「そっちの三人も、初めまして、響陽太の姉、響実月だ」


メフィ達に向けて頬笑みを向けるが静希はどうにもそれどころではない


何故実月がここにいるのか、そこが一番の問題だった


「あの三人は俺達の先輩でエルフで・・・ていうか実月さん、陽太のやつを追いかけてたんじゃ?」


申し訳程度の説明をした後で強引に話を陽太の方に戻す


この人の会話術はこれで正しいのだ


「あぁ、そうなんだ、そうなんだが、陽太は逃げるのが上手くなったな、手持ちのノートパソコン程度の索敵範囲には引っかかってくれないんだ」


ノートパソコンということは性能的には街一つの電子機器を丸ごと掌握できる程度、どうやら陽太と鏡花は包囲網からうまく逃げ続けているようだった


「それはそうと実月ちゃん、もう時間かい?」


「えぇ、そろそろ移動し始めないと間に合いません」


「ん?どういうこと?」


雪奈が首をかしげる中静希はようやく察していた


「そうか、二人が空港で会った知り合いって実月さんのことか」


「良くわかったじゃないか、大正解だ」


「てことは実月さんも飛行機で?」


「いや、私は転移能力者に送ってもらった、なかなか快適だったよ」


転移能力者の輸送についてはある種の商業が成り立つ程に確立している


物資運搬または人員移送において転移能力者は非常に有効な能力である


だがその移動範囲や移動制限なども能力によっては存在する


例えば重さの制限が弱いが一定距離しか移動できない場合、これは物資運搬


重さに強い制限があるが距離の制限が弱く遠くまで転移できる場合、これは人員移送に適している


そしてむやみやたらに移動するものがいないように転移能力者の多くは必ずと言っていいほど国、または企業の監視下に置かれ転送するものを事細かに記すことが義務付けられる


そしてこれは人員移送に限ることではあるが、国から国への移動の場合、移動できるのはその国の指定された国際空港のみとなっている


正規の入国、および出国手続きを取らなければならないためであるが、事前申請や使用許可に時間がかかる


一瞬で自由に何処にでも行けるというわけではないのが転移能力者の現状と言っていい


「で、実月さんはなんで日本に?」


「なんでとは・・・君らしくないな静希君、今日は陽太の誕生日じゃないか、こうしてプレゼントも用意してあるんだぞ」


実月の見せた包装し終えてある何かを見て静希は眉間にしわを寄せる


「ねえ静・・・陽の誕生日って昨日だよね?」


とっさのことで驚いているのだが雪奈が小声で話しかけてくることで思考を取り戻す


「あぁ・・・どうやら時差の計算を忘れてるな・・・実月さんらしいと言えばらしいか」


実月は優秀だ、陽太とは比べ物にならない程に優秀、頭脳だけで言えば月とすっぽんどころか月と砂利だ、比べるのもおこがましい


だが肝心なところで、彼女が一番大事にしているであろうというところで些細なミスをする


陽太の姉らしいと言えばらしい特徴だった


誤字報告を受けたので追加投稿


誤字をなくそうと数日は頑張った、けどダメだった



しかたないね



これからもお楽しみいただければ幸いです

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