表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
J/53  作者: 池金啓太
五話「五月半ばの家族の一日」
179/1032

両親と人外

時は少し遡り、陽太達がグラウンドを離れ、静希と明利、そして雪奈が少年たちの野球を眺め、途中雪奈が乱入しようとしているのを抑えたりしながらゲームセット


延長三回までやって小学生たちはお礼を言いながら元気に去って行った


「ようやく解放されるよ」


「いやぁ子供は元気だなぁ」


「あんなに動いたのにまだあんなに走れるんだね」


子供は燃料がゼロになるまで動くことができるというが、あの体力がいったいどこから来るのか静希達は不思議に思っていた


城島への報告を終えると時刻はもう正午になろうという頃、午前中は丸々潰れてしまったことになる


「さてどうする?どっか飯食いに行くか?」


「あ、じゃあ久しぶりに静のご飯が食べたい!」


「えー・・・俺が作るのか?」


「作ってよ」


雪奈のものいいに静希は眉間にしわを寄せている


「じゃあ百歩譲って静と明ちゃんの合作でいいからさ」


「んん、明利はどうだ?なんか食べたいものあるか?」


どこをどう譲っているのかは知らないがとりあえず外食という選択肢は消えたようだ


「それじゃあ、雪奈さんに御馳走しなくちゃだね」


明利は少し考えて朗らかに笑う


基本料理やもてなしが好きな明利だ、こうなることは分かっていたが


そもそも静希はそんなに料理が得意ではない


一人暮らしをしている以上一定のスキルはあるが、せいぜい美味しく味付けをする程度


盛り付けや具の大きさなどにはこだわらない、ある程度味付けしてあって栄養がある程度取れて食えれば問題ない


完全なる男料理なのだが妙に雪奈には好評なのだ


明利は言うまでもなく料理がうまい、もっと言うと菓子作りなどもうまい


ただ静希の家のキッチンで作業しようと思うと身長が足りない


明利がよく来るために静希の家のキッチンには明利用のふみ台も置いてある


静希の家に戻りトランプの中の住人を部屋に解放して一息つきながら昼食を作っていると明利は踏み台に乗りながらエプロンをして料理を始める


「ああやってみるとさ、小学生がお兄さんの料理を手伝ってるように見えない?」


「わかるわ―、メーリ小さいもんね」


雪奈とメフィは意気投合しながら二人の料理の様子を眺めていると邪薙が何かに反応する


「シズキ、来客のようだぞ」


「来客?だれ?」


「私の知らん者だ、男一人女一人・・・む?侵入してくるぞ」


緊張を増して侵入などという言葉を使ったせいでオルビアが腰につけている剣に手をかける


「待て待て待て、泥棒?玄関鍵閉めたよな?」


「あぁ、鍵を開けようとしているな」


鍵を開けようとしているという時点でおかしいと気付くべきだったのだ


静希は数秒思案した後その可能性に気付く


玄関の扉が開く音がして数秒後、リビングの扉が開き二人の人物が現れる


「ただいまぁ!静希元気にしていたか?」


現れたのは中年の男性、朗らかな笑みを浮かべながらあたりを見回している


部屋の中には料理している静希と明利、ソファの上で寝転がる雪奈とメフィ、床に胡坐をかいている邪薙、そして呆然と立ち尽くしているオルビアがいる


一瞬この家が自分の家ではないのではと思ったのか男性はあたりを見回して首を傾げる


「おじさん!おばさんも!」


「あら雪奈ちゃん、久しぶりね、また綺麗になったんじゃない?」


男性と同じく朗らかな笑みを浮かべた女性はソファから立ち上がって迎える雪奈の頭をなでる


メフィ、邪薙、オルビアはこの状況を理解できずに疑問符を散布させている


「えと、静希?なんだかお友達が増えているようだけれども?」


「あー・・・なんつータイミングで・・・」


まずいところを見られた、メフィとオルビアだけならまだいい、だがこの場には犬の顔をした大男がいる


何と説明したものか


「えと三人とも、紹介する、この二人は五十嵐和仁と五十嵐麻衣、俺の両親だ」


「「初めまして」」


突然の両親の訪問に静希自身唖然としている


それは新顔の人外三人も同じことだった


「おじさんおばさん、お仕事の方はいいんですか?」


明利が料理を中断して駆け寄ると母、麻衣がおぉと言ってその小さな体に抱きつく


「明利ちゃん相変わらずかわいいわね、全然変わってないわ!ご両親元気?」


「あ、はい、二人とも元気、です」


明利と対応しているうちに静希は名案を思いつく


両親に悪魔や神格や霊装などと説明しても面倒になるだけだ、何とかごまかすしかない


「えと、父さん母さん、この三人は向かって右からメフィ、邪薙、オルビア、俺の学校の先輩で、メフィと邪薙はエルフなんだ」


「ほぉ、エルフか、私はエルフは初めて見る!初めまして、五十嵐和仁だ」


「メフィストフェレスよ、初めまして」


「邪薙という、お初にお目にかかる」


「初めまして、オルビアと申します」


「へぇ、エルフって変わった人が多いって聞くけど、角生えてたりワンちゃんだったりするのね」


こういう時両親が無能力者でよかったと思うがかなり厳しい、正直自分でもごまかせているのか疑問だ


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ