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J/53  作者: 池金啓太
四話「異国の置き去りの時間」
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怒り呆れ驚き

集合時間を破り、連絡を怠り、そして周囲に多大な迷惑をかけた静希達はホテルの城島の部屋で全員正座をさせられていた


城島の目を見ずとも伝わるほどの強大な殺気に静希達は冷や汗を流しながらその場で小さくなっている


「もう私がお前達に何を言いたいのかわかっていると思うが・・・とりあえずお前達の口から何か言い訳があるなら聞こうじゃないか・・・班長清水、何かあるか?」


まるで死刑がすでに決定している囚人に対して辞世の句を残させようとする執行人のようだ


悪趣味と言えばそこまでだがまだ弁解の機会を与えてくれているだけ有情なのだろうか


「途中までは何のトラブルもなく市街地を回っていたんです、ですが海に出てしばらくしたら嵐に巻き込まれて仕方なく嵐がおさまるまである島に退避しました、不可抗力です、仕方がなかったんです」


私達は何も悪くないのだという想いを言葉に乗せたつもりだったのだが城島の静希達を睨む眼光は衰えることを知らない


「次、まとめ役五十嵐、お前達の力があればすぐに嵐から脱出することもできたんじゃないのか?」


「そのことですが、嵐の中で船を出すことは非常に危険と判断しました、しかも能力で船を補強しようにも能力が使えない状況下にあったために止むを得ずその場に留まりました、あの状況では最善ではないにせよできることはしたと思っています」


静希の言葉にも納得している節はなく、徐々に苛立ちを増しているのがわかる


どんな事情があろうと時間厳守が常識だろうがよと言わんばかりに舌打ちが飛ぶ


「次、班の良心幹原、お前から見て今回の件はどう思う?」


「え、えと・・・皆能力が使えなくて、自分の身を守ることに精いっぱいで、でも頑張ってました」


「そういうことを聞いているんじゃない、お前から見て行方不明になった上に時間を破り周りに迷惑をかけたそのことについてどう思うと聞いている」


「あ、ああぅ、あの、その・・・ごめんなさぃ・・・」


前髪からのぞく射殺さんばかりの眼光にもともと小さい明利の体がもっと小さくなっていく、無理もない、今の城島は威嚇だけで野生の熊をも追い払えそうだ


「最後、バカ響、なにもないな」


「ありますよ!あります!奇形種に襲われたりそれを食ったり妙な剣を見つけたり大変だったんすよ!もうちょっと温情があってもいいじゃないっすか!」


陽太の扱いが酷くなっているような気がするがきっとそれは気のせいだろう


だが陽太は今大事なことを言った


そしてそのことを城島も気付いていた


「妙な剣?」


「そのことですけど先生、一応内密な話にしておいた方がいいと思うんですけど・・・」


静希の言葉に城島は大きくため息をつく


どうやら厄介事の匂いを嗅ぎつけたようだ


「この部屋はすでに監視などがないことは確認済みだ、話せ」


四人はお互いの視線で会話してとりあえず静希が口火を切った


「俺達が漂流した島で、ある霊装を発見しました」


「霊装・・・?よくそんな単語を知っていたな」


「私がちょっと調べた時に出てきただけです、ちゃんとした知識はないんですけど・・・」


聞きかじっただけでもたいしたものだと城島は言いながら腕を組む


「霊装か・・・また厄介なものを見つけたな、それが本当なら少なくともその島に調査隊を派遣する必要が」


「その霊装、今静希が持ってるんすよ」


城島が停止した


先ほどまで怒りに身を震わせていた城島がまるで石のように動きと表情を固めてしまっている


「ど、どういうことだ?持ってる?どうやって!?霊装は作成者か担い手以外は触れられないはずだぞ」


やはりある程度限定された人間しか触れられない武器のようだと確認しながら静希はトランプの中からオルビアを取りだす


「これがそうです、重さがない、メフィ達に近い存在だったから収納できたんだと思います」


静希からオルビアを受け取ると城島は口元に手を当てる


「本当に霊装か?普通に触れられているし・・・いやでも確かに重量が感じられない、これは霊装の特徴だが・・・」


「俺がトランプに入れたら皆触れられる様になったんです、俺の能力に何か関係しているんだと」


「ん・・・だがなぁ・・・」


未だこれが霊装であることを納得しきれていないようなので静希は先に結論を言うことにする


「そんでもってその霊装、製作者の意志がそのまま宿ってるんです」


「は?」


「オルビア、出てこい」


「かしこまりました」


城島に発言の機会を与えずにオルビアが光とともに鎧姿で顕現する


開いた口がふさがらないとはこのことだろうか


城島は信じられないといったふうに大口を開けて目の前に現れたオルビアを凝視していた


「初めまして、この度シズキ様の剣としての契りを交わしました、オルビア・リーヴァスと申します、以後お見知りおきを」


軽く頭を下げるオルビアと静希を見比べながら未だ城島の口は閉じない


相当驚きは大きいようだった


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