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J/53  作者: 池金啓太
四話「異国の置き去りの時間」
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呼び出し

ホテルに到着して少し時間が過ぎたころ、わずかな自由時間の中静希たち一班は城島に呼び出されていた


城島に割り当てられた部屋なのか他には誰もおらず城島はテーブルを出し書類と格闘していた


「おぉ、来たか、適当に座れ」


「それより先生、いったい何の用ですか?せっかくの自由時間に」


急に呼び出しをくらった静希からしたら突然のことで予定が大きく狂ってしまった


また街の散策にでも行こうと思っていたのだが出鼻をくじかれた


「お前たち明日はどういう予定だ?ざっくりでいいから教えろ」


「ざっくりって、ハワード達がいろんなところに案内して、その後陽太の希望でクルージングをする予定ですけど」


「クルージングに関してはまだいけるかどうかわかりませんけどね」


静希と鏡花の報告に城島は腕組して眉間にしわを寄せているようなのだが長い前髪に隠れて見ることができない


「でもどうしてそんなこときくんスか?一緒に来たいとか?」


「アホ、お前たちがただの生徒なら問題はない、問題はお前たちがただの生徒ではないことだ」


「・・・それってやっぱり」


「俺が原因ですか」


明利の懸念を静希が口にする


悪魔を連れる生徒、教師の監視外に行かれるとまずいのは誰が考えてもわかることだ


「そういうことだ、もちろんお前達は普通に行動してくれて構わない、ただ監視に先生が一人つく」


「それっていつものあの人ですか?」


そうだと城島は書類をいくつか探しだす


基本的に監査の教員というのは生徒と干渉するべきではないらしく、相変わらず名前すら知らないのだが、発現系統、分身を行使できるあの先生と考えて間違いないだろう


何気に静希達の担当の教員は城島とあの監査の先生でほぼ確定してしまっているのだろう


機密的な意味でもその方がやりやすいのだ


城島が探しだした書類を静希達に手渡す、それはこのエディンバラに存在する観光名所や店、通りなどの名称の書かれたものだった


「そこに明日行く可能性のある場所にチェックを入れておけ、その場所なら何かあっても監査の先生が反応してくれる」


「一応確認したいんですけど、案内が強制的に終了させられる可能性は?」


「無きにしも非ずだが、まぁお前があの二人をおとなしくさせていれば問題はないだろう、あくまで保険だ」


「あぁ、そういうことですか」


鏡花が納得しながら書類に目を通す


先ほどハワードに伝えた自分の行きたいところに次々と印をつける


『まったくひどい話よね、私の信用ってそんなにないのかしら』


こちらに来てからメフィがカードの中から話しかけてくるのは珍しい、さすがにただ待つのは暇になったのか


『少なくとも先生の認識としてはお前はただの悪魔だからなぁ』


実際一緒に住んでいる静希からすればもはや悪魔ではなくただちょっとわがままな居候程度にしか思えないが、教師からすれば十分以上の脅威なのだろう


『もしや信用がないのは私も同じなのか?』


今度は邪薙まで声をあげている


どうやらさすがに二人とも暇すぎて話相手でも欲しくなったらしい


『どうだろうな、メフィよりかはましなんじゃないか?一応神様だし』


守り神としての能力を有している邪薙は確かに信用に足るかと思うのだが、普段の邪薙の生活を見ているとどうしても信仰したりあがめようという気が起きない


日本名の神様なら和菓子でも食べていればいいのに邪薙ときたら洋菓子しか御所望しないときたものだ


少なくとも静希は邪薙をあがめる気など毛ほどもありはしない


『どっちにしろよ、問題が起きたって私がいる限り静希には指一本触れさせないわ』


『無論だ、守り神としての本領を発揮させてもらうとしよう』


『お前ら俺が問題視されてるのがお前らのせいだってわかった上で言ってるのか?』


問題となっているのはメフィと邪薙がトランプの中から外に出てくることであって静希が襲撃されるということなど一言も言っていないのだが


問題点を自分達から第三者に押し付けるあたり悪魔らしいのだが神格としてはどうなのだろうか


『まぁなんにせよ、お前らはおとなしくしててくれればそれでいいよ、それ以上は望まない』


『じゃあこっちはこっちでこの国の情景を楽しませてもらうわ』


『そういやそこからでも外の景色って見えるのか?』


『あぁ、だがどうやら見えるのはシズキを中心としている風景だけだ、それ以上は見えない』


どうやらカードの中は予想以上に快適なようだ


静希が見ている景色ではなく静希を中心にということは三百六十度全て見渡せるということだ


普通の人間よりも視野角広いじゃないかと呆れながら静希も書類にチェックを入れていく


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