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J/53  作者: 池金啓太
四話「異国の置き去りの時間」
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規模の違い

数分してから二人がまた壁を伝いながら降りてくる、どうやら屋上の確認はできたようだ


この様子からしてビルの間を利用した空中戦闘まで視野に入れていそうだ


考えすぎと言ってもいいほどに市街地での戦闘を視野に入れている


銃社会ではない日本ではあまり考えられないことだが、市街地での戦闘が絶対にないと言いきれない以上演習は重要であるということなのだろう


特に日本ではビルのような縦に長い建築物が多い


万が一市街地での戦闘がおこなわれるならこういったビルでの演習は実に役に立つだろう


演習場から出て静希達が向かったのは体育館


体育館というよりは運動するための小規模なスタジアムといった方が適切かもしれない


スポーツに必要な道具から観客用の椅子まで用意されている


「ここで年に一度誰が一番強い能力を発動できるかの大会が行われるんだ、それはもう圧巻だぜ」


「強い能力って、そんなのどうやって決めるんだよ」


能力は千差万別、同じ能力などなく、似ているようでまったく別の能力だって存在する


そして強いの定義も変わってくる


陽太のような発現、強化、鏡花のような変換、明利のような同調、静希の収納といったふうにそれぞれの強さは異なる


「簡単な話よ、その能力を使う時の魔素の多さで決めるの」


「このスタジアムいっぱいに測定器を入れて一人一人能力を使っていくのさ」


「なるほど・・・そういう比べ方もあるのか」


日本にとって能力の強弱や優劣はその能力がどれだけの力を発揮でき、どれほど制御できるかによって決まる


そして個人の能力はそれをどれだけ実戦に活かせるかによって決まる


だがこの国では魔素の消費量こそが強い能力という認識のようだ


強い能力というのは単に魔素の使用量が多いというものではないが、一種の判定基準にはなる


魔素の多さはつまり能力の威力に関係する


使い勝手や多方面の応用性より一回の能力に使う魔素を測定する、あながち的外れというわけでもなさそうだ


燃費が悪いという能力も中にはあるだろうが、結局は本当に優秀な能力の中には隠れてしまう


魔素の消費量はその能力によって違う


静希達の一回の魔素の消費量を比べると陽太、鏡花が同じ位に多く、次に明利、そして最も燃費がいいのが静希である


単に能力が弱いからというのもあるが、最も燃費がいいという意味では非常にいい点と言えるだろう


一般的に魔素の使用量が最も多いのは発現系統とされている、その次に転移系統、そして次に変換系統があげられる


能力によってその大小が変わるために正確とは言えないが、大まかな判断基準がこの順位だ


そう考えると鏡花の能力は本当に化物のような性能を誇っていると言っていいだろう


使用魔素が多い代わりにできることの範囲が非常に多い


敵でなくてよかったと今更ながらに実感する


次に静希達が向かうのは図書館だった


かなりの蔵書数を誇っているようで一階から五階まで本で埋め尽くされている


吹き抜けの天井からは太陽の光が降り注いでおり、図書館だというのに風が吹き抜けるような開放感が漂っている


「すごい数の本だな、どこ見ても本しかないぞ」


「ここに来れば大体のことはわかるよ、必要な本を探すのにちょっと時間がかかるけどね」


本棚の横には端末があり、そこにタイトルやキーワードを入力することでその本がどこに在るのか表示してくれるようだ


日本の図書館や本屋にもある端末である


だが日本の図書館はこれほどの蔵書数はない


これほどの数があると少し読んでみたい気もする


静希が手頃な本を手にとり何ページか読んでみようと試みるも、内容はすべて英語


当然と言えば当然かもしれないが、日本にもこれだけの図書館が身近にあればいいのにとしみじみ思う


次に向かったのは中庭


ハワード達がそういって案内したものの、その規模は中庭と呼べるものではない


その大きさは巨大な公園のような規模だ


あたり一面芝生で覆われ、見える範囲に池のようなものまであり、木々が生い茂りところどころにベンチが配置されている


やはり土地の使い方がいちいち豪快だ


ここまでくると逆に笑えてくるのはどうやら静希だけではなかったようで陽太も鏡花もひきつった笑いを浮かべている


明利はただこれほどの植物があることに感動を覚えているようだ


植物が好きな明利にとってこういう自然に近い形での群生は嬉しいのだろう


いろんなところを案内してもらっているうちにすでにだいぶ時間が経過しているらしく陽太の腹が大きな悲鳴を上げる


その音に全員が笑いだしながら時刻が昼食時であることを確認していた


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