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J/53  作者: 池金啓太
四話「異国の置き去りの時間」

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異国の朝

静希達は自分達の行きたいところを軽くピックアップし地図上にチェックを入れた後軽く話して遊んで夜食にカップラーメンを食べてから床に着いた


「なんか寝た気がしねえんだけど・・・」


「あー・・・やっぱ体内時計が狂ってると妙な感覚だな」


当初の起床時刻より一時間も早く目が覚めてしまった静希と陽太、暇つぶしにテレビをつけてみても何を言っているのかさっぱり分からない番組ばかり


朝食は八時から、今はまだ五時、三時間以上あるのにもかかわらず目はしっかりと覚めてしまっていて寝られそうにない


いっそのこと睡眠薬をとも思ったがもしそのまま眠りについてしまった場合遅刻する可能性が高い


いっそこのまま起きてしっかりと体内時計を整えないと旅行中ずっとこの不快感を味わうことになる


できるのなら一日で順応したいものだ


「あー・・・俺二度寝する、静希時間になったら起こしてくれ」


「いいけど、そのまま眠り続けるなよ?」


「わーってるよ」


陽太はこういう時特にものを考えていないからうらやましい


いや思考ではなく感覚で理解している分順応は早い


静希にはない対応だ


とはいえやることがないというのも時間が無駄というもの


少しホテルの敷地内の散歩でもしようかと制服に着替え扉を開けるとそこには今まさにノックしようとした鏡花の姿がある


すでに制服に着替えておりこちらも行動開始しようとしていたようだった


「うわびっくりした!いきなり開けないでよ」


「びっくりしたのはこっちだ、朝っぱらから何の用だ?」


今は午前五時、行動を開始するのは少し早い時間だ


だが廊下を見るとどうやら起きているのは自分達だけではないようだった


ちらほらと生徒の姿を見かけることができる


「だって変な時間に目が覚めちゃって、暇だったのよ、明利は起きないし、テレビは見てもつまらないし」


「なるほど、俺と同じ状況ってことか」


「陽太は?」


「二度寝したよ、時間になったら起こせとさ」


「あいつらしいわね」


呆れながらもうらやましそうに部屋の中を見るがその姿は確認できない


すでにベッドで寝息をついているためいつものような毒舌はそれ以上飛んでこなかった


「あんたどうするの?どっか行くなら付き合うわよ」


「どっか行くっていったってホテルの敷地内だよ、ちょっと散歩でもと思ってな、店もあいてないから他にやることがない」


「はは、確かにね、海外って厄介だわ、ゲームの一つでも持ってくればよかった」


まったくだと同意しながら静希はドアに鍵をかけて二人でとりあえずロビーに向かった


やはりというべきか、自分たちと同じように暇を持て余した生徒が数多く、中には教師も混ざっている


監督役として当然と言えるかもしれないがさすがとしか言いようがない体勢だった


そしてその中に見知った顔、いや仮面があるのを見つけた


「よ、石動、早いな」


そこにいたのは一年C組のエルフ、石動藍だった


相変わらず仮面で顔を隠し姿勢よくロビーで外の風景を眺めていた


先日のエルフの村での実習以来話す機会がなかったが、これはちょうどよかったかもわからない


「あぁ、五十嵐、それに清水か、お前たちも早いな」


「なんか感覚がおかしくてね、寝たはずなのに寝た気がしないのよ」


「ふふ、私も同じだ」


エルフといえどやはり能力者でありただの少女、旅行に興奮する気持ちも静希達と同じようだった


「同じ班の人は?一緒じゃないの?」


「男子は知らんが同室の者はまだ眠っている、起こすのも心苦しくてな、一人でのんびりさせてもらっている」


紅茶でもあればよかったんだがと苦笑するが確かにこうして外を見ている分には何か飲み物が欲しくなる


とはいえ自販機で売っているものを買う気にはなれない、こういうときは温かい紅茶かコーヒーが欲しい


「なら、ひとつティータイムといこうか」


「え?」


ロビーに用意されているイスとテーブルのセット、その一つに陣取って静希はハートのトランプの中からいくつかのティーセットを取り出す


小さな小瓶の中には紅茶の茶葉も入っておりすぐに紅茶を入れることができそうだ


「あぁ、そういえばあんた収納系統だったわね、すっかり忘れてたわ」


「だが湯はどうする?部屋に戻れば電気ポットがあったが」


「必要ない、万事ぬかりなしだ」


ハートのトランプの一枚をポットの上に浮遊させると、トランプから湯気を飛ばしながらお湯が流れ出てくる


百度近くまで熱し、沸騰させた湯を五百グラム


朝のちょっとした飲み物としては十分だった


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