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J/53  作者: 池金啓太
四話「異国の置き去りの時間」

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悪魔の過去

「でもシズキ、さっき聞いてたけど大聖堂行くつもり?」


「んー・・・いけるなら行ってみたいんだけど、ダメか?」


「ダメじゃないけどね、私は平気よ?もともと神とは敵対しそうな存在だし、でも邪薙は不味いと思うのよ」


鏡花に撫でまわされ困惑する邪薙を見る


邪薙はどんなに腐っても撫でまわされていても神様の部類に入る


そしてそれは日本の神様である


このイギリスの地に神格が他にいるかどうかはさておいて大聖堂とは神聖なる場所、神への信仰の象徴とも言える場所である


ある種の神を祭っているところに異教の根源のような存在である邪薙を連れて行ってもいいものか


メフィの怪訝な表情から静希はそのことを悟った


確かにまずいかもしれない


イギリスがなにを信仰していようとそれは自由だ


キリストだろうがヒンドゥーだろうがそこは全く静希の知ったことではない


だが静希は今神を身近な存在としてしまっている


唯一神だとか異教徒滅殺を心構えとしているような宗教だった場合静希の存在ごと殺されかねない


トランプの中に収納して気配などを察知されないとも限らないうえ、万が一ばれた場合どうなるかもわからない


ちょっとした観光気分が突然二十四時間的な映画もびっくりな殺伐とした銃撃戦が繰り広げられるのは真っ平御免だ


「大聖堂は我慢した方がいいかもな・・・」


「いや、私はシズキが行きたいっていうなら止めないけどね、昔は酷かったけど今はどうなってるか分からないし」


昔?とメフィの言葉に疑問を投げかけると依然として明利を撫でまわす悪魔は目をつむって悩みだす、いや思い出そうとしているようだ


「んと、五百年くらい前かな、当時のこの辺りの宗教って異教徒=敵っていう考えだったから、化物と異教徒はほぼ同じ意味合い、出会いがしらに右ストレートなんて当たり前だったんだから」


何と好戦的な宗教だろう、信じる者は救われる、ただし信じない者には有無を言わさずグーパンチ


これでは下手なチンピラよりたちが悪い


「昔はすごかったんだな」


「今まだその規律が残っているかは分からないけど、危険を少なくしたいのなら行くのはやめた方がいいわ、昔殺されかけたしね」


「お前が!?冗談だろ?」


悪魔が殺されかけるなどと冗談でも笑えない


少なくとも当時の科学技術はそう高いものではなかった


となれば能力だけでメフィを殺しかけたということになる


昔の人間は能力が強かったのだろうか


「私の能力、『再現』ストックの内一つにその時の敵の能力があるわ、あの時これを手に入れなかったらやられていたかもね」


「冗談じゃないっぽいな・・・人間でも悪魔を殺し得るってことかよ」


メフィの言葉に陽太はやる気をあげているが静希は逆にやる気が一気に減退しているのを感じていた


少なくとも昔の人間に限るかもしれないがメフィを追い詰められるだけの能力ないしそれだけの戦闘能力を保持した人間がいた、もしかしたら複数かもしれないがそれは確実にいたのだ


だとすれば現代にもそれだけの戦闘能力を持っている人間がいてもおかしくない


悪魔と契約している以上、万が一億が一の確率だがその人物達と戦うことがあるかもわからない


そう考えると今から頭が痛かった


何よりもまず平穏を求めているというのになぜこうも静希の周りには危険な匂いがぷんぷんするのか


「少なくともメフィ、お前今そいつらが来た場合、対応できるのかよ」


「貴方が望むならね、昔とは違うってとこ見せてやるわ」


どうやら陽太ほどではないにしろメフィも随分負けず嫌いなようで意気揚々と圧勝してあげるわと語っている


「だがメフィストフェレスよ、国によっては悪魔払いなどの技術が発達しているところもある、お前にとってそれは天敵たり得るのではないのか?」


鏡花に撫でられっぱなしの邪薙が口をはさむがメフィはそんなことお構いなしのようだった


「そんなこと言ったら神のあんただって神殺しがあったら一撃でしょ?弱点たり得るかどうかは存在の器量よ?」


「ふむ・・・それはそうだが・・・」


「それ以上はやめやめ、せっかくの旅行なんだからこれ以上血なまぐさそうな会話はストップだ」


このまま話をさせておくとまた妙な方向に話が持って行かれそうだ


そうなったら静希では止められない可能性があるし、そろそろ明利も限界に近付いていた


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