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J/53  作者: 池金啓太
四話「異国の置き去りの時間」

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異国情緒

「しっかたねえな、ホテルの中ぶらついてなんかご当地のお土産でも探すか?」


「こういうところで売ってるのより街に出て買った方がいいと思うけど?」


「ここまできてキーホルダーとか嫌だろ?明日まで待とうぜ」


「まったくね、どうせなら本当に地元でしか売ってないようなのが欲しいわ」


ホテルの売店をちら見してもたいしたものは売っていなさそうだった


確かにお国柄それらしいものは売っている


お菓子や国旗、独特な彩色のされた箱に入れられたこれまた独特な人形


どれも日本に帰れば珍しいものだが、どうもこの国にとって珍しいとは言えない


「せっかくエディンバラに来たんだし、また街に出られるならシャーロックの銅像も見たいわ」


「シャーロック?ってホームズか?なんでこんなところにんなもんあるんだよ」


「陽太君、シャーロックホームズの作者がエディンバラ出身なんだよ」


「それは知らなかったな・・・時間があるなら大聖堂やエレファントハウスにもいってみたいな」


「大聖堂って、ロスリン・チャベル?映画の舞台になってた」


「あれは教会だろ、俺が言ってんのはジャイルズ大聖堂」


「大聖堂?なんで?」


「せっかくそれっぽいのもつれてきたんだ、ちょっとは神聖な空気を吸わせてやろうと思ってな」


以前調べた中で静希が目を引いたのがこの大聖堂だった


一般公開もされていて、内装を写した写真がとても印象的だったのだ


それは日本の神である邪薙に対するものかそれとも悪魔であるメフィに対するものか


どちらにせよ皮肉には違いなかった


「エレファントハウスって確か有名作家が通ってたって場所だっけ、確かにちょっと行ってみたいかも」


「もっとこうドカンと驚く場所はないのか?」


「だったら城とか、あとはツアーとか・・・そこら辺は詳しく聞かないとね」


「大学の方には今回いけるんだっけ?」


「あぁ、交流会を含めて付属大学の案内もしてもらえるらしい」


エディンバラ大学


エディンバラに在る能力専門学校が付属校として傘下に収まる欧州屈指の名門


数々の作家や学者を輩出しており、数多くの有能な能力学者もこの大学に所属していると聞く


「こうして考えると行きたいところばっかだな、行くのに時間かかるけど」


「さっきの自由時間は周囲歩くだけで終わっちゃったしね、まぁ期待しましょ、今回の目的はあくまで交流ってことで」


それも致し方なし、静希達はとりあえず自分たちが行きたいところをピックアップするためにホテルにあった観光雑誌などを手に色々と調べ物をすることにした


こうして考えると事前にあまり調べてこなかったのが悔やまれる


だがこんなにも心躍るものだとは思わなかったのだ


少し面倒な旅行だと心のどこかで思っていたが、そんなことはない


やはりどんな能力を持っていようと経験を越えていようと静希達はまだ高校一年生


考えが足りないこともあれば予想外の感動に心震えることもある


今回は特別だった


初めての旅行ということで自分達の中でいろいろ思うところがあったせいもあって静希達はすぐさま部屋に戻り自分達の行きたい場所を捜し出していた


そうしていると時間が過ぎるのは早く、あっという間に夕食の時間となった


「さて、とうとうこの時間が来たわけだが」


陽太からすればそうとう城島から脅しをかけられていただけに警戒心丸出しの顔をしている


どうやらそれは静希達のクラスの全員がそうであるようだ


もちろん静希もわずかに緊張してしまっている


さんざんここの料理は酷いからと脅しをかけられているのだ


仕方ないこととはいえこの先入観はぬぐえない


世界の批評からしてもイギリスの料理は何と言うか酷いという言葉が多い


だが実際に食べてみないことにはなんとも言えない


テーブルを囲む静希達の前に置いてあるのは水とパン


これはどうやら前提として置いてあるものらしい


さすがにパンにどうこう言う気もない、それは陽太も同じようだった


静希達が食べる料理は突然そして一気にやってきた


どうやらコース料理というわけでもないらしい


茸類を使ったクリームスープ、ポークステーキに何かのソースをかけ、ゆでたジャガイモとニンジンを添え彩ったもの、トマトとチーズ、アスパラなどを使ったサラダ、個人的にライスをつけることもできるようだ


これだけ見れば普通の料理だ


いやこれだけ見れば普通に豪華な料理だ


城島のいう酷い料理とは思えない


それはこのホテルの水準が高いからなのかそれとも城島がただ単に大げさに言っているだけなのか


とりあえず恐る恐るスープから口につける


陽太は警戒しまくりでまだ口につけておらず静希の様子を見ている


普通においしい


少し味は濃い目、独特な香辛料の香りがするが十分許容範囲、いやそれどころかそれがなかなかスパイシーだ


静希のゴーサインを見て陽太鏡花明利はそれぞれの料理を口に含む


三人の顔がおぉと意外なものに変わる


数十分後、生徒達は夕食を平らげ満足げに自室に戻ることになる


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