表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
J/53  作者: 池金啓太
四話「異国の置き去りの時間」
129/1032

到着、エディンバラ

「到着!イギリス!」


飛行機から降りて陽太の第一声がこれだった


確かにイギリスに到着したのはその通りなのだが、まだ目的地に着いたというわけではない


しかもここは空港、ヒースロー空港と呼ばれるただ経由するために来た国際空港である


景色もただの空港、成田空港に比べ空気が若干違うことは認めるがそれ以外の違いは文字くらいである


「静希、これからどうするの?」


「この後一時間後にエディンバラ空港への便に乗る、そしたらホテルに荷物を置いて、その後自由時間だ」


「また飛行機か・・・うぅ」


さすがに揺れが少ないとはいえ長時間の乗り物は堪えるのか明利はふらふらしている


無理もない、乗り物に強い静希でさえ奇妙な浮遊感が身体に残っている


長時間飛行機に揺られるとこういうことになるのかと貴重な経験をしつつ静希達は時間を潰し再度飛行機へと乗り込んだ


こう何度も乗るはめになってはさすがの感動も薄れるというもの


静希はもちろん陽太もさすがにはしゃぐことを忘れて景色だけを堪能しているようだった


そして一時間後、静希達は目的地であるエディンバラ空港へと到着する


エディンバラ


スコットランドの首都でありロージアン州の州都でもある


ロンドンに次いで観光者の数が多いことでも有名で八月には毎年芸術祭典が行われ多くの観光客でにぎわうという


フォース港という港に面しており、その美しい町並みは世界遺産にも登録されているほどだという


「よし、全員注目、これからバスに乗ってホテルへ移動する、各班班長は班員が全員いることを確認した後担当教師へ報告、全員いるとわかり次第移動を開始するぞ」


教員の声があたりに響き、他の生徒も所在確認しながら報告を終えていく


空調の利いていない屋外に出ると肌寒さが際立つ


六月の平均気温は十度半ば、日本からしたら十一月か三月程度の気温だ


バスでの移動は早かった


いや飛行機の時間と比べるとという意味もあるが、バスから見える風景に目をとられ、時間が過ぎるのを忘れていたという方が正しい


まさに異世界というにふさわしい光景だった


生まれ育った日本とは全く違う風景、人、建物


何もかもが違う


通りがかる普通の民家も、周囲にいる人も、あたりに見える地面さえもが異文化を表している


そうしてようやく全員が実感することとなる


自分達は今海外にいるのだと


陽太はテンションが一周回って感動して「おぉ・・・」としか言えなくなっている


それは静希も、そして明利と鏡花も同じだった


他の生徒もどうやら同じだったらしく、身を乗り出して街を眺めるというよりはその風景を目に収めるので精いっぱいという様子だった


その様子に城島はため息をつきながらマイクを手に取る


『お前達、品のある行動は結構だが、自由行動の時にはっちゃけるようなことはするなよ?今のうちに騒いでおけ、ここはバスの中だ』


城島の言葉に、今まで溜まっていた感情や抑えていた物が噴き出したのか、バスの中が一斉に騒がしくなる


写真をとる者、騒ぎ立てるもの、観光スポットの確認をするもの、それぞれが今まで自分がしたかったように動き出す


それは静希達も同じ


静希と明利は入念に写真をとり陽太は鏡花に観光地のお勧めを探させていた


城島も能力者だ、生徒がどのような感情にとらわれているかを熟知している


生徒が楽しめるようにするというのが教師としての今の在り方だった


バスがホテルに到着するころにはさすがに生徒達の興奮も落ち着いたようで全員が荷物片手に笑みを浮かべ話し合っていた


全てのバスと生徒が到着したところでホテルの中に教師が先に入り、駐車場で残った生徒は指示を受けていた


「あー、これからホテルの各部屋に荷物を置き、十七時まで自由行動とする、あまり動きまわるな、あまり迷惑かけるな、能力は絶対に使うな、せいぜい街を回る程度にしておきなさい、以上解散」


ホテルのチェックインも問題なく終え、静希達は自分達の部屋へととりあえず荷物を置きに行った


部屋は二人部屋、大きなベッドが二つ、そしてテレビに机、バスルームなどのあるオーソドックスでありながら広い部屋


だがそのどれも高品質で整えられており、このホテルがなかなか高級なものであるのがわかる


「おぉ、景色も結構いいな」


窓から見える景色はエディンバラの街並みを映したものだった


日が傾き始め、朱に染まる異国の街並み


静希はその光景に何も言うことはなくシャッターを切る


「デジカメのメモリー、もっと持ってくればよかった」


「違いないな、これじゃいくらあっても足りねえよ」


二人で笑いカメラを持って明利と鏡花に連絡を取る


せっかくの自由時間だ、何もしないのは至極もったいない


明利と鏡花も同じだったようで、すでに用意はできているらしかった


時間は有限、ロビーで待ち合わせして静希達は見たことのない国に足を踏み出した


実家に帰る関係からこれから全て予約掲載なので反応などができないかもわかりません


これからもお楽しみいただければ幸いです

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ