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J/53  作者: 池金啓太
四話「異国の置き去りの時間」

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空への期待

「でもそうなるとあんたんところは菓子代がすごいことになりそうね」


「あぁ、出費が馬鹿にならないよ」


普段菓子など食べない静希からすれば余計な出費が増えただけ


食いぶちが増えたわけでもないのに食費がかさむとはいったいどういうことなのだろうかとため息をつく


その分メフィにも邪薙にも世話になることを考えれば必要経費と取れなくもない


だが単なる学生の静希としては出費は抑えたい、しかもメフィとの戦闘のせいで消費した硫化水素の材料購入の為にも金はできる限り温存しておきたいのだ


自分がただの発現能力者であればどれほどよかっただろうかと嘆きながら静希はトランプを軽く睨む


「ていうかほんとにこいつ寝ちゃったわね・・・身体に害とかないの?」


「ほとんどないはずだぞ、倦怠感は残ることがあるらしいけど副作用の少ない薬だからない場合もあるらしい」


旅行に来て行きのバスで強制的に眠らせるのは少々やりすぎたかと反省しながら静希は陽太の頬を叩く


ぺちぺちと音がしても陽太は起きる気配が全くない


当然ではあるがすやすやと笑みをたまに浮かべながら眠っている


どうやらいい夢は見れているようだ


「まぁ陽太だからうるさいよりはいいでしょうけどね、飛行機の中で大騒ぎしなきゃいいけど」


「そりゃ無理だろ、こいつも俺も飛行機初めてなんだから、はしゃぐなってのは酷だ」


「私は、ちょっと怖いけど・・・」


「え?明利飛行機怖いの?」


「だ、だって鉄の塊が空を飛ぶんだよ?どうやって飛んでるの?あんな重たいもの」


「あー・・・まぁいろいろあるけど説明はめんどいわね」


今ここで飛行機の飛ぶ原理を説明したところで明利の恐怖は打ち消せないだろう


鮮明に説明すればするほど逆に恐怖心をあおってしまいそうな気がする


「静希君、後でその睡眠薬私にも頂戴・・・飛行機の中では寝てたいよ」


「わかったから、そんな顔するな、大丈夫落ちたりしないから」


「あんたがそんなこと言うと落ちそうな気がする」


「・・・へへっ!大丈夫だって!旅客機だぜ?落ちるわけがないって」


「フラグになりそうだからやめなさい、私の能力じゃ落ちた場合ほとんどフォローできないわよ」


フォローできないのはこの班全員で同じことだ


陽太は言うに及ばず、明利も静希ももし高高度から落下するようなことがあれば確実に死が待っているだろう


鏡花は破片などを使ってパラシュートを作ることくらいできるかもしれないがそれも運に左右される

飛行能力など持っている人間はさほど多くない


そして高高度からの落下中に平常心を保って能力を発動できるだけの精神力を持った高校一年生も少ないだろう


必ずパニックになる


一度精神状態が狂えば確実に能力はうまく機能せず暴走する可能性もある


仮に能力を発動できたとしても自分の思うままに能力を発動できるのはごく一部


もし旅客機がバラバラになろうものなら静希達はその場でジ・エンドだ


抵抗することもなく走馬灯の上映会が開始されることだろう


約十二時間も飛行機の中にいることになるのだから明利の睡眠というのも間違った話ではない


時差もあるから静希達が考える以上に海外旅行というのは疲れがたまるのだ


必要な時と場所でしっかりと休息をとっておくのは大切なことである


「にしても鏡花はやたらと落ち着いてるよな、もしかして飛行機乗るの初めてじゃないのか?」


「ええ、三度目くらいかな、私も海外は初めてだけど国内便には何度か乗ったことあるし」


おおぉと静希と明利の両名から感嘆の声が漏れる


二人とも飛行機などは全くの未知の乗り物であるため経験者がいるというのは非常に心強かった


「出発する時ってどんな感じなの?ふわっとする?」


「んと、ふわっていうより座席にちょっと押しつけられる感じかな、負担が少ない程度に急加速するから、その時にちょっとぞくっとすることはあるかも」


「俺雲の上って想像できないんだけどどんな感じなんだ?」


「雲は雲よ、上から見ても下から見ても同じ、窓も小さいからそんなに景色を堪能できるわけじゃないわ」


鏡花の言葉に二人はふむふむと興味深そうに耳を傾けている


普段は鏡花が何か物事を静希に問いかけることも多いのでこういうのは新鮮だった


経験したことのない事柄に関しては静希は純粋な興味に引かれるようだ


普段試行錯誤と作戦などを立てる立場から説明をする立場の静希にこうして何かを説明するというのはなんとも言えない優越感があった


「そもそも飛行機っていったって途中で飽きるわよ?二、三時間のってるだけで手持無沙汰になるんだから」


「今回は半日近く乗ることになるからな、そういえば機内食ってどんな感じ?」


「私は食べたことないわ・・・国内線で機内食出ることなんてそうないもの」


静希達にとって国内の事情だけでも未知の領域なのに最初が海外への切符、興味は尽きない


それからきっちり二時間後、成田空港に到着する寸前で陽太は大あくびと共に目を覚ました


お気に入り登録件数が200を突破しました!



この物語を読んでくれて本当にありがとうございます


もっと面白くなるように努力いたします


これからも楽しんでいただければ幸いです

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