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J/53  作者: 池金啓太
四話「異国の置き去りの時間」

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バスの中の生徒

「お前らこれから先長いんだ、あまり張っちゃけ過ぎるなよ?」


鏡花の頭を掴んだのは担任教師の城島だった


実習班としての引率も務めた厳格?なる教師である


「せんせー、せっかく貸し切りバスなんですからカラオケとかしましょうよ!」


「私の歌を聞きたければオーケストラホールでも貸し切るんだな、そこらで鼻歌でも奏でてろ・・・ところで」


陽太に毒を吐いた次は静希に顔を近づけ小声で話しかける


「あいつらは連れてきているのか?」


「はい、一応出てこないようにいってあります」


さすがに事情を知る者としては一番気がかりな事柄だろう


あくまで生徒としての立場ではあるが仮にも能力者なのだ


「お前が責任もって管理しろ、絶対にばらすなよ?お前の持っているそれは核兵器と同等と思え、所持がばれた時点で豚箱行き確定だ」


その能力者が親交を深めるために用意された旅行に悪魔と神格を連れているなどとばれた日には国際問題になりかねない


城島の言っていることは言い過ぎとは言えない、邪薙はともかくメフィにはそれだけの力がある


「心します、旅行中は絶対に外では出しません」


「よし、お前たちも気をつけろ、もしぼろが出そうになったらフォローしてやれ」


静希に続き全員の顔が一気に引き締まる


ばれた時点で投獄、運が良ければ釈放もあり得るが運が悪ければ首をくくることになるだろう


城島は言うべきことは言い終えたのか前の席へと移動していく


「いやぁ、今になって思うけど相当せっぱつまってるよな、そんなに警戒することかね」


陽太はいまいち危機感が足りていないようであっけらかんとしている


もちろん陽太だってメフィの力は十分以上に理解している


だが城島の言うような問題になるほど大きな事柄ではないと思っているのだろう


「んん、何と説明したもんだろうな・・・」


「そうね・・・静希、ナイフの入ってるトランプ貸して」


「いいけど・・・どうすんだ?」


静希からクローバーのトランプを一枚受け取った鏡花はそれを陽太に見せる


「いい陽太、このナイフの入ったカードがあの二人だと思いなさい、そしていつでも射出できるようにあんたの胸ポケットに入れておく、もちろん発射先はあんたの心臓よ、これで静希はいつだってあんたの心臓をナイフで突き刺せる、このやり取りを私たちは国家レベルの規模でやりそうになっている、決してナイフを外に出してはいけない、少しでも出せば敵意があると思われる、わかったかしら?」


「わかった、十分危険な行為だとわかった、だからナイフを戻してくれ、生きた心地がしない」


その生きた心地がしないということを国家間で行おうとしている


静希は争いが好きなわけではないが、自分の生活と国家間のいさかい、どちらを選択するかで言えば自分の生活第一だ


たとえ国同士がいがみ合う結果になろうと自分の生活さえよければそれでいい、安全なる我が家の為にも悪魔と神格をあの家に放置しておくわけにはいかないのだ


もちろん破壊されない可能性も零ではない


だが万一家が壊されるという可能性を考えれば連れて行かないわけにはいかない


何せ相手は気まぐれな悪魔


いい意味でも悪い意味でも何をするか分からない


無論静希だって家を守りたいだけの理由でメフィたちを連れてきたわけではない


旅行に行けない、誰かが楽しんでいるのに自分はその輪に入れない


能力者である静希達はその辛さを一番よく知っていた


能力者は世界全体人口からみても少ない


そして本来子供らしく楽しむべき幼少時代に能力者はその制御と知識を詰め込むことに終始し、能力制御がある程度行えるようになるまでは外出にさえも許可を求められる


旅行なんてものはもってのほかだ


だからこそ、どんな形であれ旅行ができるのは嬉しかったし、できるのならその楽しさの中にメフィ達も含めてやりたいという想いが多少なりともあっただろう


もっともそんなことは当の本人には言っていない


だが心根は全員似たようなものだった


故に悪魔を旅行に連れて行くという行為を誰一人として強引に止めようとしない


それは彼らが長年望んでいた光景で、ようやく叶った顛末だったのだから


「ていうかさ、どうしよ、俺今更だけどあの美貌を前にして紳士的でいられる気がしないんだけど」


「うわ・・・サイテー・・・お願いだから太陽が高いうちからそういうこと言うのやめてくれる?」


陽太の半分セクハラともとれる発言に明利も若干もじもじしてしまっている


実際にメフィに触れられているのはこの中では静希と明利、そして能力使用中ではあるが触れたのが陽太


実際に触れてみないとわからないものがある


あの肌の柔らかさは非常に危険であると言わざるを得ない


「だってさお前わかるか?卵肌ってああいうのを言うんだって実感するぞ?俺の肌なんかと全然違いやがるんだよ、興奮しない方がおかしくね?」


「静希この馬鹿黙らせて、催涙ガスでも何でもいいから」


その発言に陽太は素早く身構えるが静希は携帯を眺めるだけでトランプも何も出してこない


「ふむ、そろそろだな」


「へ?」


明日からは一日一投稿に戻します


いや特にこの二日に意味があった訳ではありませんよ、ありませんともさ



これからも楽しんでいただければ幸いです

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