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J/53  作者: 池金啓太
四話「異国の置き去りの時間」

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静希の生活(非日常)

静希が悪魔に魅入られてすぐ、旅行に行くのをやめようかという考えにもいきついた


ある程度の理由があれば自習室にこもることになるが旅行に行くのを辞退することはできる


だがその場合『静希君がいかないなら私も』と明利がいいだしそうだし、何より犬猿の仲である陽太と鏡花を静希の管轄外に出すのは了承できない


メフィほどではないが、この二人も放っておいたら何をするか分からないのだ


それにいかに理由をつけようと静希だって旅行に行きたい


初めての海外というのもあるが、やはり学校行事には参加したいと思うのは当然だろう


だが問題は大きい


一つ間違えればテロリストと間違えられることだってあり得る


何せ静希が抱えている厄介者はそこん所そこらの問題児の比ではない


一人は大隊規模で事件を起こせる、本気になれば街一つ滅ぼせる悪魔


一人は何を隠そう守り神、力は全盛期に比べ劣ってはいるものの神格としての力は遺憾なく発揮できる


本当に自分は出国できるのかさえ不安になってくる


「でも先生は平気って言ってたよね?」


「そりゃ、言ってたことは言ってたけど」


悪魔と神格を匿って以来、担任教師城島に問診されることがあり、その都度いくつか確認をしたことがある


日常生活のことや学業に対する質問だ


その中に今回の旅行のことも含まれる


城島曰く


『あぁ、へーきへーき、お前がヘマしなきゃばれることはないって、もしばれてもあいつの力ならとんずらこけるだろ』


とのことである


もしばれたらとんずらをこかなくてはいけないような状況になることは確かだ


静希の力で完全に二人の行動を制限できないのが非常に悔やまれる


もし飛行機に乗っている状態で突然メフィが暴れ出したら乗客全員がはるか上空からの落下までの時間、長い長い走馬灯を見ることになる


そんなパラシュートも装備できないスカイダイビングは真っ平ごめん被る


「平気って言ってるんだから大丈夫なんじゃないの?さすがに先生だって国際問題なんかにしたくないだろうしさ」


「そりゃそうだ、これ以上俺の胃に負担をかけないでほしいね」


現状だけでかなりの負担が静希の胃にはかけられている


これがただの生活費の問題だったり成績の問題だったらどれだけよかっただろうか


日常的にデッドオアアライブの選択肢や会話があるのだから常人なら三日も経たずに胃に穴があくだろう


そういう意味では静希は非常に優秀であると言える


もっとも半分諦めとやけくそが含まれているのは言うまでもない


もはや常人として生活していては普通の生活ができないのだ


いくつかの部分を犠牲にして静希の綱渡りのような状況は成り立っている


そこにさらに国際事情までかかわってこようものなら胃が完全にご臨終すること間違いなしだ


万が一そんなことになったら即座に静希の胃は穴を緊急生産し血を口から吐き出すことになるだろう


絶対に防ぎたい事柄ナンバーワンといっても過言ではない


「まあなんにせよあんたが参加しないとこの馬鹿との折り合いがつかないからちゃんと来なさいよ中間管理職」


「馬鹿とは何だ馬鹿とは、まさか俺のことじゃないだろうな」


「あんた以外にいるの?」


「んだと!?」


もはや久しぶりとも感じられることやり取りにももはや何も言うつもりはなかった


好きなだけいいあっていて下さいと言わんばかりに静希はため息をつきながら三人と別れて自分の部屋に帰ってくる


「ようやく出れたわ、やっぱ我が家はいいわね」


「ふむ、学校というのもなかなか面白いが、やはり家のほうが落ち着くな」


いつものように気体生成の機材にスイッチを入れカバンを自室に置くとトランプの中から勝手にメフィと邪薙が出てくる


もはや自分の家であると言わんばかりにくつろぐ体勢に入っている


メフィはリビングのソファに座りテレビをつけ邪薙は先日ホームセンターで買ってきた神棚の中に入っていく


この神棚、邪薙がどうしてもということで取り付けたのだが、どうやら神様の家とは本来こういうものらしくそこにお供えなどをして信仰を集めるらしい


今はコンビニで買ったチーズケーキが置いてあり、供えられた時邪薙は満足そうにしていた


日本名の神様なら餡子でも食べてろといいたいところだが邪薙曰く個人?の好みはそれぞれらしい


洋菓子の好きな日本の神様がいたって何ら不思議はないだろうとのこと


なんだか納得いかないがそういうことにしておこう


いちいちそんなことを不思議がっていたら精神が摩耗していつか廃人になってしまう


奇妙な同居人に囲まれるのはすでに諦めた、普通の生活ももはや過去の話


静希の日常は悪魔と神様に囲まれて過ぎていく


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