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J/53  作者: 池金啓太
一話 「引き出し」
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四月の風景

原則として能力を使った戦闘などを行わせる予定です

負傷などはさせます


死者は必要あれば出します


タイトルの読み方は『五十三分のジョーカー』です


お楽しみいただければ幸いです

引き出しと言われて何を頭に思い浮かべるだろうか


机、タンス、クローゼットから書類入れまで、たいていは収納に対する家具を頭に浮かべるだろう


『引き出し』それが五十嵐静希(いがらししずき)のあだ名だった

能力と呼ばれる存在がこの世界に認知されてから千年近く、自分達の知る科学とは違う特殊な法則にのっとって発動する摩訶不思議な力を人々は過去魔術と呼んだ


そして法則が確立、理解されるや否や人々は魔術を能力と呼んだ


五十嵐静希は能力者である


能力者は自分の精神力と呼ばれるエネルギーを操り体外、万物に存在する魔素と呼ばれる物を用いて能力を使用する


能力者になれるかは完全なる運否天賦、両親が無能力者でも能力者になることもあるしその逆、両親が能力者でも子が無能力者となる可能性もある


「静希、おはよ」


「おう、陽太」


重ねて言おう、五十嵐静希は能力者である


そして目の前にいるこの少年、茶色い髪に静希より高い身長、響陽太(ひびきようた)も能力者である


ちなみに静希は黒髪、身長で負けた時は本気で牛乳をもっと飲めば良かったと後悔したことがある


二人は今これから通う学園に向かって登校中


季節は春、これから入学式と始業式が行われる


「クラス分け、どうなると思う?」


「俺らは気にするだけ無駄だろ、つかお前と離れられる気がしない」

陽太と静希は昔からの付き合いでクラスが一度として違えたことはない、もう一種の呪いでもかけられているのではないかと思うほどに


桜が満開に頭上を彩る中、校門前にたどり着いて再確認する、今日から高校生なのだと


とはいっても二人にとってこの道もこの校舎も特に目新しいところはない


喜吉学園、全国に点在する能力者専用の学校の一つである


小中高までの一貫校、小学校に入学さえすれば高校までほぼ強制的に通うことが決定する


能力者は専門の学校で一般教養のほかに保持した能力の特性と使用法や制御法、利用法などを学ぶ


「よし賭けるか、俺とお前が別のクラスかどうか」


「昼飯一回分ってところか?俺は願いも込めて別クラスに賭ける」


「よしなら俺は一緒のクラスに賭ける、もう離さないぜ静希!」


「離れろ暑苦しい」


気持ち悪い上に暑苦しい、最悪のダブルパンチにもほどがある

抱きついた状態で歩こうとしない陽太を半分引きずりながら俺は中庭に張り出されているクラス分けの発表を眺める


結果は敗北、静希と陽太はものの見事に同じクラスだった


「よっしゃ、さすが教員はわかってる、俺とお前のコンビを解消させられるわけがないのだ」


「ちくしょうこの暑苦しいのから離れる術はないのかよ」


通算十年以上の付き合いが確定した瞬間、俺達の後ろから小さな影がふらふらと近づいてくる


「静希君、陽太君、またいっしょだね」

「おぉ、明利、まさかお前も一緒か、小学校から続くともはや偶然通り越して何かの加護がついているとしか思えないな」


「俺的には何かの呪いではないかと疑っていたんだがな」


「ふふ、またよろしくね」


この小柄な少女は幹原明利(みきはらめいり)、この喜吉学園小等部からの付き合いのこれまた腐れ縁


小さく細くしかも臆病、まさに「儚い」を絵にかいたような少女である


最初はその臆病っぷりからまともに話すこともままならなかったくらいだ


「さぁ静希、賭けは俺の勝ちだ、出すもん出してもらおうか?」


「ちくしょう、今度捲きあげてやる」


静希は懐から一枚のトランプを取り出す


ダイヤの3、短い集中の後にトランプから回転しながら財布が飛び出してくる


これが静希の能力、あだ名が引き出したる所以である


「ワンコインでいいぞ?購買で豪華に使わせてもらう」


「この野郎、いつか覚えてろよ」

500円を陽太に渡した後、財布をダイヤの3のカードに向けて落とすと財布は跡形もなく消えうせる


収納


数ある種類のうち、物質を異空間に保存できる能力、それが静希の能力だった

もっとも非常に便利なのだが静希は落ちこぼれと呼ばれる部類に位置しており、入れておける質量が異常に少ない


500グラム、1枚のカードに対して入れられる限界がたったの500グラム


硬貨が増えれば財布だって入れておけない


そして静希が所有する入れ物、それがトランプ


ジョーカーを含んだ五十三枚それぞれに五百グラム入れられる


全部合わせても二十六・五キログラムしか入れておけない


ちなみに世の収納系能力者の平均は約五百キロ、十分の一にすら届かない程の劣等性


これでも頑張って増やしてきたのだ、能力に気付いた当初、カード一枚に入れておけるのはたった五十グラムだった、コツコツと努力を重ねて一枚五百グラムにまで増やしてきたのだ


昔はポケットだの筆箱だの言われたものだが、引き出しまで昇格できたのだ


この努力、報われたというべきか否か


「静希君、陽太君、そろそろ教室に」


「あぁ、そうだな、いくぞ穀潰し」


「ひっで!賭けに負けるのが悪いんだろ!」


五十嵐静希、響陽太、幹原明利の三人はこれから一年過ごすことになる一年B組に移動する


小学校から続いて進学していった俺らにとってクラスの中の大半以上が知り合いだった


同じクラスになったことのある人間もいれば、ある程度学年に名前が轟いている人間もいる


三人がクラスに入ると、見知った顔ばかり、なんというか新鮮味のない新学期だ


「さすがに知ってる顔ばっかだな、新入生いないのかよ」


「高校生になるまで能力に気付けないような間抜けなんてそうそういないだろ」


能力は自分で気づく以外にも診断などで知ることだってできる、俗に能力値と呼ばれる数値が無能力者より高ければ能力者である可能性が非常に高い、あとは何の能力であるかわかればいいだけ、もっともそこまでが意外と長いのだが


クラスの中である程度グループが形成され、会話が続けられる中、ある生徒が教室内に入ってくる

初投稿なので拙いところ、そして矛盾など生じるかもわかりませんが、どうぞご容赦ください

前書きにも書きましたがお楽しみいただければ幸いです

感想などを頂ければ非常にうれしく思います

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