表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
85/118

パート5:魂を繋ぐ真意

スタジオの扉が静かに開く。

夕陽がガラス窓を染め、機材の間に柔らかな光を落とす。

リンとミズキが並んで戻ってくる。

リンはデニムのジャケットと黒のスキニージーンズ、緑の髪が少し乱れている。

ミズキはTシャツとフレアスカート、ピンクと黒のツインテールが夕陽に揺れる。

アオイがソファから立ち上がり、一歩踏み出す。

カノンはテーブルに置いたノートを握り、ネイビーのシャツの袖をまくる。

ユイは床から跳ね起き笑顔を見せる。

ヒナは窓辺から振り返りレーナーとスカートで手を振る。

奏は部屋の中央に立ち二人を迎える。

沙羅がブースから出てくる。

カジュアルなシャツとパンツで、静かに微笑む。

「リン、ミズキ、戻ってきたね。」

霧島玲がその後ろに立つ。

白のシャツと黒のパンツ、普段の冷静な佇まいが、今日は慈愛に満ちた表情に変わる。

「リン、ミズキ、アオイ、カノン、ユイ、ヒナ。話したいことがある。座って、聞いてくれるか?」

メンバーが集まり、床やソファに座る。

リンとミズキは並んで壁にもたれ、互いの肩が触れる。

玲が深呼吸し、目を閉じる。

開いた瞳は、優しく、温かい。

「まず、ありがとう。ネクターヴォウの音楽は、魂そのものだ。

リンのビート、ミズキのグルーヴ、アオイの歌声、カノンの歌詞、ユイのメロディー、ヒナの笑顔、奏のピアノ…全部、私の心を震わせる。」

リンが顔を上げる。

「玲さん、でも、なんで私のドラムを変えようとした?私のビート、否定された気がした。」

玲が微笑む。

「リン、ごめん。否定したかったんじゃない。君たちの魂を、もっと遠くに届けたかったんだ。」

彼女の声が、静かに響く。

「昔、私もバンドをやってた。クリムゾンヴェールって名前だった。魂をぶつけて、ステージで燃えた。毎晩、仲間と音を重ねて、夢を追いかけた。

でも、売れなかった。情熱だけじゃ、誰も聞いてくれなかった。

レーベルとの契約も打ち切られ、認知も広がらず、仲間が離れていった。

音楽が、灰になった。あの痛み、胸に刻まれてる。」 ミズキが息を呑む。

「…そんな過去、知らなかった。」

玲が頷く。

「話したくなかった。辛すぎて、目を背けたかった。でも、ネクターヴォウを見て、思い出した。あの頃の自分たちを。

リンの力強いビート、ミズキのグルーヴィーなベース、アオイの情感豊かな歌、カノンの詩的な歌詞、ユイのキャッチーなメロディー、ヒナの純粋な笑顔、奏の繊細なピアノ…君たちの音楽は、奇跡だよ。」

アオイが目を潤ませる。

「玲さん…。」


玲が続ける。

「でも、音楽の世界で生きていくには、奇跡だけじゃ足りない。現実的な数字が必要だ。

レーベルとの契約、チャートの順位、ライブの動員数…そういう数字が、バンドを生き残らせる。

認知が広がらないと、魂は誰にも届かない。

クリムゾンヴェールは、それで終わった。

リン、ミズキ、アオイ、カノン、ユイ、ヒナ、君たちは音楽の世界に踏み込んだ。覚悟したよね?

魂を届けるのは、簡単じゃない。だから、厳しく指導した。

テンポの精度、ポップさ、売れる音…魂を削るつもりじゃなかった。君たちの魂を、世界に届けるためだった。」

カノンがノートを握りしめる。

「玲さん、私の歌詞、詩的すぎるって言われた。でも、リンのビート、ミズキのベースに合わせて書いた。魂を、言葉にしたかったんだ。」

玲がカノンを見つめる。

「カノン、君の歌詞は心を刺す。ポップにと言ったのは、もっと多くの人に届くようにしたかっただけ。君の言葉、魂そのものだよ。」

ユイが膝を握る。

「玲さん、私のメロディー、リンちゃんのビート、ミズキちゃんのグルーヴと響き合うように作った。売れるためだけなら、作れない…。」

玲が微笑む。


玲が微笑む。

「ユイ、君のメロディーは光だ。

魂を削るつもりなんてなかった。君の光を、もっと多くの人に届けたかった。」

ヒナが手を握る。

「玲さん、リン姉さんのドラム、ミズキ姉さんのベース、私の笑顔、全部繋がってます。壊さないでください…。」

玲がヒナに近づく。

「ヒナ、君の笑顔はネクターヴォウの宝だ。壊すなんて、絶対しない。君たちの魂を守りながら、届けたいんだ。」

アオイが涙を拭う。

「玲さん…私、怖かった。前のグループ、バラバラになった。

でも、わかるよ。魂を届けるために、戦ってくれてたんだね。」

リンが目を潤ませる。

「玲さん、私も、怖かった。前のバンド、魂を否定されて壊れた。ネクターヴォウも、そうなるんじゃないかって。」

ミズキがリンの肩に手を置く。

「私も。前のバンド、仲間が離れる音、忘れられない。でも、玲さん、信じていい?」

玲が二人に近づく。

「リン、ミズキ、信じて。君たちの魂、否定しない。君たちの炎は、絶対に灰にならない。『灰の果ての光』は、君たちの魂そのものだ。私は、クリムゾンヴェールの灰を、君たちの光で乗り越えたい。ネクターヴォウは、私の夢なんだ。」

カノンが頷く。

「玲さん、私の歌詞、リンのビートに合わせて、もっと鋭くする。魂、届けるよ。」

ユイが笑顔を見せる。

「玲さん、私のメロディー、みんなと響き合うよ。リンちゃん、ミズキちゃん、一緒に!」

ヒナが手を振る。

「玲さん、ありがとうございます!リン姉さん、ミズキ姉さん、ステージでまた笑いましょう!」

アオイが深呼吸する。

「玲さん、信じる。私の歌、魂のまま届けるよ。」 メンバーの目が、涙で輝く。

玲の優しい言葉に、誰もが頷く。

「灰の果ての光」のメロディーが、スタジオに静かに響き始める。

ネクターヴォウの絆は、玲の真意を受け入れ、新たな炎を灯す。


挿絵(By みてみん)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ