パート2:真意の影
スタジオのブースに、沙羅と玲が向き合う。
夕陽が窓から差し込み、機材の影を長く伸ばす。
沙羅が椅子に座り、カジュアルなシャツとパンツで髪をかき上げる。
「玲、リンのビート、なぜそんなに変えたい?
あの子の魂、聞こえてるよね?」
玲が窓辺に立つ。
白のシャツと黒のパンツ、冷静な声で答える。
「沙羅さん、聞こえてる。リンのビート、ミズキのグルーヴ、アオイの歌、カノンの歌詞、ユイのメロディー、ヒナの笑顔…全部、ネクターヴォウの魂だ。」
沙羅が目を細める。
「なら、なぜ?魂を削るような指導、してるよね?」
玲が息を吐く。
「沙羅さん、私の昔のバンド、クリムゾンヴェールは魂だけで戦って、灰になった。ネクターヴォウをそうしたくない。
売れなきゃ、魂は誰にも届かない。バンドの未来のため、まず成功しなきゃいけない。」
沙羅がテーブルを叩く。
「未来?リンを追い詰めて、ミズキを動揺させて?それが未来?」
玲が振り返る。
「リンには、魂を磨いてほしい。ミズキのグルーヴも、アオイの歌も、もっと遠くに届ける。そのためには、精度が必要だ。沙羅さん、信じてくれ。」
沙羅が立ち上がる。
「…分かった。玲、任せるよ。でも、リンたちの魂、絶対守って。」
玲が頷く。
「約束する。沙羅さん、ネクターヴォウを世界に届けるよ。」
沙羅がドアに向かう。
「奏にも話す。リンとミズキ、戻ってくるよ。」
ブースに静寂が戻る。
「灰の果ての光」の断片が、機材の間でかすかに響く。




