パート4-1:黒い翼の覚醒 霧島玲
霧島玲、32歳。StarVibe Recordsのメジャープロデューサーとして、NectarVowの魂を鍛えるために送り込まれた。元ハードロックバンド「Crimson Veil」のボーカリストとして、Jロックの魂をステージで吠えた過去を持つ。
漆黒のロングヘアに深紅のヘアピン、アンバーの瞳が鋭く光り、黒のテーラードジャケットとレザーパンツが彼女の威厳を際立たせる。
背中の翼のタトゥーは、『Eternal Wings』の闇の翼の騎士への愛を物語る。
奏に代わり、NectarVowをメジャーの光へ導く使命を担う彼女は、優しい口調の裏に完璧主義の厳しさを秘める。
アオイとカノンの重圧を把握し、ヒナにはあえて厳しく、リンとミヅキには現状を超越するパフォーマンスを求める。
夜10時半。東京のスタジオは、張り詰めた空気で震えている。
リハーサルルームの壁には『Eternal Wings』のポスターが貼られ、暁の祭壇や闇の翼の騎士が薄暗い照明に浮かぶ。
スピーカーからは新曲『黒い翼を広げて飛べ(仮)』デモの音が響き、床に散らばるケーブルが緊張感を増幅する。
奏は部屋の隅に立ち、メンバーを温かく見守る。
NectarVowの事務所社長として、彼女はバンドの心を繋ぐ。
沙羅は壁に寄りかかり、黒いロングコートの裾を揺らし、深紅のスカーフが光を反射する。
マネージャーとして、メンバーの状態を鋭く観察する。
スタジオの中心に立つ霧島玲は、深紅のイヤホンを手に持ち、アンバーの瞳でメンバーを見据える。
NectarVowのメンバーは、楽器を手に追い込みリハーサルを終えたばかり。
アオイとカノンの顔には重圧の影、ヒナは不安げにギターを握り、ユイ、リン、ミヅキは疲れを隠せない。
メジャーデビュー当日の『Eternal Wings』イベントを前に、玲の厳しい指導が火を噴く。
「みんな、さっきのリハ、悪くなかったよ。
でも、悪くないだけじゃダメ。」
霧島玲が柔らかく微笑むが、声に鋭い刃が宿る。
「アオイ、君のボーカル、闇の翼の騎士の魂に近い。でも、重圧で声が縮こまってる。
4000万人のプレイヤーが見る舞台で、縮こまった声じゃ誰も掴めないよ。
もっと自分を曝け出して、魂を全部ぶつけて。」
アオイがマイクを握り、肩を震わせる。
玲の優しい口調に、彼女の目が一瞬怯むが、すぐに決意が宿る。
「カノン、君のギター、鋭さはあるけど、冷えた石の迷宮の絶望を切り裂けてない。
プレッシャーで心が縮んでるのは分かる。でも、限界を超えないと、明日の舞台じゃ埋もれるよ。
もっと深く、闇を抉る音を出して。」
カノンがギターのネックを強く握り、唇を噛む。
玲の言葉に、彼女の瞳が燃え上がる。
「ヒナ、君のコード、ピュアで美しいよ。でも、それだけじゃ足りない。」
玲の声が厳しくなる。
「もっと自分を削れ。暁の祭壇の光をコードに乗せるなら、魂を全部投げ出して。
NectarVowの心臓は君だ。甘い音で逃げるな。深く、もっと深く突き進め。」ヒナがアコースティックギターを握り、目を潤ませる。
厳しい言葉に震えつつ、指が弦に食い込む。
「ユイ、キーボードのアルペジオ、繊細だけど弱い。闇と光を繋ぐ音、君にしか出せないんだ。
もっと存在感を、もっと強く打ち出して。」
ユイがキーボードに手を置き、静かに頷く。
「リン、ミヅキ、君たちのドラムとベースはNectarVowの骨格だ。
でも、今のままじゃ平凡。
リン、ビートに爆発力が足りない。
ステージを揺らす、もっと強い鼓動を叩き出して。
ミヅキ、ベースのうねりはいいけど、もっと大胆に低音で支配しろ。
現状じゃ物足りない。
君たちなら、もっと高く飛べるよ。」
リンがドラムスティックを握り直し、ミヅキがベースの弦を強く弾く。
スタジオの空気が燃え上がる。
アオイがマイクを握り直し、カノンがギターを構え、ヒナがコードを力強く弾き始める。
ユイのキーボード、リンのドラム、ミヅキのベースが一つの鼓動となり、『黒い翼を広げて飛べ』のメロディが轟く。
霧島玲の優しくも厳しい指導とデビューのプレッシャーの中、NectarVowの光は、黒い翼を広げ、力強く羽ばたき始めていた。




