パート1:奏の個人事務所での契約
渋谷の雑居ビル最上階、
奏の個人事務所は黒と深紅の蜂モチーフで彩られ、
NectarVowのエモーショナルなロック魂を映し出していた。
朝陽が差し込む中、
アオイが メンバーを温かく見つめた。
「みんな、今日からNectarVowは本気だよ!
インディーズデビュー、掴み取るぜ!」
奏が デスクから契約書を取り出し、メンバーに手渡した。
「これで正式に私の事務所と契約だよ。
ユイちゃん、ヒナちゃん、準備できてる?」
ユイが目を潤ませ、
「奏さん…私たちの夢、始まるんだね。」
カノンは 拳を突き上げ、
「よっしゃ!誰に負けない音出すぜ!」
リナへの言及は控え、秘めた恋愛は隠したままだった。
ヒナは 俯き、
「リン姉さん…私、ちゃんとやれるかな…」
リンが 母性的にヒナの肩を抱いた。
「ヒナ、ママがいるから絶対大丈夫よ。」
ミヅキが笑い、
「沙羅ママのマネジメント、ガチ最強だから!」
沙羅は クールに一瞥。
「ミヅキ、調子に乗んなよ。」
と、冗談で場が和む。
契約書にサインが揃い、
事務所は「NectarVow!」の掛け声で沸いた。
その夕方、
沙羅はヒナの両親宅を訪れた。
東京郊外の静かな住宅街、
ヒナの家は小さな庭付きの一軒家だった。
黒いスーツに身を包んだ沙羅は、
凛とした雰囲気で丁寧に頭を下げた。
「私、NectarVowのマネージャー、沙羅です。
お父様、お母様、
ヒナちゃんのバンド活動を続けさせてください。
NectarVowは彼女の居場所です。」
ヒナの母親は疲れた表情で応じた。
「沙羅さん、ヒナがバンドで楽しそうなのは嬉しいんです。
でも…最近、高校での虐めがひどくて…。」
父親が言葉を継いだ。
「学校は何もしてくれないんです。
ヒナ、登校するのも辛そうで…
バンドを辞めさせた方がいいのかと。」
沙羅の瞳が一瞬、元ヤンの鋭さで光った。
だが、すぐに穏やかな笑みを浮かべ、
「ご安心ください、お父様、お母様。
私がなんとかします。」
その声は優しく、
しかし揺るぎない決意に満ちていた。
両親は沙羅の言葉に安心し、
活動の承諾を改めてくれた。
ヒナの家を出た沙羅は、
夜の住宅街の街灯の下で立ち止まった。
黒いスーツが夜風に映え、
元ヤンの気迫とヒナを守る母性が滲み出ていた。
「ヒナをこんな目に遭わせるやつ…
俺が許さねえ。」
沙羅はスマホを取り出し、
どこかに電話をかけた。
「おい、久しぶりだな。
うちのメンバーの学校で問題があってよ。
お前、ちょっと手を貸してくんねぇか?」
相手の返事を聞くと沙羅は小さく頷いた。
「ありがとう。
明日、校門で会おう。
時間厳守な。」
電話を切り、
沙羅は夜の闇に鋭い視線を投げた。
彼女の行動はNectarVowのメンバーには内緒だった。
翌朝、
沙羅はヒナの高校の校門に立っていた。
黒いスーツが朝日を浴び凛とした姿で、ある生徒を待つ。
彼女の瞳には元ヤンキーグループのリーダーだった厳しさと、ヒナを守る母性が交錯していた。




