パート4:マイノリティの壁を壊して
Summer Rock Fest 2025が2日後に迫る。
カノンはスマホを手に、リナにLINEを送る。
「リナ、フェス前に一緒に練習しない?私の部屋で、曲聴きながら!」
リナの返信は即座。
「カノン、いいよ。行く。」
カノンの部屋、狭いワンルームにアンプとギターが並ぶ。ゴスロリの蜂モチーフのピックが机に、壁にはNectarVowのポスター。リナはレザージャケット、チェーンがカチャリと鳴る。二人だけで向き合うのは「Revenge Night」の楽屋以来。
カノンがギターを手に微笑む。
「リナ、Unnamed Bandの新曲、聴かせてよ!」
リナがギターを構える。
「カノン、じゃあ…『Break the Dawn』のリフ、聴いて。」
リナが弾く。ハードロックの鋭いリフが部屋を震わせる。カノンは目を輝かせるが、どこかぎこちない。
「リナ、めっちゃカッコいい!じゃあ、私も…『Next Page』のリフ!」
カノンが「Next Page」のリフを弾く。ゴスロリの妖艶さとエモい旋律が響く。だが、バチバチのギターバトルだった「Revenge Night」とは違い、空気が柔らかく、緊張が漂う。リナの心には、あの夜のドキドキが蘇る。
(カノンは…私を受け入れてくれるかな?)
リナは女性同士の恋に不安を抱く。
だが、その想いは口に出せず、弦に込める。
二人は交互にリフを弾き合う。
カノンのオレンジヘアが揺れ、リナのレザーが光る。
だが、会話は途切れがち、目が合うたび胸が高鳴る。
カノンがふと手を止め、「Next Page」のリフを再び弾き始める。
*「涙がこぼれる音 ちゃんと聞いた
覚えていることも 意味がある」*
突然、カノンの目から涙がこぼれる。弦の音が震え、部屋が静まる。
リナがギターを置き、心配そうに近づく。
「カノン、どうしたの?大丈夫?」
カノンが顔を上げ、涙声で告白する。
「リナ、あなたが好きなの。
わかってる、女の私からコクられても
気持ち悪いよね。ごめん。」
リナの心が揺れる。不安だったカノンへの想いが爆発する。
「カノン、私も…
あの日からあなたが忘れられない。
私もカノン、あなたが好き!」
カノンの目が驚きで広がる。リナの言葉に、マイノリティの壁が崩れる。カノンがリナの手を握り、そっと抱き締める。
「リナ…本当に?」
リナがカノンの首に腕を回し、引き寄せる。
「カノン、本当だよ。」
二人の唇が触れ合う。柔らかく、熱いキス。カノンのオレンジヘアがリナの頬をくすぐり、リナのレザーの匂いがカノンを包む。「Revenge Night」のライバル心が、深い愛に変わる瞬間。
カノンがリナの手を引き、ベッドへ。ゴスロリとハードロック、異なる魂が重なり合う。カノンの指がリナの背をなぞり、リナの手がカノンの髪を絡める。
「リナ、こんな気持ち…初めて。」
カノンの囁きに、リナが微笑む。
「カノン、私も。」
部屋に響くのは、ギターの残響と二人の吐息。
マイノリティの壁を壊し、二人は互いを求め合う。カノンの柔らかい肌、リナの強い腕、互いの鼓動が一つになる。
フェスを前に、二人の絆は新たな朝を迎える。
夜、カノンがリナの肩に頭を預ける。
「リナ、フェス…一緒に輝こう。」
リナがカノンの手を握る。
「カノン、絶対だよ。」
窓の外、#SummerRockFestのX投稿が流れる。
「NectarVowとUnnamed Band、フェスで激突!」
ファンは知らない。
二人の心が、一つになったことを。




