結成! 独立遊撃部隊J
今回主人公たちの容姿がようやく判明します
──彼岸より此方へ来たり、此方から彼方へと至ることを願う──
父の境遇と母の名前がコナタであることから、この言葉遊びの意味を今なら理解することは出来る。
出来るが、その言葉遊びで自分の名前がつけられたとなると、なんとも名状しがたい感情が湧いて来るのはなぜなのだろうか? とはいえ、なんとなく名前の響きが良かったから……とか言われるよりはマシなのだろう。ともかく──自分の前にいる二名に対して、自己紹介を兼ねてその言葉を告げる。
「現時刻をもって、独立遊撃部隊Jの副司令官の任を拝命しました、カナタ・シキシマです。よろしくお願いします。ああ、先に言っておきますが、敬語や敬称はいりません。お二人の方が年上ですし」
これは、独立遊撃部隊Jが本日現時刻をもって人類統合連合により設立されたのと、同時のことである。なお、司令官は彼の父であるライ・シキシマであるが、彼は研究者として活動しており軍事関連の知識はさほど有していない。ゆえに実質的な司令官を務めるのは、副司令であるカナタ・シキシマとなる。
その独立遊撃部隊Jの実働部隊となる、男女の計二名に対して目を向ける。まずは男性──
「アルベルト・インパートさん」
くすんだ金髪、ブラウンに近い色合いだが光を浴びるとかすかに輝いて見える。目は碧玉のように澄んだ翠の色で、彼の真っ直ぐで謀略を好まない性分を象徴しているように見える。肌は白いがそれより血色の良さが目立つ。意図的に筋肉量を調整しているためだろう、均整のとれた筋肉質の身体だ。現在22歳
ストラティマキナの操縦者としての経験、なにより人類統合連合の現行主力機である、人型機動兵器ストラティマキナ──SM-08 ノトス──での集団戦闘と小隊指揮の経験が豊富な人物で、身長は183cm。人より細身な自分と比べれば、大分大柄な人物である。
続いて、隣に立っている女性に目を向ける。
「ブレンダ・ファルメールさん」
こちらは、わずかな星明かりの下でも輝きが見えるのではないかと思うほどの、輝きと艶のある金髪。それを動きやすいように、肩に届く程度で整えている。目は晴れやかな空を思わせる青い瞳で、彼女の純粋さを象徴しているように感じられる。年齢は19歳。
正直な話、ストラティマキナSM-08ノトスでの操縦歴は浅く、実戦経験は若さもあってアルベルトと比べると流石に不足していると言わざるをえない。ただ、短時間の実戦経験でそれなりの実績を出していることから、今回の人事ではその操縦センスの高さと今後の伸び代がかわれた。
身長は172cmで自分と大した違いはない。自分の方が若干低いが。全体的にスレンダーで、人型機動兵器のパイロットには向いた体型である。
「そして僕の三名が、独立遊撃部隊Jの実働部隊を努めます……何か?」
その言葉は、自分の姿を見てただ戸惑いながらも異論は吐くまいとしている様子のブレンダではなく、明らかに不審感を顔に出しているアルベルトに向けた言葉だった。
「……いや」
「特に何もないようには見えませんが? ……やはり、今ここでいっておいた方がいいみたいですね。僕は人型機動兵器同士で連携する戦闘の実戦経験はありませんので――」
「いや、ちょっと待って」
うん……? カナタは疑問符を浮かべる。てっきり、カナタが実戦経験もなしに人型機動兵器の小隊指揮を担おうとしていることに対して、反発していると感じての発言の最中だったのだが……なにか違うことで不信を感じていたのだろうか。
「連携しての実戦経験がない……まるで単独なら人型機動兵器での実戦経験があるかのような発言だが?」
「ありますよ? それがなにか?」
その自分の答えに対して、ブレンダは困惑がさらに増したかのような表情になり、アルベルトにいたっては片手で顔を多いながら、天を仰ぐような仕草をしている。なにやら呆れられているようだが、一体なにが原因なのだろうか? カナタは自分の発言を振り返ったが、自分では特におかしな発言をしたとは思えなかったのだった……
主人公であるカナタ・シキシマの容姿
後のアルベルト・インパートに言わせれば、髪は宵闇の如く人を惑わせ、愉しむ腹黒さを凝縮した夜の帳の如く。
黒い瞳は謀略と知略を混ぜ合わせた癖に、濁りがないかのように艷やかな漆黒で。
体躯は168cmのやや小柄で細身で、人を油断させるために計算されたかのような代物……らしい
非常に端正かつ中性的な顔立ちと髪型、その体躯が合わさって一見すると害のない存在のように見えるが、実際には下手な小悪党よりよほどタチが悪いと評されている。
とても仲間にするような容姿の評価ではないが、まあ残当