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其は昏く邪悪なる樹 前編

リュドウ君には悪いが、カマセになってもらう

「とりあえず、その機体の概要と作戦地点への合流を願う」

「了解しました」

 アルベルトは最初こそ驚いていたが、その後は冷静にやるべきことを進めていた。XSTK-28という予期せぬ機体の乱入はあるが、やることに変わりがあるのかと言われれば、ないのだから。

「この機体は、そのYSTK-29のテストベッドと思ってください。Xナンバーなのはそのためです……もっとも、人類統合連合にはXSTK-28を量産化してくれといわれましたが、到底不可能でした。そのため、機能簡略化と洗練を行ったYSTK-29の方を、量産モデルとして提出しました」

 アルベルトは眉をひそめる。Xナンバーなのはテストベッドだから……というのは理解出来る。テストベッドとは、実環境で動作を確認すべく造られた実証試験機のことだからだ。だが、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()とはどういう意味だ? 単にクオリティの問題かもしれないが、それならどうしてカナタがコウガがある状況下で、あえてXSTK-28を持ち出す?

「……簡単に説明しますが、この機体はその機体にはない実験的なハードポイントによる換装機構や、高出力の武装試験などを行うために、動力源やフレームの構造が肥大化、複雑化しているんです。単純な性能ならYSTK-29に勝る面もありますが、量産化には到底向いていませんよ」

 そうして送られてきた機体のデータを見て、ある意味で納得しある意味で呆れ返る。確かに重量がかさんでいるためか、高推力でカバーすることで機動性こそ優れているが、運動性や瞬発力には若干難がある。小回りがきかない。だが、それを加味しても出力が異常だった。

(余剰出力だけで、コウガの三倍は優に超えているだと……ストラティマキナとはもはや比べるべくもない数値だ。機動性が高いのは、この馬鹿出力のおかげか)

 とはいえ出力に対する重量比はともかく、重量の増加で機体の小回りが犠牲になっている。そもそもカナタはあっさり乗りこなしているが、重量を高推力で強引に振り回す必要がある機体は、総じて操作性があまり良くはない。

 量産化するとなると、操作性や整備性なども考慮される。それを考えれば性能が高いというだけで、そのまま量産化するわけにはいくまい。

「とはいえ、出力だけは高いですから。なにかが出てきても、これとこの武器なら対処可能だと思いますよ」

「……そうか」

 アルベルトも思っていたが、やはり自分たちを見捨てるために、裏でコソコソしていたわけではないようだ。しかし、カナタが持ってきたビームバズーカとかいう代物が、データを見ただけでめまいがするような代物なのだが……

「それで、こちらから提案があります」

「なんだ?」

「高台に登るのはそちらの二機で、こちらはここ、この場所から障害物ごと目標を消し炭にしてはどうでしょう? おそらく、相手も混乱すると思いますが」

「……君のいいたいことは分かる……確かに、そのビームバズーカなら障害物ごと攻撃出来るだろう。だが狙えるのか?」

 カナタが指定したポイントは、かなりリュドウまで距離がある。当てられるだけでも、かなり優秀なパイロットになるが……

「大丈夫でしょう、スポッターもいますし」

「あたしのこと? いやまあ電子戦装備だから、それは出来るけど」

 当たらなくても、明らかに二手から攻撃されれば、それで敵は混乱するでしょう? そういわれて、アルベルトも断るのを止めた。確かに、このスペック通りの性能なら、当たらなくても確実に相手は混乱する。

「採用しよう。どのみち、合流を待つと時間ギリギリになるかもしれん。配置としても、そちらの方が理があるだろう。では、予定を変更する。各自配置につけ!」

『了解!』

 かくして、リュドウとの戦いは開始されるのだった。


「攻撃開始!」

 リュドウが目視可能な距離まで近づいたときに、アルベルトは攻撃開始の合図を出した。カナタには、デカい犬のような姿は、障害物があるのもあって見えていない。だが、電子戦装備の機体からのデータを解析すれば、座標を合わせて攻撃は出来る。

 クウシキの右膝を素早く曲げさせて、地面に設置させる。砲戦向けの膝立ちの状態。リュドウの動きに合わせて微妙に射線変更をしたかったので、今まで膝立ちはさせていなかったのだ。そこから、右腕に抱えたビームバズーカ290型を撃つ。

「多分()()()ですから、消耗は避けたいので」

 その言葉と共に、一筋の光が迸る。それは地面をえぐり、障害物をうがちてリュドウの元に迫った。それを目視で観測することは、カナタには出来なかったが。

「敵一体に直撃、二体に損傷!」

 ブレンダはスポッターとして素早く一射目の軌道と戦果を伝えつつ、そのまま消耗したリュドウに追撃する。正直、雷が直進したらこうなるのではないか、と思えるようなすさまじい攻撃だった。余波だけで地面をえぐるような出力は、ノトスのビームライフルには当然ない。

 アルベルトもブレンダのコウガに追随して、コウガに装備させたノトスのビームライフルを発泡する。威力はともかく、やはり長く使われて微細な改良なども経た武器は、使い勝手がいい。

 事前に打ち合わせしていないが、アルベルトは攻撃を受けていない個体を、ブレンダは攻撃の影響で動きが鈍った個体を狙っていた。アルベルトの方が相手の抑えに回り、ブレンダが弱った個体を仕留める。技量を鑑みれば、これがベストだろう。

 コウガ・壱式の攻撃でリュドウが一体、コウガ・弐式の攻撃でリュドウが二体撃ち抜かれた。その攻撃を見て、ようやく最後のリュドウがこちらの罠に気付いた。そして、進路を変えて逃亡しようとする。

「距離があるな、高台から降りて──」

 武器の有効射程自体はまだまだ届く距離だが、回避と逃げに徹した相手へ的確に攻撃を当てるには、流石に距離がある。そう判断して機体を接近させようとしたときだった。

 もう一度、戦場を貫くような光の筋、というよりもはや光の竜巻のようなものが、リュドウを飲み込んでいく。位置から考えると、カナタの二射目だ。

(攻撃範囲を絞って、射程範囲と射撃精度を向上させられるとは書いてあったが、スペック通りの性能を発揮させて命中させる練度……機体の移動速度から推測はしていたが、技量だけならブレンダすら超えている……)

 アルベルトは密かに戦慄していたが、なにはともあれ、リュドウとの戦いはわりとあっけなく、終了となたのだった。


「意外と早く終わっ──」

「動体反応を検知! ……ウソ……ゴルイーガ!? 40m以上はある個体を、今までセンサー類が一切検知出来ていなかったっていうの?」

 しかし、カナタからすればこれは予想の範疇だった。もっとも、カナタ以外からすれば、センサーに今まで反応がなく、瞬間移動でもしてきたかのような相手だ。狼狽しない方がおかしいのだが。

「デストロイヤー級、ゴルイーガ……」


──というだけでは、ないのでしょうが。さて、なにが隠されているのやら──


ちなみに、三人の技量は、

 アルベルト>カナタ>ブレンダ

操縦センスは、

 ブレンダ≫カナタ>アルベルト(ただしカナタとアルベルトは大差なし)

マルチタスクの情報処理能力は、

 カナタ>ブレンダ>アルベルト(ただし、カナタとブレンダは大差なし)


総合すると、パイロットとしては

 アルベルト>カナタ>ブレンダ みたいな感じです

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