2話
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そこから先も、週に1度程度のペースで二人は顔を合わせた。昨日で3回目になるだろうか。回数を重ねるごとに会話の内容は弾んでいき、あと少しすれば自信をもって友人と呼べる関係性になるだろう。
しかし、時間は有限である。あと1週間もすれば彦星の怪我は全快し、元の星に戻れるとのことだ。このままでは織姫の望みである、友達を作るという目的を達成できないまま、二人は離れ離れになってしまう。
「突然ですみません。天の川まで牛車を出してもらってもいいですか? …それとアルタイルに面会希望も出してほしいです……」
「あらあら、織姫ちゃんからそういってくるってことは彦星くんのこと気に入ったのかな。だったらアルタイルにも連絡しておくから安心してね」
この機会を逃したくない。人生で初めて友達になれそうな人物と出会ったのだ。そう思うことは当然であろう。織姫は、世話人たちに無理を言って面会を取り付けてもらう。…もしかすると、相手が彦星でなかったらここまで強い感情を抱くことはなかったかもしれないが。
「ち、違いますよ!? 初めて会った同年代の子なので、最後にお友達になりたいだけです!」
「ふふっ、じゃあそういうことにしておくわ」
そこからの世話人の手際は鮮やかだった。段取りよくアルタイルとのコンタクトを取り、織姫の依頼からものの数時間で二人の面会が実施された。
「すみません、急に呼び出しちゃって…」
「いいよ。俺も星に帰る前に君と会いたいと思ってたからさ」
「そう言ってもらえると助かります。実は最後に伝えたいことがありまして…」
輝く星々に囲まれた天の川。その上で織姫は勇気を振り絞り、思いのたけを述べる。
「…私と友達になってほしいんです! 私の人生初の友達に!!」
普段よりひと回りもふた回りも大きい声に彦星は驚く。ただ、その問いに対し彼は