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第三十三話 お泊り会①

 翌日、朝ごはんを食べた華月ちゃんは着替えの入った荷物を持って一旦家から出ていった。


 駅で望月さん達と待ち合わせをしているらしい。


 改札から出てきていないのがバレると困るので早めに駅に行って待っておいたほうがいいという判断だ。


 待ち合わせの時間より三十分位は早く着く予定なので問題はないだろう。


 華月ちゃんが出て行ってから来客用の布団を干したり、片付けや掃除を行っていると電話が鳴った。


 見ると発信元は月菜さんとなっている。華月ちゃんからだ。


『もしもし、ゆーが君?』


 ゆーが君?


『……葉月です。今どういう状況か教えてもらっていいかな?』


「え? 葉月さん?」


 まさかこのタイミングで人格交代?


 ここ最近はずっと華月ちゃんだったので人格が変わるという事をあまり意識していなかった。


『ゆーが君? 聞こえてる?』


「あ、あぁ、ごめん」


 今日は俺の家にみんなで集まってお泊り会をする予定だという事を伝える。もしかすると俺の家に泊まるという事を葉月さんが嫌がるかと思ったが、そういう素振りもなかった。


 どうやら華月ちゃんが真吾達を待っている間にガラの悪い男二人にナンパされて、その際に怖くて奥に引っ込んだんじゃないかという事だった。葉月さんが出たときには声をかけられていたらしい。


 ナンパされるかもというのを完全に失念していた。あれだけの美少女なら声をかけられてもおかしくない。その辺りの危険性も含めて菜月さんは俺に任せてくれていたはずなのに期待に応えられなかった。


 ガラの悪い男だったという事で葉月さんが何かされていないか心配になったが、あしらうのは慣れているので大丈夫との事で安心した。


 もうすぐ待ち合わせの時間なので真吾たちと合流したら家に来ると言って電話が切られた。


 今朝、朝ごはんを一緒に食べているときに「今日は流石に一緒に寝れないからね」と言うと「やだやだ、一緒に寝る!!」と駄々をこねる華月ちゃんを思い出した。


 おにーちゃん、おにーちゃんと笑顔で呼ぶ華月ちゃんの顔が浮かぶ。


 少しの間だったが一緒に暮らして本当に妹のように思っていたのかもしれない。


 最初は早く月菜さんに戻らないかななんて事を思っていたのに現金なものだ。


 二度と会えないという訳でもないので、今度出てきたときにはいっぱい甘えさせてあげようと思い心を切り替える事にした。


 しばらくするとエントランスのインターホンが鳴った。


「お邪魔しまーす」


 真吾達がリビングに向かうのを見て葉月さんがこちらに寄ってきた。打ち合わせか何かだろうか。


「ぴょん太はどこですか? 連れてきてますよね? あ、それとあとで虎之介君とも遊ばせてくださいね!」


「あ、あぁ。ぴょん太は虎之介と一緒にできないからリビングにいるよ」


「了解です!」


 葉月さんはスリッパを履いたと思ったらすぐにバタバタとリビングに向かって走っていった。


 相変わらず葉月さんはブレないな。


 少し遅れてリビングに行くと葉月さんがケージからぴょん太を出して抱っこしていた。


 ぴょんた~と言いながらめちゃくちゃ撫でまわしている。


 その姿を見て真吾と望月さんが若干引いてる気がする。たしかに学校で見る月菜さんとは全く違うもんね……。


 それにしても俺はもちろん華月ちゃんでも大人しく抱っこできなかったぴょん太が抱っこされて大人しくしているのはすごい。華月ちゃんと葉月さんは外見は全く同じ人なのに何が違うのだろう。


「悠雅、お前うさぎまで飼い始めたのかよ、前に来たときにはいなかったよな」


「えーっと……。知り合いから少し預かってるんだよ」


 俺が知り合いから預かっているだけのうさぎの名前をなぜか知っていて、我が子のように可愛がっている葉月さん。


 冷静になってみるとこれはなかなか言い訳できない状況なんじゃないだろうか?


 恐る恐る真吾達を見てみたが、その辺りに関しては特に何も気にしていないようだった。


 多分葉月さんの異常な程のテンションの上がり具合のほうが気になるのだろう。


 その後、十五分くらいたっぷりとぴょん太を可愛がった葉月さんはようやく落ち着いたようで、ぴょん太をケージに入れた後、少しぬるくなったコーヒーを飲んでいた。


「うさぎが大好きなので少しはしゃいでしまいました」


 自分のテンションの上がり具合に少し反省したのか、葉月さんは申し訳なさそうに頭を搔いている。


「月菜ちゃんそんなにうさぎが好きだったんだねぇ、確かに可愛いもんね」


 ぴょん太を抱こうとしたがめちゃくちゃ暴れられて抱くことを諦めた望月さんが悲しそうにケージのぴょん太を眺めていた。


 「後で猫でも抱かせてもらおうぜ」と頭を撫でながら真吾が慰めている。


 とりあえず葉月さんとは一度話を合わせておいたほうがいいだろう。


 この二日間を無事に何事もなく乗り切る為には作戦会議をする時間が必要だ。


「葉月さんって料理できるんだっけ?」


「月菜ちゃんほどじゃないけどできるよ」


 真吾達に聞こえないように確認をすると、料理もできるという事だったので昼ご飯と夜ご飯は葉月さんに作ってもらう事にして、二人で買い出しに出かけ、その間に作戦会議をする事にした。 

いつも読んでいただきありがとうございます。


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幼馴染は陰キャがお好き?~ハイスペ男子の高校デビュー~

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お時間ありましたら読んでみてください。

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