第二十五話 危険地帯
リビングの扉が開き、風呂からあがった華月ちゃんがリビングに入ってくる。
銀色の長い髪の毛はまだ湿っており、顔はほんのり赤みがかっていて艶っぽい。
それだけならまだよかった。それだけなら。
問題は服装だ。
上半身は膨らんだ双丘がはっきりとわかるベストサイズの白いTシャツを身に付け、タオル生地のようなピンクのショートパンツからは白くて透き通るように美しい脚が伸びている。
「おにーちゃーん、出たよー」
肩にかけたバスタオルで髪の毛を撫でるように拭きながら俺が座っているソファの隣に腰を下ろす。
意識しないようにしていても視界の端にチラチラと胸の膨らみが映りこむ。
今ノーブラなんだよ……な。
リビングに入ってきたときのピタッと身体に張り付いたTシャツ姿が脳裏に浮かぶ。これは見たらダメな奴だと直感が告げたのですぐに視線を逸らし、その後は華月ちゃんをなるべく見ないようにしている。
「ドライヤー洗面所にあると思うよ」
髪の毛がまだ濡れているのでドライヤーがどこにあるかわからなかったのだろうと思い、冷蔵庫からお茶を出してコップに注いでいる華月ちゃんに場所を教えてあげた。
「えー。面倒くさいからこのままでいいよ」
「髪が痛むからちゃんと乾かしたほうがいいよ」
せっかくの綺麗な髪の毛なのにちゃんと手入れをしたほうがいいと思う。
「じゃあおにーちゃんが乾かしてよ」
まぁ髪の毛乾かすくらいならいっか。
「じゃあそこに座って」
「はーい」
女の子座りに座った華月ちゃんのうしろに座ってドライヤーで髪の毛を乾かしていく。
少し濡れて艶やかな髪の毛は吸い込まれてしまいそうな程美しかった。乾かしていくと指通りもよく、触っているだけでも気持ちがいい。
俺が使っているシャンプーを使っているはずなのにドライヤーの風に乗ってすごくいい匂いがする。
「髪の毛乾かしてもらうのって気持ちいいね」
髪の毛を綺麗に乾かすのには結構な時間がかかった。それにしても長い髪の毛って乾かすの大変だなぁ。髪の毛の長い女の子は毎日この作業をしているのか。
「じゃあ俺風呂入ってくるから」
「いってらっしゃーい」
湯舟に浸かり、女の子が俺の家に泊まるという状況を改めて考える。しかも泊まるにはあの超絶美少女である月菜さんだ。見た目だけだけど。
普通の高校生ならうっひょーと叫んでしまいそうな所ではあるが、俺は素直に喜べなかった。どう考えても不安しかない。
いきなり月菜さんに戻った際には家に連れ込んで何してるの? と今度こそ嫌われてしまいそうだし、今この状況で紫月さんが出てきてしまったときにはどうなるかわからない。
それにしてもこのままずっと華月ちゃんが出ていたらずっとここに泊まるのだろうか? 着替えも何日か泊まれるくらいの用意をしてきているみたいだし。
いろいろと考え事をしていたら結構な時間お湯に浸かっていたようで、のぼせそうになっていた。
風呂を出てリビングに戻ると華月ちゃんはソファの上で横になって眠っていた。
なんでドライヤーを抱きしめて寝てるんだ?
髪の毛を乾かしたかったのでドライヤーを救出する事に。起きないようにそーっとひっぱると手には力が入ってなかったようですぐに取る事ができたが、力の入っていなかった華月ちゃんの手が胸の上から横に落ちる。
目の前に飛び込んできたのは白いTシャツの膨らみだ。サイズが合っていないのか、元々こういうデザインなのかはわからないが、やたらとフィットしている為、胸の形がよくわかる。それだけならいいのだが先端の突起物の場所や形まで……。
これはまずいと思い、すぐに目を逸らしたが、脳裏にその光景が焼き付いてしまった。
そして目を逸らした先も危険地帯だった。
上半身とは違いダボっとしたショートパンツからは彫刻のように綺麗な白い脚が伸びている。今はかろうじて隠れているが、脚を動かせばショートパンツの隙間から中が見えてしまいそうである。
上は着けてなくても流石に下は履いているだろうが、見えてしまうといろいろとまずい。
このまま見ていると俺の我慢もできなくなりそうだったので、急いで部屋に毛布を取りに行き、華月さんにかけておいた。
相手は10歳の女の子……。相手は10歳の女の子……。
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