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有生サチ

 食欲、性欲、睡眠欲。全人類に……いや、全生物に共通する三大欲求。生物が生きる為に最低限備えていなければならない欲望。食事をしなければ生き物は死ぬ、睡眠を取らなくても生き物は死ぬ。セックスはしなくても死にはしないけれど、子孫を残せないという意味ではそれは死んだも同然だ。


『やばい……、出そう、かも』


 自分が生き、子を生かし、自分が死んだ後も血筋だけは絶やさない。


『いいよ』


『え?』


『出していいよ? 中に。プラス一万円で』


『……マジ?』


 それが生物の本来あるべき姿であり、これらのうちどれか一つでも放棄した生物を私は生物だとは認めない。だから子供を産めない私自身も、私は生物だとは思わない。


 これでも去年まではれっきとした生物だった。高校時代に一つ上の先輩と付き合って、東京の大学に進学した彼の後を追って私も上京。大学も就職先も同じ場所にはなれなかったけど、それでも交際は続いていた。東京の大学に受かって上京した時から「あー、私はきっとこの人と結婚する事になるんだろうなぁ」と、ずっと信じ続けていた。私が子宮頸がんにかかっていると発覚した一年前までは。


 子宮頸がん。その主な原因は、性交渉によるヒトパピローマウイルスの感染。まだれっきとした生物だった頃の私は彼以外の男性と体を交えた覚えはない。よって彼からウィルスを移された事は明白だった。


 ヒトパピローマウィルス自体はそんな珍しいものではなく、日本どころか世界中のどこにも存在する至って普通のウィルスだ。このウィルスの感染も珍しいものじゃなくて、風邪を引くのと同じくらいの頻度で誰もがみな感染する。とはいえその殆どは免疫力が打ち勝つ為に人体への影響は皆無らしい。このウィルスに免疫力が負ける事なんて本当に稀な事で、そしてそのハズレくじを引いてしまったのが他でもないこの私だったというわけだ。


 私の中に子宮はない。子宮頸がん根治の為に摘出したからだ。私は未来の子供の命と引き換えに自分の命を手に入れた。そして子供を産めなくなった私は、生物としての役割を放棄した。


『はい、もしもし』


 夕方の仕事が終わり、家へと向かう帰り道。私の携帯に着信が入る。勤め先の店長からであった。


『あー、もしもし? 悪いけどね、君明日から来なくていいから』


『……』


 店長は経緯よりも結論から先に話し出したものの、一体何があったのかはすぐに察しがついた。原因は他でもない、私自身が最もよく理解している。


『誰とまでは言えないけど、君の後輩がお客さんに本番を迫られたみたいでね。しかも生で。で、お客さんの話だと君はお店に内緒で追加料金を取ってたみたいだけど』


 そこで店長の声が途切れた。私が電話を切った。ここから先の展開はわかる。どうせ辞めさせるくせに長々と説教を続けるのだ。今までの他のお店の店長がそうであったように。




 それは帰りの電車の中での事だった。時刻は午後十八時半。いわゆる帰宅ラッシュという人混みに取り込まれた私は電車の扉付近まで押しやられたのだけれど、ふと自分の臀部に意図的な動きを感じる。すぐに痴漢だと理解した私は、後ろを振り向きながらサラリーマン風の中年男性に一つの提案を持ちかけた。


『本番ゴム無し四万でどう?』


 途端に手の動きを止める中年男性。電車内は車内放送や人混みによる雑談などで賑わっていたものの、私付近の人間くらいにはこの声が届いていただろう。一斉に彼らの視線が私達へと向けられる。私はすぐに自分の愚行を後悔した。


 焦ったように挙動不審になる中年男性。少しして電車が次の駅に着くと、彼は待ってましたとばかりに電車から駆け下りる。駆け込み乗車ならぬ駆け込み下車。私はそんな彼の背中を見ながらため息を吐いた。せっかくの金づるを逃してしまった。もっと小さな声で、あの人にだけ聞こえる声で話さないといけなかったのに。まったく。金づるは逃げるし、また新しい仕事を探さないといけないし。


『……』


 イライラする。なんなら私達に視線を向け、金づるを逃すきっかけになった周りの人達を無差別に殴りかかってしまおうか。


 そんな考えが頭によぎった時だ。乗客の話声や車内放送、電車の走る音だけが鳴り響く車内に第三の雑音が狼煙をあげた。私のすぐ隣、まだ一歳にも満たないであろう赤子を抱いた女性が座っている。雑音の発生源はその赤ん坊だった。


 黒板を引っ掻く音、あるいは発泡スチロール同士を擦り合わせた音にも引けを取らない赤ん坊の泣き声。赤ん坊は泣く事でしか意思表示が出来ない為、必ず大人の気を引けるようにここまで不快な音で泣くと何かで見たような気がする。母親は慌てながら赤ん坊の背中を摩り、なんとか泣き止まそうと尽力していた。


 こんな時、多くの人は不快感を感じながらも赤ん坊やその母を責めたてたりはしないのだろう。赤ん坊は仕方ない、自分もかつては通った道、そんな綺麗事で不快感を誤魔化すのだ。それが真っ当な人間なんだ。でも、私は真っ当な人間ではないから舌打ちをした。


『うるさいなぁ……』


 間違いなく母親の耳に届く程度の声でそう呟いたりもした。ただそれだけをした。それだけで十分だった。これ以上の悪態をつけば、稀に存在する正義感の強い人間の闘志を奮い立たせることになるからだ。だからこの程度の悪態が丁度いい。私に危害が及ばない範囲で母親の心を痛めつけられる。この母親は電車を降りるまで、自分を不快に思っている私という存在を意識しながら怯えてくれるのだ。


 私は子供が嫌いだ。子供を持つ母親も嫌いだ。子供を作れない八つ当たりなんだろと言われたら、その通りだ。私は一生子供を得られない。でも世の中の多くの女性は当たり前のように子供を産める体を持っている。


 私に欲しい物があったとして。それを持っている人間がいたとして。そして私には決してそれが手に入らないのだとしたら。それを力の限り叩き壊す事が、私にとっての幸福だ。


 ……。


 でも。もしもそれが決して手に入らないものだったとしても。それでも触れる事だけなら許されるのだとしたら。


『……え』


 その異様な光景に思わず間抜けな声が漏れたのは、自宅まで残り十分の場所まで来たあたりだった。


 繁華街から少し抜けた大通り。繁華街を抜けたとは言え大通りである。視界に入るだけでも数十人の人間は確認出来るし、道路は無数の車が縦横している。コンビニもあれば定食屋もあり、交番だってある。なんなら少し歩いた所にはショッピングモールだって存在するそんな大通りの歩道に一つの段ボールがあった。先程電車の中で泣いていた赤ん坊と同じくらいの赤ん坊が入った、小さな段ボールがあった。


 私はまず交番に目を向けた。真っ先に浮かんだ考えが、こんな目立つ所に赤ん坊の入った段ボールがあって警察は一体何をしているんだろう、だったから。その際、交番の前に立つ一人の警察と一瞬目があったものの、彼はすぐに私から視線を逸らす。彼には私が見えている。正常な視覚はあるはずだ。私が見えているのにこの赤ん坊が見えていないだなんて事があるのだろうか?


 次に私は目の前のコンビニに入り、立ち読みをするフリをしながら窓越しに赤ん坊の入った段ボールを見張った。通行人の反応を確かめる為だ。


 一分、三分、五分。時間が経つたびに何人かの通行人が段ボールの前を通りがかる。全く段ボールが目に入っていないかのように通り過ぎる老人、チラッとだけ段ボールに目を向けたが何事もなかったかのように通り過ぎる若者。主観的ではあるが老人や子供は赤ん坊に気づかず、若者は赤ん坊には気がつきこそすれ面倒事に関わるのを避けようと見て見ぬふりをしているように感じた。


 道の真ん中で人が倒れていようと、電車の中で誰かが争っていようと、非道なまでの徹底さで無関心や無関係を貫き通す、都会ではもはや珍しくもない光景。あまりにも皆が無関心なものだから、それが真っ当な人間の対応なんだと思ってしまう光景。立ち読みのふりを十分も続けたあたりでその赤ん坊を抱き上げようとした私は、やはり真っ当な人間ではないのだと思った。


 段ボールの前で屈み、段ボールの中で静かに眠る赤ん坊に手を伸ばし。そして。


『見いつけた』


 気がつけば私は、自宅のベッドに倒れていた。


『……あれ?』


 すぐに異変に気がつき、慌てて上体を起こす。こういう時、ドラマとかだと夢か幻でも見たのではないかと思うだろう。けど、実際に夢から覚めて夢と現実の区別がつかなくなる事はない。夢と現実が区別出来ないだなんて、そんな馬鹿げた事があるものか。さっきまでの光景は絶対に夢なんかじゃない。あれは間違いなく現実だった。ならあの赤ちゃんは?


 私はすぐにベッドから降り、さっきの大通りへ向かおうと慌ただしく駆け出したのだけれど。玄関を出ようとした瞬間、ワンルームの部屋に赤ん坊の泣き声がこだまする。まるで慌ただしい私の足音のせいで目を覚ましてしまったとでも言うように。


 恐る恐る振り返って自分の部屋を覗くものの、視界に広がったのは特に珍しくもない光景。いつも私が起きて、生活し、そして寝る為の場所。見るも無惨に散らかったワンルームのアパート……の筈だったけど。


 さっきまで私が横たわっていたベッドの上で何かが動いている。ベッドの上に無造作に脱ぎ捨てられた着替えの塊が、もぞもぞと動いている。赤ちゃんの泣き声を漏らしながら動いている。


 部屋に戻り、着替えの塊に手を伸ばした。一枚、また一枚と着替えをどかしていく。そして私はそれを見つけた。大人の十分の一にも満たない小さな矮躯で泣き叫ぶ赤ちゃんが、そこにはいた。


 思わずその小さな体を抱き上げてしまう。その時、私の中に不自然な感情が芽生えた。普通、こう言う時に芽生える感情って、現実離れした出来事への不安とか、見知らぬ赤子が部屋にいた恐怖とか、そういったもののはずだ。なのに私は安堵していた。思わずホッと一息をついてしまった。


 安堵感の理由はわかる。大通りでこの子を抱き上げようとした直後に意識を失った私だ。目を覚ました瞬間、この子を大人の身長の高さから落としてしまったような気がしていたんだ。でも、おかげで『よかった……』と、独り言を漏らしてしまうくらいには安心出来た。


 独り言。誰も返事をしてくれる相手がいないのに呟いてしまう言葉。言語を理解出来ない赤子や動物へかける言葉も一種の独り言だと私は思っている。でも。


『可愛いでしょ? 赤ちゃんって』


 どこからともなく、私の独り言がただの会話へと成り果てていく。気がつくと私の足元には見慣れない影があった。影の発生源は私の上。すなわち天井。ゆっくりと振り返りながら首を上げると、そこには天井すれすれの位置で箒に乗りながら浮遊する全身黒ずくめの美女が怪しく微笑んでいた。


『私もね、子供が好きってわけじゃないの。その子を身籠っていた時もちょっとした気まぐれで堕ろしてみようか、なんて考えたりもしたわ。なのに不思議よね』


 見知らぬ赤ん坊以上に現実離れした存在。現実感のカケラも持たない存在。人は異形なものに出くわすと恐怖する。しかし異形過ぎるものには恐怖を感じる余裕もなく、放心するしか対応手段がないのだと知った。


『いざその子が産まれて来たら、とても可愛いの。産まれた直後は猿みたいに皺くちゃな顔だったのに、それさえも可愛らしく感じたわ。きっと生き物の本能なのよね。大人は子供が可愛く思えるように出来ていて、子供は大人に可愛く思われるように出来ている。そうやって子供は大人に守って貰うの。ライオンが捕食した獲物の子供を可愛がったりする事例があるくらいだし』


 心のみの放心が、ついには体にまで影響をきたした。私はその場に倒れるようにベットの上へ腰を落としてしまったのだ。体の緊張がほぐれたあたりでようやく生存本能が危険を知らせる。私は這いずるように後ずさったものの、ついには壁際にまで到達してしまう。その美女は変わらず薄ら笑いにも近い笑みを浮かべたまま私の眼前にまで接近し。


『あなたも見ず知らずの赤ちゃんを私から守ろうとしているくらいだし』


 そして彼女は、無意識のうちに赤ん坊を守るように全身で包み隠していた私の行動を指摘した。


『あなた優しいのね。その子を気にかける人が現れるまで一時間もかかったわ。ニホンって平和な国だし、ニホン人は世界的に見ても温厚な人達ばかりだと思う。でも、実際の所はただ無関心なだけなように思うの。だからあなたは変人さん。とても優しい変人さんなのだわ』


 クスクスと面白おかしそうに微笑む彼女。不気味な人ではあるけれど、彼女の言動からは不思議と敵意は感じられない。私の中に僅かな安堵が芽生え、私はようやく彼女に問いかける事が出来た。


『あなたは誰ですか? なんなんですか?』


『あら、見てわからない? せっかく典型的な服装を選んで来たのに。私は魔女よ。魔界から来た魔法使い。ねぇ、そこの優しい変人さん。よければ私のお願いを聞いてもらえる?』


『……お願い?』


『ええ。ゼルル』


 彼女はどこからともなく黒い本を手のひらに出現させ、日本語ではない何かを呟いた。次の瞬間、彼女の周囲にいくつもの道具が出現する。哺乳瓶に粉ミルク、紙オムツに沢山のおもちゃ。彼女は箒から降り、それらを両手に抱えて私の前に差し出した。


『私、こっちの世界に来るのは久しぶりなの。ちょっと観光して来るからそれまでその子のこと、よろしくね?』


 有無は言わさせないと言わんばかりに彼女はそれらの道具を私の前へ置き、自分は部屋の窓を開けて身を乗り出した。


『え……そんな、いきなり言われても。大体私、子供なんか大嫌』


『それともこう言った方がいいかしら? 私が戻って来るまで、その子に何かあったらあなたを呪い殺す』


『……』


 彼女は黙り込む私にいたずらな笑みを向け『じゃあね』と一言だけ言い残し、窓から飛び降り夜の街へ飛んでいってしまった。黒衣をまとったその姿は物も言わぬうちに夜の闇へと溶けていく。


 あいも変わらず私の腕の中で泣き続ける赤ん坊、ベットの上に散らばる育児用具、そして彼女が置いていった空飛ぶ箒。それらを見ながら私が真っ先に思った事、それは。


『いや、箒なくても飛べるんかい』


 だった。


 少し。少し考えよう。この短時間のうちにあまりに多くの出来事が起き過ぎた。一旦考えを整理する必要がある。


 そんな私の耳に、赤ちゃんの泣き声が響き続ける。


 まずさっきの人は一体何? 魔女? そんな馬鹿な話ってある? でもあの人は箒で宙に浮いていたり、どこからともなくこの育児用具を出したり、それに窓から身を乗り出して飛んでいった。部屋に箒を吊るす糸なんか見当たらないし、仮にあったとしてもあの人が夜の街へ飛んで行った姿の説明はつかない。


 そんな私の耳に、赤ちゃんの泣き声が響き続ける。


 あの人の目的は何? いやまぁ、観光に来たからしばらくこの子を預かって欲しいとは言っていたけど、でもそんな。そもそも何で私? この子に何かあったら呪い殺す? いきなり来られてそんな身勝手な事言われても……。


 そんな私の耳に、赤ちゃんの泣き声が響き続ける。


 大体ちょっと観光して来るって一体どれくらい? 今日中? 明日? 数日間? 私にだって私の生活がある。ただでさえ新しい仕事先を探さなきゃいけないのに、いつ帰って来るかもわからないあの人を待ちながらこの子の面倒を見るなんて……。


 そんな私の耳に


『うるさいっ‼︎』


 赤ちゃんの泣き声が響き続ける。怒鳴った所で言葉を理解しないこの子に私の苛立ちは伝わらないし、伝わったら伝わったでこの子は私に恐怖して更に泣き続けるだろう。イライラする。本当にイライラする……。何で自分の子でもないのにこんな事を。こんな他人の子を、人間の子なのかさえ怪しいこんな化け物を、私が。


『……』


 その時。悪魔が私に微笑みかける。私はおもむろに赤ちゃんを抱く腕を伸ばし、天井目掛けてこの子を掲げた。当然ながらそれはあやす為の高い高いなんかじゃない。


『呪い殺す? 上等だよ』


 今まで迷惑な子供を見る度に母親の心を壊してきた。その度に母親が見せる悲しそうな顔が私の幸福だった。そんな事が何度も続くと稀に思ってしまう。この程度の仕打ちでここまで気分がよくなるのなら、子を失った母親の顔を見たら私はどれだけの幸福を味わえるのだろう。言葉で心を壊すのではなく、言葉通りの意味で、私のこの手で子供を壊せたら。


 あの人が私を呪い殺すと言うのなら、私がこの世で最後に見るのはあの人が悲しみに朽ち果て怒り狂う様。どうせ体を売る以外の生き方を忘れた人生だ。歳を重ねて体さえ売れなくなる前に死ぬのも悪くはない。私は天高く掲げた赤ちゃんを持つ手の力を。


『……』


 力を。


『…………』


 力を緩められなかったのは何故だろう。力を抜くだけでこの子は床に落ちるのに。なのにどうして私はまたこの子を抱きしめてしまっているのだろう。この手から力が抜けないのは何故だろう。胸に埋まる赤ちゃんの体温が、とても暖かい。


 私はひとまず赤ちゃんをベットに下ろし、オムツを取り払ってみた。至って綺麗な紙オムツ。とりあえず漏らしてしまって気持ちが悪いわけではないのはわかった。同時にこの子が女の子である事も知る。


『あ、あれ? まぁいっか……』


 一応念のために新しい紙オムツを取り出して履かせてみたものの、いかんせん初めての経験だった事もありとても見栄えが悪い。が、ひとまずはこれで良しとした。オムツに問題がないとしたら、他にこの子が泣く理由はやっぱりお腹が空いたから? やれやれ。ほんと、何で私がこんな事を……。


 赤ちゃんをベットに置いて、粉ミルクの容器に記された作り方を読む。書かれている事はとても単純だったけれど、いかんせん彼と別れてからは一度も自炊をした覚えがない。カップ麺の調理だってコンビニに備え付けのポットで済ませてばかり。おかげでお湯を沸かすのも一苦労だった。お湯の入ったやかんが思いの外重くて、哺乳瓶に上手く注げずに少し火傷をしたり。なんとかお湯を注ぎ終えても、このままだと赤ちゃんが火傷する事に気がついて、慌てて氷水に哺乳瓶を漬け込んで冷ましたり。そして当然その間も赤ちゃんは休まず泣き続けるわけだ。


『もー、待ってよ今作ってるんだから』


 言った所で無駄なのはわかっているのにそんな言葉が漏れてしまう。哺乳瓶が冷めるまで、テレビの見よう見まねで赤ちゃんを抱っこしながら揺らしてみるけど泣き止む様子はゼロ。世の母親は赤ちゃんが泣くとこうするけれど、一体この行為に何の意味があるのだろうか。


『はいはい、今出来たから。どうぞ召し上がれ』


 ようやく肌で触れるくらいにまで哺乳瓶が冷め、早速赤ちゃんの口元に近づけてみた。泣き声ばかり漏らしていた口だったけれど、ミルクの匂いを嗅いだからだろうか。次第にその口は口本来の機能、栄養の摂取をしようと哺乳瓶の乳首に食らいついた。


『はぁ……』


 ため息なのか深呼吸なのか、あるいはその両方なのか。十数分にも及ぶ泣き声がようやく鳴り止み、私は大きく息を吐きながらベッドに腰掛けた。


 面倒くさい。あー面倒くさい。面倒くさい。まったく、人が軽い火傷まで負って作ったミルクだと言うのに、この赤ん坊と来たら感謝の言葉も告げず、さも当然のように貪ってくれちゃって。子育てってのボランティアか何かじゃないのだろうか。こんな苦労した所で私に返ってくるものなんて何一つないんだ。


『……』


 柔らかくて暖かな赤ちゃんの抱き心地と、その口から漂ってくる甘いミルクの香りくらいしかないんだ。本当にこれしかないんだから、せめてこれくらい堪能させてもらわないと割に合わない。私は赤ちゃんの口元に鼻を近づけて大きを深呼吸を一つ。十分に堪能させてもらった所で天井を見上げ、少しだけ目を瞑った。


『ん?』


 そんな私の顔面に一枚の紙切れが落ちてくる。何事かと思い見てみると、そこにはやけに達筆な字で【ミルクを飲ませたらげっぷさせる事】と書かれていた。


『げっぷ? どうして?』


【なんか色々あって死ぬから】


 二枚目の紙が落ちてきた。


『死ぬ⁉︎』


 私は慌てて赤ちゃんに目を向ける。哺乳瓶の中身はほとんど空っぽで、それでも飲み足りないのか一心不乱に吸い続けているけれど、しかし死ぬと言われると確かにその表情はどこか苦しんでいるように見えなくもない。


『え……えっと、どうしよう』


【ほら、背中を叩いて】


 三枚目のメモ用紙。


『背中?』


【トントンって】


 四枚目のメモ用紙。


『ト、トントン』


【トーントンって】


 五枚目のメモ用紙。


『トーントン……、って言うか居るんですか?』


 さっきから私の状況を直接見ていないと送れないはずの指示がやたらと送られて来るんだけど……。と、その時。


 上手くツボを叩く事が出来たのかどうかは定かではないが、赤ちゃんの口から小さなげっぷが漏れた。私も私で、もはや今日何度目になるかもわからない安堵の息を漏らす。一体どれだけ私の神経をすり減らせば気がすむんだこの生き物は。ここまで苦労させたからにはほっぺを抓る程度の仕打ちくらい許されるべきだ。私は赤ちゃんのほっぺに指を伸ばし、その柔肌を思いっきり


『……うぅ』


 抓られなかった。とても柔らかくて、抓るどころかほんの少し摘むだけでも取れてしまいそうで怖いくらい。結局私の復讐は人差し指でその頬を優しくつつく程度にとどまってしまう。それがくすぐったかったのだろうか。赤ちゃんの息遣いが少し荒くなったような気がする。何というか、あと少し笑い出しそうな……。


 私は周囲を確認した。カーテンの隙間から魔女が覗いているような気がしたので、カーテンを完全に閉めた。他にもどこか隙間はないか、人が隠れられそうな所はないのか。自分の家なのに、まるで他人の家でかくれんぼでもしている気分である。


 探せる限りの隙間を探し出し、人の有無を確認した。間違いなくこの家には今、私とこの赤ちゃんしか存在しない。私は警戒の糸をほぐしながら赤ちゃんと向き合い、そして。


『ばー』


 いわゆるアカンベーの表情を赤ちゃんに見せつけてやる。するとまたほんの少しだけ赤ちゃんの息遣いに荒さが増した。ならばとばかりに、今度は決して人前では見せられないような変顔を披露してみた。目を細め、顔の至る筋肉を引きつらせ、そして顔が攣って痙攣を起こしそうになる寸前。赤ちゃんの荒い息遣いは、ついに笑い声へと姿を変えてみせた。


『……』


 笑った。初めて笑った。笑顔。太陽のように眩しい、赤ちゃんの笑顔。私も昔はこんな顔で笑っていたのだろうか。今の私はこんな顔で笑えるのだろうか。それ以前に私が最後に笑ったのって果たしていつだろう。お客さんに見せる愛想笑い以外で笑顔を浮かべた事があっただろうか。こんな、純粋な楽しさで笑顔になった事があっただろうか。


『やっと笑ったなー、もう』


 まさに今が、そうだったりするのだろうか。


 一度笑いのスイッチが入り出したからか、赤ちゃんの笑顔は止まる術を失ってしまう。わざわざ負担のかかる変顔を作らなくとも、ちょっと舌を出したり少し口をすぼめたりするだけで赤ちゃんは何度も笑ってくれた。さっきまでの泣き声が嘘のように、あまりに簡単に笑ってくれるものだから。心地の良い声で笑ってくれるものだから。


『……ふふっ』


 その笑みは次第に私の方にも伝播してきたのだ。


『ふっ……、っ……』


 腹筋が痙攣し、意図もせずに息が漏れ、口角はグッと上がり、奥歯をギュッと噛み締めて、視界までぼんやりとしてきて。そんな笑みが。


『……ぅっ……うぅ』


 涙と一緒に溢れて来る。私は笑っているのではなく泣いているのだと気づくのに、そこまで時間はかからなかった。


 こんな未来もあったんだ。……ううん、こんな未来があるはずだったんだ。こんな未来にするべきだったんだ。


 人の幸せなんて千差万別なのかもしれないけれど、私の欲していた幸せは紛れもなくこういう幸せだった。好きな人と一緒に可愛い子供を育てる、そんな平和な日常。


 昔から子供や動物が大好きだった。そりゃあ血の繋がった子供が一番なのかもしれないけれど、必ずしもそうである必要はない。現に私はこうして見ず知らずの赤ちゃんを可愛いと思えている。愛しいと思えている。血の繋がった子供じゃなくても、例えそれが養子でも、私は好きな人と一緒に愛してあげる事が出来たんじゃないだろうか。かつての夢だった幼稚園や小学校の先生になって、他人の子供でも目一杯愛してあげられる、そんな未来もあったんじゃないだろうか。


【私、もう子供は産めないんだって】


 子宮を失ったのはただのきっかけに過ぎない。


【私達、別れよっか? ご両親も反対してるんでしょ? 子供を産めない相手との結婚なんて】


 本当は別れたくないって言いたかった。見捨てないでって、彼の腕にしがみついてでも懇願したかった。なのに私はそうしなかった。彼には闘病中、散々迷惑をかけてしまったから。今後の彼の人生の足枷になって更に迷惑をかけるわけにはいかなかったから。……っていうのはただの綺麗事。汚い大人の愚かな嘘。


【私、ご両親と言い争ってまで結婚したくないかな】


 本当はただの薄汚れたちっぽけな自尊心だった。意地汚く彼にすがりつく自分の姿を見せたくなくて。そんなお前でも良い、俺にはお前しかいないって彼の方から言ってくれるのを期待して。


【……なんかもう、全部疲れたよ】


 もし言っていたら、あの人は周りの全てを敵に回してでも私の味方になってくれたのだろうか。その答えは定かではないけれど、私は間違いなく自分からそんな未来の可能性を放棄してしまった。


 そして落ちた。落ちて、墜ちて、堕ちて。落ちるところまで落ちていった。それで辿り着いたのが今の私。女の幸せどころか人としての幸せまで放棄してしまった見窄らしい私。


『何で……、どうして私、こんな……っ』


 憧れ、嫉妬、後悔。ありとあらゆる感情が頭の中で渦を巻き、涙になって溢れて行く。この二年間ですっかり忘れてしまった感情が私を覆い尽くす。彼と別れた時でさえ流さなかった涙の止め方を、私は知らない。


 ……。


 私を深い眠りから現実へ呼び戻したのは、スマホのカメラ特有の電子的なシャッター音。


『ただーいま。お目覚めはいかが? 優しい変人さん』


 比較的浅い眠りの際に起こされたからだろう。寝起きの割に、スマホを構えた黒ずくめの女性の姿がやたらと鮮明に視界に飛び込んで来る。彼女、もとい魔女の手に握られているのはテレビのCMでよく見かける最新のスマホだ。一体どこから持って来たんだろう。


 部屋に差し込む太陽光が、既に朝になっている事実を私に教えてくれた。どうやら私はいつのまにか赤ちゃんと一緒に寝てしまったらしい。久しぶりにとてもよく眠れた気がする。こんなにも目覚めのいい朝っていつぶりだろう。


科学(ロストテクノロジー)も侮れないわね。昔私がここに住んでいた時なんて会話しか出来なかったのに、今の電話って持ち運べるわ、カメラがついているわ、音楽も聴けるわ。物によってはテレビまで見れるだなんて感動しちゃう。どうかしら?』


 彼女はおもちゃの自慢をする子供のような無垢な笑みでスマホの画面を私に見せつけてきた。そこに写っていたのは、赤ちゃんにミルクを与える女性の動画。彼女は他にも赤ちゃんと睨めっこをしたり、かと思えばいきなり泣き崩れたりととても忙しそうで……。っていうかこれ私だ。昨日の私だ。


『わ、ちょ、ちょっと!』


 彼女からスマホを奪い取ろうと飛びかかるも軽く遇らわれてしまう無様な私。


『ダーメ。このスマホ私のよ? 別にいいじゃない、こんなに綺麗な表情で撮れてるんだから』


 彼女は私の身長では絶対に届かない天井付近まで携帯を浮遊させる。おまけに意地悪とあざとさの象徴、てへぺろまで見せつけて来るだなんて。この人、私より年上なのは間違いないと思うけど、なんか年上だと思いたくないなぁ……。


 しかしまぁ、綺麗な表情か。動画に写る女性の姿が私の姿であるのは明白だけれど、正直それを理解するのに数秒ばかりの時間を要してしまった自分がいる。


 私は普段から身だしなみはキチンとする方だ。この体はお金を稼ぐ商売道具のようなものだから。だから普段から鏡は頻繁に見るのだけれど、鏡の中の私は決してその画像のような表情を見せたりはしない。初めて見たような気さえする。こんな平和ボケに浸ったような微笑み。これは本当に私の表情なのだろうか。スマホに映る人物が私である事は理解出来るけれど、それでも実感ばかりは出来そうにない。


『ね? 赤ちゃんって可愛いでしょ?』


 戸惑う私に向かって得意そうに問いかける彼女。まるで昨日の私に問いかけ直すように、今か今かと私の答えを待っている。


『……別に』


 私は彼女の期待を拒絶した。掴み所のない彼女に散々振り回されたのだ。この拒絶はそんな彼女へのせめてもの抵抗。


『本当に?』


 しかし彼女は負けじと再び問いかける。多分、自分の求める答えを私が口にするまで問い続けるのかもしれない。そっちがその気なら、私はいつまでもその問いを否定し続けてやりたい。この人の思い通りに動くのは、なんか癪だ。……そう、思っていたのだけれど。


 私の人差し指が暖かさに包まれた。いつのまにか目を覚ましていた赤ちゃんが、すぐ近くにあったこの指を握りしめていた。ただの気まぐれだろうか、あるいは母を探していての行動だろうか。


 とても小さく柔らかい手。十ヶ月もの間お腹の中でじっとしていて、筋肉なんて寝返りの一つも困難なほど全然なくて。それでも一生懸命、力強く、自分を守ってくれる人を離すまいと握ってくる。


 とても愛おしいと思ってしまうのだ。その挙動の一つ一つがたまらなく愛おしいと。


『……可愛いです。とても』


 その気持ちに嘘はつけなかった。私はまんまと彼女の求める答えを口にしてしまった。彼女は満足そうな笑みで更に言葉を紡ぐ。


『そう。あなた、子供が好きなのね』


『はい』


『どうしようもないくらい好きなのね』


『はい』


『この子のホームステイ、引き受けてくれるわね?』


『はい。……はい?』


 ……ん? あれ、この人今なんて。


『やったー!』


 流れに流されついついそう口走ってしまった私の答えを聞き、彼女はおてんばな妖精のように部屋の中を縦横無尽に飛び回りながら喜びを表現する。彼女の中では一つの問題が解決したのかもしれないけれど、私にとっては問題しか生まれて来ない。


『え、え、え? あの……、え? ホームステイって? 待ってください! そ、そもそもあなたは一体何なんですか? いきなりやって来て、赤ちゃんの面倒とか押し付けて、それに魔女とか魔法とか呪いとか……もう本当に頭がついていけない』


『ホームステイはホームステイよ。魔女には四歳から十歳までの六年間を魔法の存在しない異世界で過ごさせる決まりがあるの。私はこの子を受け入れてくれるホストの方を探しに来たのよ。いい人と巡り会えてよかったわ』


『いい人と巡り会えたって……。いきなり言われても困ります。どうして私なんですか?』


『道端に捨てられたその子に手を差し伸べたのがあなただから。その子に最初に手を差し伸べた人にお願いしようって、そう決めていたの』


 昨日の段ボールを思い出す。なんだその蟻地獄みたいなやり方は。


『一応最低限の選別はしたつもりよ? 高齢の人や幼い人、それに警察みたいな職務で人を助ける人には、不可視の魔法であの段ボールを見えなくしておいたもの。その子のホームステイを引き受けられる年齢で、なおかつ職務じゃなく自分の意思でその子を助けようとした人。それがあなただった』


 そんな彼女の説明で、不可解だった昨日の出来事に幾分かの納得がいった。どうりで交番が目の前にあったのに警察は何もしなかったはずだ。お年寄りも段ボールに見向きもせずに通り過ぎていったし。あの段ボールに興味を示したのは成人した大人だけだ。もっとも、彼らは皆見て見ぬ振りをして通り過ぎて行ってしまったが。


『その子を道端に置いて一時間。条件に当てはまる人間は……、そうねぇ。百人は通り過ぎていったわ。みーんな見て見ぬ振りをして通り過ぎていったの。中にはスマホで写真だけ撮っていく人もいたわね。ネットに流されたら面倒だからすぐに記憶ごと消させてもらったけど。あなただけだったわ? その子を気遣ってくれたのは』


『……別に。もう少し待てば私以外にもこの子に手を差し伸べた人はいたと思います。たまたま最初にこの子を見つけたのが私だっただけで』


 彼女の言い分は理解出来た。しかし、それとこれとは話が別だった。私には彼女の願いを拒む以外の選択肢がない。私のような人間が六年も子供を育てるだなんて、しかもそれが人間でなく魔女の子供だなんて、あまりに荷が重過ぎる。


『そう……。なら仕方ないわね』


 私の答えに彼女は残念そうに眉をひそめ。


『ゼルル』


 呪文を唱え、赤ちゃんを浮遊させる。そして


『じゃあ今度はもっと人通りの多い所に置いてみようかしら。そうねぇ、例えば渋谷のスクランブル交差点とか』


『させるかー!』


 私は赤ちゃんを奪い取っていた。ラグビーボールでも掴み取るように赤ちゃんに飛び掛かり、彼女に奪われないようにぎゅうっと力強く抱きしめる。彼女はそんな私をフフッと笑いながら


『だからあなたにお願いしたいの』


 そう言うのだった。


『お願い出来るわね?』


『……』


『無理ならスクランブル交差点行きよ?』


『…………』


『ホストになる?』


『……………………』


『それともスクランブル行き?』


『…………………………………………うぅ』


 首を縦に振っても横に振っても後悔する未来しか思い浮かばない究極の二択。彼女は引き込むような眼差しで私の瞳を貫いてきて、私はまたしても流されて首を縦に振ってしまいそうになった。……けれど。


 そんな私の頬を、赤ちゃんがペタペタと触ってきた。視線を移すと何が楽しいのか、昨夜見せてくれた暖かい笑顔で私を見つめている。ペタペタと、ペンペンと、私の存在を確認しながら実感するように、何度も私の頬に触れてくるのだ。


 その姿に思わず口元が緩んでしまう。昨日のようにその顔に自分の顔を近づけて深呼吸なんかもしてしまった。頬と頬が触れ合う事で、この子の温もりも直に伝わってくるほどで。


『あの……、私なんかでよければ』


 散らかり放題で不衛生極まりない上に、人二人が住むにはあまりに狭すぎるアパートの自室を眺めながら、私はそう答えた。


『ありがとう』


 彼女は嬉しそうにそう呟いた。


『そういえばあなた、こんな歌を知ってる?』


『歌?』


『えぇ。昔私がこの世界に来た時に覚えた歌。毎日のように聞かせているから、この子もすっかり気に入っているの』


 そして彼女は歌い出す。彼女が最も愛するこの世界の歌を。私でも知っているその有名な歌を。……ただ。


『あれ? 歌詞が違う……』


 彼女の口ずさむ歌詞と私の知っている歌詞にズレが生じる。御伽だの、お姫様だの、シンデレラだの。昔はそんなメルヘンなワードが使われる歌詞だったのだろうか。


 だから私も歌ってしまった。彼女の時代と私の時代のズレを治すように。魔女と人間の種族のズレを治すように。私の腕の中で生きる小さな命に聞かせるように。かつての歌詞で歌う彼女に被せながら、私は現代の歌詞で歌い上げる。私が生まれる遥か前から存在するその歌を。この子が一番好きだという、その歌を。


『私の頃とは大分歌詞が変わったのね』


 一通り歌い終えた所で、彼女は物憂げな表情で言葉を紡いだ。


『それだけの時間が経ってしまったのね。曲名は何て言うの?』


  私は答えた。


『大きな古時計』


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