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始まりの章 恩人の笑顔

親子を埋葬してからウェイドの町へ戻り、依頼の達成を町長へ報告しメリガン城へ帰る為の準備をしていた。

森の中では手に負えない帝王熊も、原っぱへ誘導することが出来れば対処出来ることが判った。

その誘導の仕方に問題が有ったと思うが、あのままでは依頼の達成は困難だっただろう、怪我人の有無は結局のところ不明なままだが、依頼達成の報告をした時に町長の素振りにおかしな所は何も無かった。

やはりあの黒衣の騎士が今回の依頼の首謀者かそれに近い人物で、恐らく王位継承権の上位の候補の差し金なのだろう。


「やっぱり俺たちを罠に嵌めて、失墜させておこうって事なのかな」


帰りの馬車の中で手に持った草の葉をくるくるとさせながらレオが呟いた、


「罠・・・だとしたら、戦いやすい原っぱまで帝王熊を誘導するような事をするかな」


レイは首を傾げながらレオの呟きに返事をした、実際に黒衣の騎士を見たのはレイだけで、あの夜からレイなりにいろいろと考えていた。

仮に失墜が目的だとしたら小熊をさらって親熊に襲わせるなんて回りくどいことをしなくても、直接キャンプを襲撃して重傷を負わせれば、帝王熊にやられた傷では無かったとしても信用は失墜してしまうのでは無いだろうか、なぜそうしなかったのか、失墜が目的ではなくて逆に名声を高めるために倒しやすくしてくれた、そんな突拍子も無い考えも浮かんでは消えていった。


「罠とかはもうどうだって良いのよ、なんかその騎士のやり方が気に入らない、今度もし見かけたらぶん殴ってやるわ」


「カリスタは戦士だったっけ」


カリスタの勇猛さに思わずレイが突っ込んだ、


「どこからどう見たって可憐な魔法使いじゃない、何を言ってるの」


「・・・そうだったね」


メリガン城に戻り、アニータ王女に依頼の達成の報告をすると殊の外喜んでくれた。

アニータにとっても勇者の派遣は始めての経験であったし、それが本当なら達成困難な依頼だった事などは知る由も無かったが、レオたちを孤児院から連れ出してくれた恩人の笑顔は、身体の疲れを取り去ってくれるほど嬉しかった。


「では、次の依頼が来ていますのですぐに出発するように」


レオの目にはアニータ王女の悪意の無い笑顔が悪魔の微笑みに見えた。

次の依頼はダグラスの町近郊を荒らしている盗賊の討伐、ジェラルドの小隊も参加しての大捕り物だ。

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