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始まりの章 暗闇の中の偽者

どれくらいの時間が経ったのか解らないが、噎せ返る様な鮮血の匂いが感じられなくなったころ、一行に近付く新たな灯りが見えた。

最初に気付いたのはレオで、背中合わせに座っているレイのわき腹を肘で小突き、


「お前の勘だとあれはどっちだ」


レイは振り返り灯りの揺れる様を見て少し考え込んだ後で、


「多分ハズレだな」


「ああ、それじゃあ仕方ねぇな準備するか」


レオはそう言って右手を上げて指でサインを送り始めた、ジェラルドとその部下たちはそれを見て散り散りになり、レオとレイもそれに続いた。


新たな一団が馬車の近くの死体に気付いても驚く事も無く、死体の数と顔を確認し始めた。

草陰からそれを見ていたレオは徐に立ち上がり、両手を広げながら一団に近付いて行く、


「ダグラスの町の兵士ですか」


いきなり声を掛けられて一団に緊張が走った、司令官らしき人物が左手を上げて他のみんなを制すると一騎でレオに近付いてきて、


「いかにもそうだが、これは君がやったのかね」


「私だけでは有りません、ですが私の仲間はみんな切り殺されてしまいました」


いつの間にかレオ左手には布が巻きつけてあった、それを見て司令官らしき男は少し戸惑っているようにも見える、


「嘘を吐くなよ」


司令官の言葉は突然語気が強くなる、大声に驚いた馬を宥めながら司令官は続けた、


「お前一人でこれだけの事を出来る訳がないだろう」


「ですから、私の仲間は切り殺されてしまったと言っているでは無いですか」


「その仲間はどこに居るんだ」


レオはにやりと笑うと司令官の後ろを指差した、司令官は馬鹿にされたかと腰の剣に手をかけたが剣を抜く前に胸に剣が突き刺さっていた。


「これで何人だ、何日かこれを続けていたら盗賊を全滅出来るかもな」


「流石に途中で手を打たれるよ、盗賊だって命は欲しいだろうからね」


剣の血糊を振り払いながらレイが言う、レオも間違いないと相槌を打っている。

東の空が微かに白み渡り、朝が来た事を告げる。

レオが大きな欠伸をするとレイもそれにつられて大きな欠伸をした。

昇ってくる朝日を眺めながら柔らかなベッドで心地の良い眠りにつくことを想う、その前にやらなければいけない事を考えて憂鬱な気分になる、


「一旦ダグラスの町へ行って、荷馬車に乗り換えるか」


「それよりも、本物の兵士に来て貰った方が良いかもね」


「そりゃあ良い、あとは全部任しちまおう」


レオは手を叩くと馬車に乗り込んだ、ジェラルド達は戦利品の馬に跨っている。


「それじゃあ、お姫様を連れて町に帰るか」


疲労困憊の身体を引き摺る様にしてダグラスの町へ向かう、急ぎ足の馬車の揺れに頭をぶつけたのか扉を蹴る音が聞こえてきたが、レオは無視して町へ急いだ。

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